1323 チャンスを生かすも殺すも彼女達次第
突然の素直ちゃんの卒業宣言でブーイングの嵐に成った会場。
これは不味い!!と思った眞子は、咄嗟に自身の意見で3B-GUILDの面々や観客を煽り。
取り敢えず、会場を静めさせた上で、怒ったふりをしたままステージから降りるのだが……
***
……さてさて。
そんな風に言いたい放題言った上に、そのまま傍若無人にもステージから降りた私なんですが。
ステージの脇まで引き上げて来たら、運命がやけに心配そうな顔をして、私の顔をジッと見ている。
どうやら、この様子からして、ステージ上での私を見て、多分、私が本気で怒ってると思い込んじゃったんだろうね。
じゃあ此処は1つ、ヘッドホーンマイクの電源をOFFにしてから話をしましよう。
運命は『絶対に表舞台に立ちたくない』って言ってるから声が漏れたら不味いしね。
最低限の配慮って奴ですね。
「……眞子」
「あぁ、うん。大丈夫だよ、大丈夫だよ。そんなに心配しなくてもなにも怒ってないよ」
まずはストレートに、大きな間違いをしない様に英語で指摘する。
運命は、日本語が微妙に苦手だから、少しでも誤解もあっちゃイケナイしね。
けど、よく考えても見れば解る事なんだけど。
大体にして私が、あの場で怒る理由なんて、実際は何処にもないと思うんだけどね。
これ自体が、本来は私が介入する事自体が烏滸がましい。
3B-GUILD全体で解決しなきゃイケナイ問題だからね。
「眞子……ホント?」
「うん、勿論、勿論。本当に、なにも怒ってないよ。……ただね。今の現状じゃあ、部外者の私が、あぁするしかなかっただけの事だから」
「そぉ。……でも、なんで眞子が、そんな嫌な役をする必要が有るの?」
「うん?別に必要性なんて、なにもないよ。ただね。私は、今、自分が出来る事を精一杯やらないと気が済まないだけ。嫌とか、良いとかの問題じゃないんだよね」
「そぉ……」
こう言う感覚って解り難いかなぁ?
特に運命は人との接触を極力避けてた部分があるから、ちょっと理解し難い感覚ではあるかも知れないけど。
世の中には、そう言うアホな感覚を持ってる私みたいな人間も居るって事だね。
「でもね。私が、お膳立てしてあげられるのは此処まで。此処からは3B-GUILDのメンバーが全員で乗り越えて行かなきゃいけない問題だと思うし」
「そぉ。眞子、優しいね」
「あぁ、いやいや、こう言うのを投げっ放しって言うんだよ。全然優しくないし」
「投げっ放し?」
「あぁっとねぇ。無責任って意味」
「無責任?……そんな事ないと思う。眞子、みんなにチャンスを作ったと思う。そこで上手く出来るかは、みんなの次第だと思う」
満足です。
こうやって1人でも、そう言う風に解釈して頂けるなら、もぉ満足ですよ。
現状では、これ以上望む音はありませんね。
「そっか。ありがとう運命。じゃあ、みんなを、此処で一緒に見守ってくれる?」
「そぉ。私は、なにも出来無いから、せめて眞子と一緒に見守る」
「うん、お願い」
「そぉ」
そんな風に、少し運命と話して居たら、私がステージを後にしてから3分程経過していた。
けど、まだ物音1つ立たないぐらい、会場内はシ~~~ンっと静まり返っちゃってますね。
ひょっとして、これは……またやっちゃいましたかね?
失敗ですかね?
あの……出来ればなんですが。
何方か1人でも結構なんで、なにか声を上げてくれませんかね?
こう言う事態の収拾の仕方しか出来なかった者としては、非常に辛い心境なんですけど。
それにこのまま放って置いたら、またさっきと同じ最悪な状態になりかねない。
そうやって私が、自身の介入の成否を密かに焦りながらも苦悩していると……素直ちゃんが、漸く口を開き始めた。
漸くキタッ!!
「あっ、あの……あの……」
「「「「「「!?」」」」」」
「あの、今更こう言うのも、なんなんですが。まずは、なにを差し置いてでも謝罪させて下さい。自分勝手な事を、突然言い出して本当にすみませんでした。眞子ちゃんの言う通り、僕が軽率でした」
「「「「「「……素直ちゃん」」」」」」
はぁ……良かったぁ。
取り敢えずだけど、素直ちゃんが言葉を発してくれたから、これでなにかしろの動きはある筈。
さっきみたいに観客の皆さんも、反論の異を唱えるような雰囲気でもないし。
これは実に有り難い展開だ。
……ただね。
今度また素直ちゃんが同じ様なミスをしたら。
もぉ流石に私もフォローのしようがないから、言葉にだけは気を付けて話して欲しい。
良い展開になったとは言え、まだまだ一触即発の危機は脱した訳じゃないからね。
「僕は凄く安直な人間でした。皆さんの気持ちも考えずにズケズケと好き勝手な事を言ってしまった愚か者です。本当に許して下さい。心からお詫びいたします」
そう言って素直ちゃんは、深々と頭を下げた。
まずはこうやって反省の意を示す為にも、謝罪から入る態度は上々な出だしだと思える。
これなら観客の皆さんが、素直ちゃんの話を聞く体勢を作ってくれる可能性が高いからね。
若しくは……
「あっ、あの、ごめんなさい。私達も素直ちゃんの卒業を知ってて黙っていたんだから同罪だと思います。だから、素直ちゃんだけを責めるのは辞めて上げて下さい。そして出来れば、彼女の話を聞いて上げて下さい。彼女は彼女也に悩んでの決断なんです。どうか、お願いします」
「「「「「「お願いします!!(ペコッ)」」」」」」
そうだね。
それで良いんだと思うよ。
『One is for the guys, one for everyone』
山中君風に言えば『one for all,all for one』
『1人は、みんなの為に、みんなは、1人の為に』
折角のグループなんだから、そんな風に運命共同体じゃなきゃ、なにも意味が無い。
メンバーの誰かが困っていたら、みんなで助け合う事が一番大切な事だからね。
だから今、素直ちゃんの為に、損得抜きに、みんなで頭を下げて。
観客の皆さんに聞いて貰う体勢を作ろうとした、この行為は素晴らしい行為だと思う。
このまま上手く行くと良いんだけど。
「「「「「「し~~~~~ん」」」」」」
……ダメかぁ。
今日は、本当に思い通りに事が進まない日だね。
これで万事が上手く、事が運ぶと思ったんだけどなぁ。
これだけ、なんの反応もなく会場内がシ~~~ンっと静まり返ったままだと、どうにも成らないしなぁ。
世の中、そんなに甘くはないかぁ。
なら、そろそろ、此処ら辺で、違う手立てを打った方が良さそうだね。
潮時っぽいし。
なんて思っていたら……
「……なっ、なんだよ?なんなんだよ?」
キタッ?
キタの?
最前列で一番不平を垂れてたファンの人が、話を聞く気になったのか。
3B-GUILDの声に呼応して、会場内で唯一、自らの声で、みんなに声を掛けて来てくれてる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
取り敢えずは、眞子の自己犠牲が成功し。
漸く会場内が素直ちゃんの話を聞く体制に入ってくれましたね。
いやはや、いやはや、良かった良かった。
……っとは言え。
本編でも眞子が言ってた様に『不用意な言葉1つで元の木阿弥』に成る可能性もまだまだ高い状態なので。
此処からが本当に素直ちゃんや、3B-GUILDの面々にとっては正念場と言った所でしょうか。
っと言う部分を、次回は書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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