傾国の人形師 〜最強近衛兵のお忍び学園ライフ〜

井場新津

第1話 命令

「ルカ王様が呼んでたぞ」

休憩用の部屋のドアから隊長が声をかけてくる。

「わかりました」

またか、とおもいながら返事をして部屋を出る。


王都アレクサンドル、1000年を超えるこの王国の中心に位置する首都、そこに存在する王城で私は働いている。王家直属の近衛兵団特別魔道士小隊に13の時に入隊し早5年、うちの隊の仕事は多岐にわたる。王家の護衛や情報収集、魔法教育などあげればキリがないが、自分のおもな仕事は、反逆者の殲滅だ。正直5年もやってれば自分のしていることに残悪感やためらいなどない、これまでのようにこれからも同じ日々が続くと思っていた、、、


「ルカ・スターン入ります。」

目的の扉を軽くノックし入る。

「おー、きたかルカ!体調を崩したりしてないか?」

「いえ、大丈夫です。」

いつもしているようなやりとりに適当に返す。

「そうか、、、仕事はどうだ、いやになったりは、、、?」

「いえ、そんなことありませんよ、何年目だと思っているんですか。」

本心をそのまま話したが王はいまだに心配そうだ。

「どうしたんですか、、いきなり、、」

「ああ、それがな、、、おまえに頼みたいことがあってだな。知ってると思うが娘も今年おまえと同じ18であろう、それに伴って王立の魔法大学に進学するんだが、ちとひとりで行かすのが不安でな、おまえも一緒に通ってくれないかと思ってな。」

たしかに、王の娘、、、言うところのお姫様は超がつくほどの美少女だが、これはちょっと、、、

「ちょっと過保護すぎませんか?」

「そ、そうかもしれんが〜親としては心配なんじゃよ、、、どう考えても男慣れしてないし、、、」

「いや、姫様だとわかってて手出すやつなんかいないでしょ、、、」

そんな打首覚悟のやつなどいないだろう。

「そうじゃが〜、、、それに娘もお前が一緒lに通ってくれたら嬉しいと言ってるぞ。」

「ですが、、、」

「娘が心配なのもあるんじゃが、ホントのところは、お前には少し職を離れて欲しいというのもあるんじゃよ、、、お前は13の時にひろってからよう働いてくれとる。しかし、普通の生活を知らぬまま子供の時を終えるのはどうかと思ってな。血はつながっておらんが、わしらはお前を家族のように思っておる。だから、普通の幸せというのを知って欲しいんじゃよ。」

そうういうことだったのか、、、確かに自分の子供離れした生活を知っていれば心配するのも無理はないだろう、、、

「そういうことなら、、、わかりました。大学に通ってみます。」

「うむ!、、、ちなみに、娘に近づく悪い虫は全員地獄へおとせ!」

「絶対そっちがメインでしょ、、、」



こうしてなんだか騙された気もしなくはないが、俺の学園生活が決まったのであった、、、

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