第2話:よかったら俺の彼女に。

姫巫女ひめみこさんに神の国って・・・君、頭大丈夫?」


「あなた、助けないほうがよかったんじゃないでしょうか?」

「私をバカにするならもう行きますよ?」


「いやいやいや・・・だってこんなこと信じられないでしょ・・・その制服は

見たことないけど、神の国にも高校なんかあるんですか?」


「高校なんてあるわけないでしょ?」

「人間の世界に来るのに今時の女の子と同じ服を着たほうが違和感ないかと

思ったから、この服着てるだけです」


「私は姫巫女で神の国から人間界に来たんです・・・信じなさいよ」


「分かったよ、信じるよ」


「だけど、君が姫巫女様なら、これって絶対運命の出会いだよ・・・」

「君、俺のために来てくれたんですよね・・・俺の命を救うために・・・」

「捨てる神あれば拾う神的な・・・」


「それちょっと違いますけど・・・ここに現れたのはあなたを救うためじゃ

ありません・・・偶然です」

「たまたま現れた場所がここだっただけです」


「いや、それでもこれは運命の出会いですよ、遊月・・・姫さん」


遊月那姫ゆづきなひめです」

「あそぶつき、と書いて遊月・・・」


「あそぶ?・・・あ、俺の名前もあそぶほしと書いて遊星ゆうせいって

言います」

「あ、俺、「天河 遊星あまかわ ゆうせい」高校二年生です」

「俺のこと遊星って呼び捨てでいいですからね」

「俺たち名前に遊って文字が入ってますよね、これって偶然じゃないと思いま

せんか?」

「僕たちのこの出会いって奇跡なんじゃないでしょうか、ね遊月ちゃん」


「遊月ちゃん?」


「はい、遊月那姫ゆずきなひめってより遊月ちゃんのほうが呼びやすいし、今時だし・・・だから遊月ちゃんで・・・」

「遊月ちゃん・・・いきなりだけど、これも定めと思ってよかったら俺の彼女に

なってくれませんか?」


さっそく遊月那姫をくどくヘタレ遊星。


「彼女ですって?・・・定めってなんですか?」

「ほんといきなりですね遊星・・・私たち知り合ったばかりですよ?・・・」


「はい・・・出会ったからにはぜひとも俺の彼女に・・・」


「あの、私、そういう急ぎすぎる強引な人、嫌いです」


「遊月ちゃんにウンって言ってもらえないと俺のほうが困るんです・・・

クラスの女子全員にフラれまくってもう後がないんです」


「フラれた?・・・そんなことで死のうとしたんですか?」


「そんなことって俺にとって女子にフラれるってことは死に値するんです」


「わ〜大袈裟・・・」


「俺の彼女になってくれなかったらこのまま電車に飛び込んで死にますよ」


「え〜?私を脅迫するつもりですか?・・・面倒くさい人」

「じゃ〜どうぞ、死にたかったらいつでもお好きな時に死んじゃってください」


「え〜さっき止めてくれたじゃないですか・・・」


「魔が差したんです・・・」


「姫巫女様なんでしょ?・・・神様に仕える神霊さんなんでしょ?」

死んじゃってくださいなんて、そんな無慈悲な・・・僕を見捨てないでよ、

遊月ちゃん・・・」


「馴れ馴れしい・・・図々しい・・・そんな人が自殺なんかするとは思えま

せんけど・・・」


「さっきはまじで電車に飛び込むつもりだったんですよ」

「僕ってこう見えても打たれ弱くてデリケートなんですから・・・」

「神様が・・・姫巫女様が彼女になってくれたら、めちゃ心強いんですけど、

まじで・・・」


「もうヘタレ遊星」

「私、なんでこんな場所に現れたんでしょ」


「神様のお導きですよ、遊月ちゃん」


「違うと思いますけど・・・」


つづく。


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