第43話【幕間】 アリシア・ザレムは屋台を楽しみたい

祭りも夜を迎える益々盛り上がる中、アリシアは屋台のグルメを楽しんでいた。


チョコをバナナにまとわせてカラフルな粉砂糖を振りかけてあるものは甘く美味しかった。




やきそばという食べ物はアリシアの好物が増えたとアリシアは思った。




タコ焼きというものは熱くて口の中が火傷したがとろとろした触感が面白く美味しかった。




わたあめという食べ物は不思議な触感だった。甘くて美味しかったが口の周りがべとべとしてしまった。




聞くところによるとこれらの食べ物は領主様の故郷の食べ物らしい。領主様の所のメイドが再現したものが市井の民にまで広まり名物にもなっているそうだ。




「このりんご飴っていうのぱりぱりしておもしれーな」




隣のレノがりんご飴を食べながら感想を言った。




今日、屋台巡りをしているのはレノが誘ってくれたからだが、アリシアも普段はこんなイベントには興味を示さなかったがせっかくの祝勝会なのだから行ってこいと上官に命令されて渋々来たのだが、なるほど…アリシアは楽しいと感じていた。




軍から支給されている軍服で歩いているので屋台の人からは「軍の人かい?お題はいいよ!もってきな!」と言われる。さすがにそれはダメだと思いお金を払うのだが行くとこ行くとこ感謝され、様々な物をくれる。




屋台には食べ物だけでなく、機動装甲騎を模した仮面など売られていて子供達が集まり親に買ってもらい大喜びしていた。一番人気は領主一真の専用機村雲であった。




中には精巧に作られたフィギュアなどもあり機動装甲騎もあるが、なぜか女性パイロットなどのフィギュアもある。ティア提督やアーシェ提督の肌色の多いフィギュアがあり男性が群がっていた。


テン副官の水着フィギュアなどはすでに売り切れの札が張ってあった。




「ぶっ!あっあれ」


レノが飲んでいた炭酸飲料を吹き出した。汚いなぁと思いながらレノが見ていた方向を見ると、そこにあったのは…純佳のフィギュアであった。…なぜかミニスカ軍服姿で刀を構え、背後には純佳の専用機、白銀がポーズを取ってあり、エフェクトもかかって色っぽくもかっこいいなぁとアリシアは思った。








「あれ…中佐が知ったら絶対怒るだろ、おっかねぇ」


レノは青ざめながら純佳が怒った顔を想像した。…うんおっかない。でも…。




「あれ…ちょっと欲しい…かも」




「まじ!?…いや…でもなんとなくわかる…かも。出来いいし」




「う~ん。吾輩この純佳中佐のフィギュアが欲しいですぞ!」




「確かになかなかの完成度。しかしこれはお高い」




フィギュアに群がる男性の声が聞こえてくる。




「しかし…手に入れればローアングルで眺めますぞ!」


「でゅふでゅふふ それが正しい美少女フィギュアの見方でござるな」




きもい…あんなのに買われるぐらいなら、やはり私が…端末から口座引き落としで購入しようとした時、連絡が入った。


ニア・ニーイ・ニージルズ中尉からであった。




「あっ繋がった アリシアさん、レンさん。ご注文の機体できましたよ」




「本当ですか!」


アリシアの通信に大声を出したのはレノであった。




今回の星喰いの戦いに功績のあった。アリシアとレノに古代魔法王国の遺跡から発掘されたゴーレムのフレームから専用機が造られアリシアとレノに与える事になった。


新兵に専用機を与える事に軍部から異論も出たが一真が活躍した奴に褒美を与えるのは当たり前という言葉に専用機が与えられる事になった。




武装やどういう機体にするかは個人の好みなど専用のパーソナルカラーも許可される。アリシアは重装甲、高火力の機体を望んだ、機動力は落ちるが面攻撃を得意とする圧倒的火力が特徴となる。




レノは逆に高機動力の機体を望んだ。操縦にテクニックを要する、ピーキーな機体になりがちな玄人好みだが、使いこなせれば戦場を駆ける事ができる。現にティアや純佳などは高機動型の専用機である。


レノを始め他のパイロット達が憧れる型であった。




ニアの連絡は機体が完成したので、近いうちに慣らしのため、試乗に来てほしいとの事だった。


本当なら今すぐにでも行きたいところだが、今は戦勝祝いの最中だ。ましてやニアの目の下にクマができていたのを見逃さなかった、相当無理をさせてしまった。今はゆっくり休んでほしいと思い、アリシアとレノはお礼を言って通信を切った。






「っしゃー!これでもっと活躍できるぜ!」


レノは大はしゃぎだ。アリシアも嬉しかった。だが今はやるべきことがある。




アリシアは純佳のフィギュアを購入すべく群がる男達を払いのけ屋台の店主に駆け寄った。




後日、フィギュアの存在を知った女性陣は劣化の如く怒り、フィギュアは全て没収され、製作者は逃亡、指名手配された。


政庁をも巻き込んで、法が定められ風の噂では暗部が裏で動いたともされる事件であった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎日 19:00 予定は変更される可能性があります

一千番目の勇者に選ばれたので宇宙に魔王しばきに行きます @kuons

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ