第2話 お姫様
「お〜話って何だった?」
王様との話を終え部屋に戻ると先輩のフォードさんが声をかけてきた。フォードさんは特別魔道士小隊での先輩で、入隊してすぐのころは自分の教育係として面倒をみてくれたとてもお世話になっている人だ。フォードさんは王様の護衛をメインにやっているため王様やその周りの人たちと関わる機会も多い。いまの声のかけ方からして何となくは話を知っていて聞いてきてるのだろう。
「白々しく聞かないでくださいよ。どうせなんとなく話は聞いているんでしょう?」
「ま〜ね、そもそも何回か相談もされたからな、、、カイウス王はおまえが学校とかに行かず、普通の生活を知らないまま大人になってしまったら後悔をするんじゃないかと心配していたぞ、、、それに姫様はお前と楽しい楽しい学園生活を送りたいと駄々をこねるし、大変なんだからな。言われたとうりありがたく学園生活を満喫してこい。意外といいもんだぞ。」
「わかってますって、行きたくないとかではないです。」
「じゃあなんでそんな嫌そうなんだ?」
「さっきカイウスさんとはなした時に、学校では自分の魔法をなるべく使わないようにしろと言われたんですよ。」
「そうだな、おまえの魔法はちょっと特別だからな。見るやつによっちゃ正体がばれかねない。それにそもそもそのレベルの魔法が使えるやつなんか学生はもちろん国中を探してもいねえわな。」
「ですよね、、、身分を隠して、魔法をかくして生活できるか不安で、、、」
「大丈夫だろ、そんな気負う必要はない。」
「そうですかね、、、」
「おう、、そういえばさっき姫様が探してたぞ。」
「えっ、、、マジっすか、、、」
「ああ、行ってこい」
「了解です」
返事を返しながら部屋を出て姫様の部屋へ向かう。姫様は歳が同じためかよく話し相手として自分を呼ぶことがある。どうせ今回もいつものように暇だから自分を探していたのだろう。
「姫様ー」
扉を軽く叩き声をかける。普段はもう少し丁寧に声をかけるが、今回の呼び出しは仕事に関係なさそうなのでこれでいいだろう。それに、あんまり丁寧すぎると姫様が他人行儀すぎると拗ねてしまう。
「はいっていいいわよー」
「失礼します」
「もう!そんなに硬くならなくていいわよ」
「ですが姫様なんですから、いちおうは、、、」
「姫様呼びもダメよ、名前で呼んで欲しいわ、あと敬語もだめよ」
「はあ、、、、わかりました、、で、シャロンはどうして俺を呼んだんだ?」
「そんなの学校の話をするために決まっているじゃない。お父様からは話を聞いたでしょう?」
「大学に通うことならさっき聞いてきたよ」
「ルカと大学に行けるなんて夢のようだわ、けどルカが大学に通ってる姿なんて想像できないわね。ルカくらい強ければ首席を狙えるんじゃないかしら?」
「いや、、、俺はある程度魔法を抑えて使わないと正体がばれてしまうからな。それに、学校じゃシャロンとあんまり一緒に行動できないと思うぞ。怪しまれてしまうからな。」
「え〜、それじゃ一緒の大学に行く意味がないじゃない!せっかく一緒に通えるんだからお昼を一緒に食べたり、放課後に買い物へ行こうと思ってたのに、、、」
「そんなこと言われてもな〜カイウスさんに正体がばれないようにしろって言われてるからな。」
「お父様のいうことなら無視していいわ、それに、仲良くするぐらいではばれないと思うわ」
「そうか?」
「まあいいわ、、そんなことよりも本題は、ルカを買い物に誘うことだったわ!」
「買い物?」
「ええ、大学に通うのだから必要なものを揃えないとでしょう?だから、明日一緒に街へと行くわよ!」
「街か〜まあ別にいいけど、、、」
「よし!決まりね、じゃあ明日の朝9時くらいに部屋に来てね」
「了解」
こうしてシャロンと街へ行くことが決まったが、そもそもさっき一緒に行動できないって話したばっかでは?まあ、いいか、、、シャロンがすごい嬉しそうだったし。
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