1322 これはもう強制介入するしかないかぁ

 ラストコールの際、会場の雰囲気が良かったので、これは良い機会だと思ったのか『卒業』を宣言してしまった素直ちゃん。

だが、あまりにも突然過ぎた卒業宣言だった為、観客達は混乱してしまい、ブーイングされてしまう事態に……


***


「そうだ、そうだ!!折角、楽しい時間を過ごしてたのに、突然、自分勝手な言い分で気分をぶち壊しやがって!!卒業するならするで、前以て言っとけよな!!」

「ごっ、ごめんな……さい」

「ふざけんなよ!!そんなもん、謝って済む問題かよ!!こんな気分の悪いライブ生まれて初めてだぜ!!今まで応援してきた俺等は、なんなんだよ!!ないがしろか!!」

「あの、違ッ……僕……」

「なら、ちゃんと納得出来る様な理由を言えよ!!理由もなく辞めるとか抜かしてんじゃねぇぞ!!ファンだからって、俺等をなめんなよ!!」

「あの……あの……」

「なんだよ?早く言えよ!!『あのあの』じゃ、なんも解んねぇんだよ!!」

「あの……ぐすっ……あの……」


はぁ……波の様に押し寄せてくるブーイングに、素直ちゃんは、完全に対応出来なくなって泣いちゃったね。


まぁ、3Bのライブは男性客が多いだけに。

あれだけ一斉に男性から罵声を浴びせられたんじゃ、素直ちゃんが堪えられないのも無理はないか。


ナンダカンダ言っても、まだ中学3年生の女の子だもんね。


でも、此処は、素直ちゃんの味方をしてあげたいんだけど。

観客の皆さんの気持ちを考えれば、当然の結果だと言えるからなぁ。


なんの前フリも無しに、こんな事をイキナリ言っちゃったんだから、これは仕方が無い事だと思う。


それに、頼みの綱にしていた他の3B-GUILDのメンバーも、文化祭で3Bを結成してからと言うもの、1度も、こんな罵声を浴びせられた事が無いから完全に萎縮しちゃってる。


これじゃあ、早くも、どうにも成らない展開だね。



……だったら、もぉ、私が強制介入しても問題無いよね。


余計な気遣いをして、四の五の考えてたんじゃ。

その内、3B-GUILD全員の精神が持たなくなっちゃいそうだしね。


部外者で悪いけど、此処は緊急事態と判断して、強制介入させて貰うよ。



「あぁ~~~あっ。なに、この酷い茶番?人を呼んでおいて、ブーイングを浴びせられる様な無様なライブをやるなんて、どういう了見よ?馬鹿にしてんの?」

「「「「「「えっ?」」」」」」

「「「「「「なっ!!」」」」」」

「ふん!!ほんとクダラナイ茶番。方や、たかが卒業位で、ブゥブゥブゥブゥうるさいだけのファン層だし。方や、ちょっと言われた位で、なにも言えなくなる卒業生?なにそれ?それに、3B-GUILDのメンバーも、誰1人としてフォローもしてやれないなんて、なんの為のグループなの?仲間意識も糞もないんだね。情けないなぁ。こんなのレベルが低過ぎて、もぉ笑うしかないよね」


いやはや。

部外者って立場上、こんな酷い言い方しか出来無いんですけど、本心を言えば良いファン層だと思ってるんですよ。

だって、ブーイングを浴びせるって事は、それだけ必至に3B-GUILDの事を想ってくれてるからこそ出る言葉だからね。


なので本来、これは決して悪い事じゃないと思う。


でもね。

そう思う反面『ちょっとは冷静に考えろ』って話でもあるんだよね。


素直ちゃんが、意味もなく『卒業』を言い出す訳ないじゃない。

ちゃんとした理由があって、この結論に行き付いた訳なんだから、今は納得出来なくても、まずは理由を聞ける状態を作ってあげてから、彼女の話を聞いて。

最後には、気持ち良く送り出してあげるのが、本当のファンってもんじゃないの?


この1年間、ファンの皆さんは、素直ちゃんの何を見てたんだろうね。


良いお客様だとは思うけど、そこだけは疑問に思うね。



「うるせぇ!!横からシャシャリ出てんじゃねぇぞ!!部外者は黙ってろよ!!」

「はぁ?うるさいのはアンタだよ。周りに乗せられて、ギャアギャアギャアギャアうるさいだけの奴なんかに文句を言われたくないんだけど。それに卒業の理由が聞きたいんなら、ちょっとは黙れば。良い大人が子供相手に煽り散らかして、これじゃあまるで公園で遊んでる子供レベルじゃない」

「はぁ?なんだよ、その態度!!こっちは時間を割いてまで観に来てやってるのに、偉そうな事の賜ってんじゃねぇぞ!!」

「はぁ?は、コッチのセリフよ。私はゲストなの。そう言うの関係ないの」

「関係ないなら、口挟むな!!出て行けよ!!」

「うっさいなぁ!!そんなに気に入らないなら、アンタが出て行けば良いじゃない!!気に入らない所に居るなんて、意味が解んないんだけど。無駄にキャンキャン吼えてる暇が有るんだったら、素直ちゃんが、なんで卒業しようと思ったのか考えれば。それがファンってもんじゃないの?楽しくライブを見るだけがファンなの?調子に乗って、周りに踊らされてるんじゃないわよ」

「グッ」


押し付けがましくて、すみません。

でも、なんとか、この酷い事態だけは収拾したいんで、ちょっとの間だけ我慢して下さいね。


理由を聞く体勢を作りながら、ちゃんとその辺もフォローしますんで。



「それとさぁ。さっきから黙ってる3B-GUILDの子達にも言いたいんだけどさぁ。こうなる事を、全然考えてなかったの?誰もフォローしないって、どういう事?これじゃあ、仲間意識0の仲間モドキもいい所だよね。もぉちょっと苦楽を共にしたら。それにプロなんでしょ」

「……あぁ、でも」

「言い訳なら聞かないよ。幾ら素直ちゃんが、勝手に卒業宣言をしたとしても、観に来てくれてるお客様を不快にさせるなんて論外。アンタ等、プロ意識が無さ過ぎるのよ」

「「「「「「あぁ……」」」」」」


まぁ、かく言う私が、一番、そのお客さんを不快にさせてる存在なんですけどね。


そこは、ちゃんと自覚してるんですよ。


でもね。

そこは正規の3B-GUILDじゃないと言う事で勘弁してやって下さいな。



「それと最後に素直ちゃん。そうやって泣くのは良いけど、ちょっとは進歩しようね」

「えっ?」

「『えっ?』じゃないから。私は、あれ程、口酸っぱく『説明不足』は良くないって言ったよね?なのに、またこの有様なの?『卒業』を口にするだけで、お客様が納得するとでも思った訳?『なんでも解ってくれる』なんて甘えた根性で、お客様に接してるんじゃないわよ。慢心するのも程々にしなよ」

「……ごめん……なさい」

「謝るなら、此処に来てくれたお客さんに謝りなよ。私に謝るなんてお門違いも良い所……って言うか。もぉ知らないから。みんなで勝手に話を付けて。私、帰る」

「「「「「「……眞子ちゃん」」」」」」

「……あぁ、それとね。最後にもう一点言わせて貰うけど、こんな無様な事態に成るなら、私をライブになんか2度と呼ぼうとしないでね。凄く不快だから。じゃあね」


……っと言いながらも、呆れ顔でステージの脇に退散して行く訳なんですけど。


後は、なんとか皆さんで頑張って下さい。

少々投げっぱなし感がない訳ではないんですが、私の立場上、こうやって再度会場を静まり返らせる位のフォローしか出来ませんので。


まぁでも、この最低限のフォローで、両サイドの悪い点を指摘させて貰っただけに。

観客の皆さんも変に煽り散らかすだけ行為はしないと思いますし、素直ちゃんや3B-GUILDのメンバーにも考える余裕が出来た筈。


所謂、素直ちゃんが卒業を言い出した時より少し良い状態でリセットを掛けれた感じなので、さっきよりかは話し易いと思うし。


お膳立てするにも、部外者だと此処ら辺が限界ですしね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


喧嘩等が起こった場合、それを仲裁出来るのは第三者視点で話せる者。

まぁ、眞子の立場としては3B-GUILDのゲストと言う立場なので、やや3B-GUILD側の人間にはなってしまうのですが。

この場合、眞子以外に事態を収拾させれる人間が居なかったので、強制介入を試みた感じです。


まさかこの状態で、マネージャーやライブ関係者がステージに出てきて仲裁したり、ましてや3B-GUILDの面々をステージから降ろす訳にもいきませんからね。


起こってしまった問題は、その場その場で解決するのがベスト。

逃げたり、後回しにしたら、その分だけ不満が募り、顰蹙を買うだけの話ですしね。


さてさて、そんな理由もありまして、眞子が強制介入して場を整えた訳なのですが。

此処から3B-GUILDの面々は、上手く会場に来てくれてるお客さん達を納得させ、和解まで持っていく事が出来るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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