1330 お互いの成長
嫌々ながらもステージに戻って来た眞子。
だが、会場の雰囲気も観客の雰囲気も良くなっており。
眞子の実力を見せる為の下準備は整っていたようなので、まずは素直ちゃんと2人で曲を奏で始めたら……
***
「♪~~~~~」
「「「「「「うわっ!!マジなんだよこれ?こんな事って有り得るのか?」」」」」」
「「「「「「今まで、一度も聞いた事のない様な素直ちゃんの声だぞ!!」」」」」」
うん。
ヤッパリ素直ちゃんは、音に声を合わせるのが上手い。
本来ベースの低音だけだからキーが合わせるだけでも難しい筈なのに、簡単に合わせて来た。
これも一重に、1年間ミッチリと3B-GUILDのリーダーとして真面目に責任のある仕事をしてきたからこそ、身に付いた技。
みんなの声を引っ張る上で、どの音階でも『協調性』を持たさなきゃいけないからね。
流石は現3B-GUILDのリーダー、伊達じゃないね。
真琴ちゃんと一緒に演奏していた(序章の)時とは、比べ物に成らないぐらい声の汎用度が上がってる。
凄いよ、素直ちゃん。
……でもね。
この一年で成長したのは、なにも素直ちゃんだけじゃないよ。
私だって、この1年を、出来る限り有意義に過ごしてきたつもりなんだから、今から、その一端を見せてあげるよ。
今までの様な甘い『ブースト系』じゃない新技をね。
行くよ!!
「『HEART-FULL』」
----♪--♪---♪--♪---♪--♪---♪♪-♪♪--------♪--♪--♪----♪----♪--♪--♪……
「♪~~~~(来た……此処に来て眞子ちゃんが、本領を発揮してきた)」
「「「「「「なんだこれ?これって……素直ちゃんの気持ちか?」」」」」」
そぉ……これはね。
今の素直ちゃんの隠す事の無い、正直な気持ちだよ。
そして、この技は、それらを全部吐き出せる為の技でもある。
……まぁそうは言ってもね。
これ自体は、今年の文化祭でやった、崇秀さんの演奏の真似と言った所なんだけどね。
それに勿論、私は、崇秀さんみたいに観客の皆さん全員に、音だけで気持ちを伝えるなんて器用な真似は出来無いから、素直ちゃんの精神的な部分を触媒にして、彼女の伝えたい意思だけを増幅させてるだけに過ぎないんだけどね。
まぁだから、ただの『ブースト系』と言えば『ブースト系』なのかもしれないんだけどね(笑)
あぁ因みに、なんで、この技を思い付いたかと言うとね。
今朝、崇秀さんの部屋で読んだ本『Eltdown Shards』が元になってるんだけどね。
実は、私が、あの勝手に読んでたオカルト本ってね。
無茶苦茶な原理の元『人間の精神を、他の次元に飛ばして、その他の次元の生物に精神を定着させる』……なんて、本当に馬鹿げた事が真剣に書いてあったんだよね。
まぁこれ自体は、誰が、どう考えても、オカルトの域を超えていない戯言レベルの話なんだけど。
考え様によっちゃあ、全く、この馬鹿げた理論を、再現出来なくもない。
勿論『他次元に精神を飛ばす』なんて、SFでもない限り、そんな無茶な事は出来る訳がない。
……っと言うか、今の演奏に、その必要性がないんだけど。
人の想いや精神にブーストを掛ける事によって『人の意思を、他人に拡散させる』事だけは可能なんではないかと思ったんですよ。
もっと、単純に言えば、元々『ブースト』って言うのは、他人の演奏の上手さを、更に引き立てさせる為のものなんだけど。
それを行うと同時に、唄ってる人の気持ちを音に乗せて拡散させてやれば、この技自体は、意外と簡単に成立する。
そんな『単純な複合原理』を基にして考え付いたんだけどね。
どうやら、意外と技が上手く発動してくれ、良い感じに演奏仕上がったみたいですね。
うんうん、良かった、良かった♪
***
……っで、その結果が、どうなったかと言いますと。
「「「「「「……うわっ……うわああぁぁああぁぁ~~~~~~~~~!!」」」」」」
「「「「「「オイ!!素直ちゃんの声がそのまま演奏に乗って飛んできたぞ」」」」」」
「「「「「「なんだこれ?なんなんだよ?この目の前で起こってる現象は」」」」」」
「「「「「「スゲェ……凄過ぎるぞ向井眞子!!この子ハンパねぇってばよ」」」」」」
「「「「「「この子とバンドを組む事が前提なら、安心して送り出せるぞ」」」」」」
……等々の大声援を観客の皆さんから頂けました。
って事はですよ。
万時、なんとか事無きを得れたって思っても大丈夫そうですね。
なら、本当に良かった、良かった。
なんて言ったって今回の演奏。
本当の事を言えば、自分のテンションを上げる為に、この1年の集大成みたいな事を前フリでは言ったけど。
事実を追求すれば、ただの思い付きだやっただけの『未完成な技』以前の『適当な技』を使ってただけだからね。
なので……そんな風に実験的にやっただけに『成功して良かったぁ、助かったぁ』って感じなんですよね。
いやはや、いやはや。
卒業祝いで奏でてる曲だと言うのに、申し訳ないです。
まぁ勿論、そんな気持ちは出来るだけ顔には出さない様にしながら。
私は、素直ちゃんと拳を『コンッ』っと合わせて、笑顔で曲の成功を祝う。
此処は苦手なポーカーフェイスなのです(笑)
観客の皆さん同様に、彼女も満足気だしね。
そんで2人で、曲の成功を味わっていたら……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
眞子……素直ちゃんの卒業祝いに奏でてる曲だと言うのに、またいい加減な事をしてますね。
まぁまぁ、そうは言いましても。
ある程度の確信があったからこそ技を行使している訳ですし。
なにより、その技の中に『ブースト系の音』が含まれている以上。
演奏や演出で失敗するなんてものはほぼ考えられないので、これはこれで新しい扉が開けた訳ですから、良かったのかもしれませんがね。
さてさて、そんな中。
これで素直ちゃんと組んでも問題ない、っと言う実力を観客の皆さんにも示せた訳なのですが。
今度は3B-GUILDとの合わせを上手く演出しなければなりません。
っとなると、どうするつもりなんでしょうね?
そして3B-GUILDの面々は、眞子に何を求めてくるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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