1317 出難いわ!!

 いよいよゲストとして眞子がステージに上がる瞬間がやって来た。

さぁさぁ、素直ちゃん達は、どんなコールで眞子を紹介するのか?


***


「……えぇっと、さて、これで舞歌ちゃんによるプレゼントコーナーは、一旦終了なんですけど。実はまだ今日は、もぅ1つ最高のプレゼントを用意しています。皆さん聞いて頂けますか?」

「「「「「「なぁ~~にぃ?素直ちゃ~~~ん!!」」」」」」」

「あぁ、はい。実はですね。今日は、僕達、3B-GUILDを今まで色々支えてくれたスペシャルゲストを、此処に呼んでいます」

「「「「「「えぇ!!誰?誰?どんな感じの子?」」」」」」

「えぇっとねぇ。誰に対しても、凄く優しくて、頼りがいが有る人」

「「「「「「えぇ~~~っ、由佳ニャン『人』って事は、男なの?」」」」」」

「違うでありんす。物凄く可愛い女の子でありんす」

「「「「「「マジで!!うっひょうぅ~~~!!」」」」」」

「もっと、もっと喜んで♪私達全員が尊敬する子だから」

「「「「「「マジで舞歌ちゃん!!それって、マジでスゲェ~~~~~~!!」」」」」」


あの……そうやって、観客の皆さんを煽って盛り上げるのは大いに結構なんですけどね。

無碍にハードルを上げるのだけは、どうか辞めてくれませんかね?

そう風に過度のプレッシャーを与えられると、非常にステージ上に出難くなるんですけど。


なんの虐めですか、それ?



「それじゃあ、早くステージ上に出て来て欲しいんで、早速呼びますね」

「私達、3B-GUILDが愛して止まない女の子」

「そして、隣のクラスの隣人にして、我が校きっての天才美少女」

「完全無欠の全米GUILDランカー」

「せ~~~~の~~~~~!!」

「「「「「「眞子ちゃ~~~ん!!」」」」」」


ぎゃああぁ~~~!!本当にヤメてよぉ!!


本格的な虐めだよ、それ!!

そんな事を言われた後に、どの面下げてステージに上がれって言うのよ?


それに私、別に天才でもなきゃ、みんなに言って貰える程、美少女でもないもん!!

GUILDランクにしたって、モジャさんが勝手にしてるだけの事だもん!!


ホント、ヤメてよぉ、そう言うの!!



「「「「「「誰?……って、ちょっと待て!!美少女で、眞子って言えば!!」」」」」」

「「「「「「あぁ、多分そうだ。今、世間を騒がせてる、向井眞子だぞ!!」」」」」」

「「「「「「鞍馬だ!!鞍馬に違いねぇ!!あの子以外、此処は考えられねぇ」」」」」」

「「「「「「だったら、鞍馬コール行ってみようぜぇ!!鞍馬ぁ~~~~!!」」」」」」

「「「「「「鞍馬!!鞍馬!!鞍馬!!鞍馬!!鞍馬!!鞍馬!!鞍馬!!鞍馬!!鞍馬!!」」」」」」

「「「「「「眞子ちゃ~~~ん!!早く出て来てぇ~!!みんな待ってるよ!!」」」」」」


出難いわぁ!!


でも、まぁ……そうは言っても。

いつまでもステージの脇で文句を言いながら、立ち尽くしてても仕方がないしなぁ。


勿論、ゲストで呼んでくれてる以上、出て行かない訳にもいかない。


もぉ、しょうがないなぁ。

まずは、なんかちょっとした演出でもしてボケてみようかなぁ。


笑いが取れれば、ステージに上がりやすそうだしね。


そう決断した私は、ヘッドホーン・マイクから声を出す。



はぁ……けど、なんで、こんな目に遭わなきゃいけないの?


なんか違わない?



「あの、すみません。呼んで頂いてる所、非常に申し訳ないんですが。そんなに褒められると、非常に出難いんですけど。どうしましょうか?」

「「「「「「へっ?」」」」」」

「「「「「「へっ?なに?なんだって?」」」」」」


声はすれども、姿は見えぬ。

これぞ飯綱ちゃん忍法『池野めだか師匠の術』


……って言うか、このままじゃあ、本当にステージに上がり難いだけなんだけどね。


まぁそれを踏まえた上で。

今回のライブを観戦させて貰ってて、ちょっと気になった点が幾つかあるから、この期に注意させて貰おうとも思う。


勿論、こんなもの、ただの大きなお世話でしかないかも知れないんだけどね。



「ちょ!!ちょっと眞子ちゃん!!なになに?訳の解らない事を言ってないでステージの上に出て来てよ!!」

「あぁ、いや、出て行きたいのは山々なんですけどね。こうも必要以上に褒められたんじゃ、本当に出難いよ。……お家に帰って良いですかね?」

「ちょ!!ダメダメ!!帰っちゃダメだって!!お願いだから、出て来てよ、眞子ちゃん!!」

「あの……どうしましょうか?過度に期待されると、結構、困る人なんですけど」

「それは、眞子様故、仕方がない事でありんす。眞子様は、何所に居ても、注目される存在でありんすからね。早くステージに出て来て欲しいでありんす」

「あの、あのね。そう言われると、更に、困る人なんですけど」

「いやいや、ホント、眞子ちゃん出て来てよ。ライブが壊れちゃうって」


……っとまぁ。

こんな直ぐに出来る様な単純な演出は、どうでしょうかね?


『ゲストで呼んだ筈なのに、そのゲストが中々出て来ない』なんて即興としては中々の演出でしょ。


まぁ、そうは言ってもね。

この手法はバラエティや、お笑いなんかじゃ、結構、よく使われる定番の手口なんだけどね。


アイドルユニットのライブでやる馬鹿は、早々居ないでしょ。


良くないですか?



ダメですね。


はい、すみません。



「あぁ、そっか。それは困るね。じゃあ、ちょっとだけ、お邪魔しますね」


そう言った後。

腰を低くしながら、米搗きバッタの様にペコペコ頭を下げてステージインを果たす。



「「「「「「えぇ~っ!!なんじゃそりゃ?マジで、そんな感じなのかぁ!!」」」」」」

「「「「「「マジでか!!もっと仲居間さん系の傍若無人な子かと思ってた」」」」」」

「「「「「「有り得ねぇ~~!!奈緒グリのライブに乱入する様な子なのに」」」」」」

「「「「「「メディアあてになんねぇ~~~!!滅茶苦茶騙された~~~!!」」」」」」


簡単に世間の噂に流せれちゃダメですよ。

あんなのは、私がしてきたロクデモナイ行為の極々一部でしかないんですから。


本当は、もっともっとロクデモナイ事を一杯してるんですよ。


今みたいにね。



「まっ、眞子ちゃん……」

「うん?あぁ、はい、こんばんわ素直ちゃん」

「えっ?えぇっと、あぁ、はい、こんばんわ……じゃなくて、眞子ちゃん!!」

「うん?あぁ、はい、なんですかね?」

「あの……眞子ちゃんって、そう言うキャラだった?」

「うん、そうだよ。特に今日はね。ベースを忘れたから、人前に出るのが恥ずかしくってね。なんだか気がちっちゃいみたい」

「えっ?えっ?えぇ~~そうだっけ」

「うん、嘘だね。ごめん」

「えっ?」

「「「「「「へっ?嘘?プッ!!なんだそりゃあ!!あはははははっはは……」」」」」」

「「「「「「あはっははっ……ヤッパ、噂通り、スゲェ肝座ってるじゃん」」」」」」

「「「「「「この場で、そんな事をするなんてスゲェ肝の座り方じゃん!!」」」」」」


観客の皆さんの感じからして、まずはなんとなく上手く行ったみたいですね。


よかった、よかった。


……さて、こうやって軽く笑いが取れた処で。

3B-GUILDのみんなには、此処からは、ちょっとライブについての実践的な講習してみよっか。


大きなお世話かも知れないけど。

素直ちゃんが抜けるのが決定してる以上、今までの様な可愛いだけの演出じゃ、人気の継続は難しく成って来るだろうからね。


これからは、他の芸能人からも、人気を奪い取る方法も身に付けなきゃいけないし。

奈緒ネェや、千尋さんみたいな軽快なトークも必要になって来るからね。


今日ゲストで呼んでくれたお礼に、その辺を、少しだけ教えておくね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


呼び出しコールなんで仕方がない所もあるんですが。

そりゃあまぁ、あれだけ無駄に褒められたら出難いですよね(笑)


それこそ、あのまま素で出て行ったら、まるで「自意識過剰女」みたいに見えちゃいますしね。


……ってな訳で、一計を案じたステージインした眞子。

しかもこの後も、なにやら3B-GUILDのライブで気になった点を指摘するみたいなのですが。


一体、何を指摘するつもりなのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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