1329 恥ずかしながら帰って参りました

 隠れて会場の雰囲気を見守っていた眞子だったが。

それが木根さんにバレ、伊藤さんによって捕まった眞子は、強制的にステージに連れ戻されるのであった(笑)


***


 ……っで、結局、決意を新たに、伊藤さんに手を引っ張られてステージに連れて行かれる羽目に成った。


そこで確信した事は、伊藤さんって自分の遠投のコーナーを持つだけあって本当に怪力娘だね。


私が抵抗しても外れなかったんだから……相当な力だと思うよ。

なんて失礼な事を思いながらも、恥ずかしながらステージの真ん中まで戻って参りました。


……さて、ステージに戻ってきた以上、もぉ四の五の言っても始まらない。


そんじゃあやってみますかね。



「お帰り、眞子ちゃん」

「もぉ、お帰りじゃないから」

「「「「「「あはっはっははっはっはははっは……」」」」」」


まずは、この程度でも笑いが取れたか。

なら、場の雰囲気は、思った以上に回復してるって事だよね。


だったら、さっきの伊藤さんとの会話を拾われたのも悪くないか。

ライブは、お客さんに楽しんで貰う事こそ、最重要ポイントだからね。



「じゃあ、眞子ちゃん。早速なんだけど、眞子ちゃんの、本当の実力を、みんなに見せてあげてよ。遠慮はイラナイから」

「いや、あのねぇ、由佳ちゃん。遠慮とか、その前にですね。まだ私、なにも納得してないんだけど」

「まぁまぁ、そう言わずにでありんすな。モノの序と言う事で、眞子様、此処は1つお願いするでありんすよ」


そう言ってから木根さんは、バックバンドの方からコチラに来て、私の首から、なにかを掛けてきた。


うん?ベース?

これって『Modulus』のベースだって事以外は解んないんだけど、5弦ベースだね。


けど、これで、私に、なにをしろって言うんだろうね?



「ちょっと、ちょっと、これで、一体どうしろって言うの?」

「アリス殿の卒業祝いに。アリス殿と、次の曲『叶う願いが有るならば……』を、2人でコラボって欲しいでありんす」


あぁ……そう言う事ですか。


まずは観客の皆さんの要望に応えて、本業のベースの実力を見せろって事ですね。


……って事はあれだね。

この初めて使う5弦ベース1本で、次の曲の全てを上手く表現しろって事かぁ。


こりゃあまた、イキナリ難易度の高い事を平然と要求してくれたもんだね。


けどまぁ、ベースは本業だから、4弦だろうと5弦だろうと、特別関係ないか。

基本的には、ベースの法則性だけわかっていれば、弦が何本有ろうと、なにも変わらないしね。


それに、昨日、一昨日と奈緒グリのライブでやったみたいに、ベースでギターみたいな弾き方をすれば、取り敢えずの所は凌げそうだし、大して問題ではないか。



「あぁ、うん。別に、それは良いんだけどさぁ。会場のお客さんは、それで納得してるの?」

「大丈夫。みんな、眞子ちゃんの音を聞きたくて、もぉウズウズしてる筈だから」

「「「「「「焦らさないでくれよぉ!!遠慮せず、早く聞かせてくれよぉ!!」」」」」」

「「「「「「眞子ちゃんの実力を見せて、俺達を完璧に納得させてくれよ」」」」」」

「ほらね」


あぁ、そうなの?


こうやって、お客さんが納得してくれてるなら、別に構わないけどさぁ。


責任は取れないよ。


勿論、手抜き無しで、全力は尽くすけど、どうなっても知らないよ。



「あぁ、じゃあ、お言葉に甘えて、一曲だけ弾かせて貰おうかなぁ。……素直ちゃん、行ける?」

「勿論、準備万端だよ。いつもで行けるよ」

「そっか、そっか。じゃあ、渾身の一曲って奴を行ってみますかね」

「「「「「「わああぁぁ~~~~~~~!!待ってましたぁ!!」」」」」」

「「「「「「2人共、ガンガンに行っちゃってくれよなぁ!!」」」」」」


そうですか、そうですか。


素直ちゃんの卒業祝いがメインだとしても。

こんな無法者の私なんかの為にも、そんなに盛り上がって下さるんですね。


なら、その盛り上がりに応えるのがミュージシャンの礼儀ってもの。

此処からは遠慮なく、出来る限り、演奏に尽力させて貰いますよ。


私が、そう思ってる内に、3B-GUILDのメンバーが素早く端に散って行った。


それじゃあまぁ、折角、此処までお膳立てをして貰ったんだから。


素直ちゃんと2人だけのライブ!!行ってみますかぁ~~♪



----♪--♪---♪--♪---♪--♪---♪♪-♪♪--------♪--♪--♪----♪----♪--♪--♪……



「「「「「スッ……スゲェ。なんだこれは?」」」」」」


あっ……取り敢えずは、お客さんの反応も良さそうな感じだね。


思った以上に、悪くない反応だ。


……って、思うのもね。

実際の話で言えば、この話を振られた時点で、頭の中での曲の構成は、ある程度出来てはいたんだけど。

人前で弾くとなると、上手く出来てるのか、どうか、自分じゃあ判断し辛いんだよね。


それにベースの音は、ギターの音と比べて、かなり低音が効いている。


そこも懸念材料だったんだよね。


そんな訳だから、この演奏自体に不安が無かった訳じゃない。


けどまぁ、一応の反応があったって事は、そんなに不味くはないって事だよね。


なら、このまま、私の考える弾き方を継続してみようかな。


後は素直ちゃんが、どういう風に唄うかが一番の問題だからね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


この状況を、観客の皆さんさえ受け入れてくれてるのであれば、特に問題は無し。


ただ、問題としては『実力を見せる』と言う前提がある以上。

普通の演奏だけしてる訳にもいきませんので、此処も観客の皆さんに納得して貰える様な演奏をする必要がありますけどね。


さてさて、そんな中、演奏を始めた眞子なのですが。

まず最初にすべき事は、素直ちゃんとの音程調整。

此処が上手く嵌らないと、実力見せる云々以前の問題になってしまいますからね。


素直ちゃんは眞子の演奏に上手く合わせられるのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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