1306 強い想いと支えたいだけの心
木根さんに素直ちゃんに対する気持ちを聞いてみた所、特に興味はない処か、あまつさえ『邪魔者』とまで言い放った。
その理由は、倉津君に迷惑をかける存在だからと言うのが理由。
どうやらその様子からして木根さんは、彼に救われた事により『倉津君の幸せを至上とする考え』の持ち主だった。
眞子、困る(笑)
***
「そっかぁ。けど、琴ミン。真琴ちゃんは、きっと琴ミンにも、普通の幸せを掴んで欲しいと思ってると筈だよ」
「そうでありんすな。真琴様は、そう言う方でありんすな」
「だったら、そこまで真琴ちゃんに固執する必要はないんじゃないの?」
「それは、どうあっても無理な相談でありんすな」
「なんで?」
「ワッチにとっては、真琴様は唯一無二の存在。あのお方以外の男性に興味は持てないでありんす」
そこを言われると、自分も崇秀さんへの想いがあるから反論の余地が無いなぁ。
うぅ……困った。
「でもさぁ……」
「ここに『でも』はないでありんすよ、眞子様」
「えっ?」
「約束は、必ず守るでありんす故、どうか、ワッチの事はソッとして置いて欲しいでありんす。ワッチは、アリス殿の様に、真琴様を苦しめる様な愚かな真似は致しません故」
そうかぁ。
こう言う認識があるからこそ、素直ちゃんの事を『最大の敵』だって言ったんだろうし、それ以外では『素直ちゃんに興味が無い』って言い切ったのも頷ける。
本当に真琴ちゃんメインで物を考えて、素直ちゃんの事を『邪魔者』だとしか思っていなかったんだね。
それに、素直ちゃんと妙に仲が良かったのも『彼女が、おかしな行動を起こさないかを監視していた』っと考えれば辻褄が合う。
もしこれが真相なら、彼女は間違いなく『真琴ちゃん幸せ至上主義者』だ。
……でも、そうは言っても、人の心は移ろい易いもの。
今後の事を考えると、簡単に、この言葉を信じて良いものなんだろうか?
「その言葉を信じて良いの?私は、奈緒ネェに害を成す者は徹底的に排除するよ。それが誰であっても許さないし。それだけの覚悟が有って、私に、その言葉を使ってるんだよね?」
「信じる、信じないは、眞子様のお心1つ。ワッチが言う言葉ではないでありんすし、強制するものでもないでありんす。ただ……」
「ただ?」
「ただ、敢えて言うなら、まずはほんの少しだけでも良いので、ワッチのその言葉を信じて見守って欲しいでありんす。その間に、必ず、真琴様が幸せに生きられる様に陰から支えさせて頂きます故、それをキッチリと証明してみせるでありんす」
嘘偽りの無い真剣な眼で、此処までハッキリ言い切られたんじゃ、幾ら私が疑い深くても、疑う余地は無いか。
まぁそれに、彼女の言う通り、その期間をお試し期間と考えるのも悪くないし。
もし仮に木根さんが嘘をついていたとしても、それに対する報復をする事は、いつだって可能だしね。
なら此処1つ、木根さんの提案に乗るのも悪くないかぁ。
変に此処で事を荒立てるのも得策ではないし。
ひょっとしたら、この木根さんのサポートが、今後の真琴ちゃんに、なにか良い影響を与える事だってあるかもしれないもんね。
「うん、解った。そこまでの覚悟があるんだったら、私も、その言葉を一旦は信じる事にするよ」
「そうでありんすか、それはありがたいでありんす」
「……あぁ、でも、それとは別に、一点だけ伝えておかなきゃいけない事があるとすればね」
「なんでありんすか?」
「素直ちゃんは、もぉ真琴ちゃんの事は完全に諦めてくれたからね。今はもぉ普通の友達でしかないから、もう監視する必要性はないよ」
「そうでありんしたか。なら、もぉアリス殿とは、普通に接する事にするでありんすね」
「そうだね。出来れば、普通の友達に成って欲しいけどね」
願わくば木根さんには、素直ちゃんとは長い付き合いをしてあげて欲しい。
あの子は子供っぽいし、トラブルメイカーな一面もあるけど、決して悪い子じゃないからね。
それに、なんて言っても素直ちゃんは、木根さんの事を本当の友達だと思ってる。
だから出来れば、その気持ちだけは傷付けないであげて欲しい。
此処に関してだけは、切にそう願うよ。
「そうでありんすな。なら、ワッチも、そうさせて貰うでありんす。……それにしても、眞子様は良く見られてるでありんすな」
「えっ?なんの話?」
「ワッチが、密かにアリス殿を監視している所まで気付かれていたとは、夢にも思わなかったでありんすよ。恐れ入ったでありんす」
「あぁ……それは、今しがた気付いた所だよ。前から気付いてた訳じゃないよ」
「そうでありんしたか。なら、余計な気遣いをして頂かず、良かったでありんす」
その言葉が、最も信用が出来る要因なのかも知れない。
これは、他人に気付かれる事無く、密かに真琴ちゃんにだけ恩返しがしたいと言う意思表示だからね。
……って言うのもね。
今までの木根さんの行為を思い起こせば。
彼女が唯一真琴ちゃんに手を出そうとしたのは、去年の文化祭で言った『コミケに連れて行って欲しい』って言った位のものだもんね。
しかも、あれを『ダイエットに成功したご褒美』だと本気で考えれば、これだけの想いが有って、一度も手を出していない事にも成る。
でも、最終的には、このご褒美さえも、自分が手を出しちゃ真琴ちゃんに迷惑が掛かると思って、手を引いた上に、以降も手を出さなかった。
こう言った証拠から、彼女には、真琴ちゃんに対する献身以外のものは、なにも見受けられない。
・・・・・・
( ゚д゚)ハッ!……って!!ちょっと待って!!
それって言う事は、ひょっとして……アレも真琴ちゃんの為なの?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
木根さんの言動からして……奈緒さんとは別のカテゴリーで、倉津君を支えてくれそうな雰囲気ですね。
もっと解り易く言えば、奈緒範は全体的なサポート、ステラさんは精神的なサポート、そして木根さんは陰から支えるサポート、っと言った感じでしょうか。
特に木根さんの場合は、倉津君自身が、奈緒さんやステラさんに向ける好意とは違い。
まったく恋愛感情がフラットな状態ですので、案外、彼女のサポートが倉津君に良い影響を与えてくれるかもしれませんね。
友達感覚的な感じで(笑)
さてさて、そんな中。
木根さんの事に関して、今までとは別のカテゴリーの事で眞子が何かに気付いた様なのですが。
一体、眞子はこの状態で、なにに気付いたのでしょうか?
そして、その真相は如何なるものなのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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