1305 木根さんの素直ちゃんに対する気持ちと、その本音

 シャワーを浴びに来た眞子と運命ちゃん。

そこで琴ミンと合流して話をするのだが、ボケが3人集まるとボケ合戦が勃発し、哀れ眞子はツッコミ役に(笑)

そして最後の最後で、運命ちゃんが練習してた場所に忘れ物をしたと言うボケをかまし、その場に残された2人は……


***


「あぁ、行っちゃった」

「行ってしまったでありんすね。運命殿、大丈夫でありんすかね?」


うん、不安だね。


道に迷いそうなキャラだし。



「大丈夫なんじゃないかな。解んないけど。……あぁ、それはそうとして琴ミン」

「うん?なんでありんすか?」

「琴ミンって、素直ちゃんの事、どう思ってるの?」

「うん?なんでありんすか?豪く唐突な質問でありんすなぁ」


それはもう、開演まであまり時間が無いからです。


だから簡略です。



「あぁ、ごめん。けど、ちょっと、みんなの態度を見てて、素直ちゃんに対する認識を知っておきたくてさぁ。唐突なんだけど、出来れば、正直に教えて貰えると有り難いね」

「良いでありんすけど。ワッチは、特に、なんとも思ってないでありんすよ」


あらら、意外と冷たいんだね。

素直ちゃんの家に行く様な仲だから、相当、仲が良いと踏んでたんだけどなぁ。


そこは違うんだね。



「そうなんだ。でも、なんでまた?」

「アリス殿は、私にとっては、ただの邪魔者でありんすからね。それ以外では、必要以上に興味はないでありんすよ」


うん?なにこの話?

ってか、また、なんか不穏な空気が流れてきたね。


琴ミンには、素直ちゃんの話を聞こうと思ってただけなのに、やけに引っ掛る言葉を使うね。


ひょっとして、また地雷踏んじゃった?



「邪魔者?それって、どういう事?」

「真琴様でありんす」

「真琴ちゃん?」

「そうでありんすよ。ワッチは、真琴様に、悪い魔法使いから呪いを解いて貰った身。それ故に、この身を真琴様の為に捧げるのは、当然至極の行為でありんすからね。その邪魔に成るアリス殿は、ワッチにとっては最大の敵。早々に芸能界から消えて貰った方が有り難いでありんす」


そうかぁ。

『なんとも思っていない』と言った琴ミンの意図は、真琴ちゃん絡みだったんだ。


素直ちゃんの片想いの件が片付いたと思ったら、まだこんな所にも『真琴ちゃんLOVE』の伏兵が居たんだね。


まぁでも確かに。

あの『デブ』『細目』『眼鏡』の『3重苦のブス』だった木根さんを、ちゃんと『女の子扱い』した上で、ダイエットまで成功させたんじゃ、こうなっても、おかしくはないかぁ。


けど、木根さんって、ボケキャラのフリをしてるクセに、意外と腹黒なんだね。



「あの、琴ミン。……その人、ヤクザの組長の息子なんですけど」

「なんの事でありんすか?ワッチにとって真琴様は、白馬の王子でありんすが」

「いや、あの、そう言う非現実的な話じゃなくて、現実的にヤクザなんですけど」

「眞子様の言ってる意味が、よく解らないでありんすねぇ。それに、もし仮に、真琴様が、そのヤクザ成るものであったとしても、ワッチの気持ちは、なにも変りませぬぞ」


うわっ!!これは思ってた以上の重症患者だ!!


この様子じゃあ、普通に話したんじゃ埒が開かないパターン。

開演までの時間が無いだけに、これは短期決戦でケリを付けなきゃ成らないね。


それだけに、また『あの嫌な話をするしかない』様だね。



「そうなんだぁ。……でも、琴ミン。琴ミンはさぁ、ヤクザの事を解ってるの?」

「ヤクザの事なら、十分に解ってるつもりでありんすよ」

「なんでまた?」

「そりゃあ、ワッチの父君の弟が仕事もロクにしないヤクザ者でありんすからね。ワッチの家も、散々迷惑ばっかり掛けられてるでありんす。最低の人種でありんすなぁ」


その事実を知ってるんだ。

この子も飯綱ちゃん同様、そう言う関連の肉親が居たからこそ知ってるんだ。


これは意外な展開だった。


けど、そこまで解ってるなら……



「そこまで解ってても、それを受け入れるって言うの?」

「当然でありんすよ。けど、誤解しないで欲しいんでありんすが、別にワッチは『真琴様との幸せな関係を望んでる訳ではない』でありんすよ」

「へっ?」

「ただ単にワッチは、真琴様の為だけに生きたいだけでありんすから」


これは手強いなぁ。

この話の内容を理解して上で、まだ真琴ちゃんとの付き合いを続け様としてるなんて、相当だよ。


しかも自分が『真琴ちゃんの彼女である必要性はない』っとまで言い切られちゃった。


なのでこのままじゃあ、一目惚れをしていた素直ちゃんの時の様な正当な言い回しじゃ、話すら聞きそうに無いね。


こんな時に、本当に厄介な話になったもんだ。



「でもさぁ。真琴ちゃんには、私のお姉ちゃんである奈緒ネェって彼女が居るんだよ。そこは、どうするつもり?」

「先程も言ったでありんすが。ワッチが、特別、真琴様の彼女である必要性は何処にもないでありんすよ。あのお方が幸せに生きられるのであるなら、それがどんな険しい道でもあっても、ワッチは厭わない覚悟があるってだけの話でありんすからね。ワッチの価値は、真琴様にのみ決定権が有るのでありんす」


マジで……


あのダイエットの件が、そこまで、木根さんの心の中に入り込んでいたとは……


此処まで来ると、人に親切にするのも考えものだね。


……けど、木根さんの気持ちも解らなくもないなぁ。

現実的な話だけで捉えた場合、私の崇秀さんに対する想いも、その『親切心』が根底だしね。


だからと言って……



「そうなんだ。でも、私、奈緒ネェを悲しませる真似は、絶対に許さないよ」

「そうでありんすな。そこも、ちゃんと弁えてるでありんすよ」

「えっ?」

「ワッチは、本当に、なにも望まないでありんすよ。心配せずとも、ソッと影から真琴様を見守るだけにするでありんすから」

「そうなの?でも、なんで、そこまで?」

「……親戚である眞子様にも、彼女である奈緒様にも、ワッチは色々お世話に成ってる身。お2人に嫌われるのも嫌でありんすからね。それになにより、真琴様が困る様な真似はしたくないでありんすよ」


強い意思だなぁ。


自分の幸せはド返しなんだ。


けどまぁ、言うなれば、此処まで深く真琴ちゃんを想えるって事は。

あの例の一件が無ければ『自分はブスのまま、誰にも相手にされずに一生終わっていた』って言うのを十分な程に理解しきっている証拠なんだろうね。


その人生を一転させてくれた真琴ちゃんには、自分の一生分の価値が有ると判断しての決意。


これは下手をしたら『奈緒ネェ同様の覚悟の持ち主』だ。


ただ、それだけに、なんて言って良いものか。


これはまた、なにか別の切り口を探さないと……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


一見すれば、仲が良かった様に見えた素直ちゃんと琴ミン。

ですが蓋を開けてみれば、琴ミンは、素直ちゃんに対して特別な感情はなく。

実は倉津君の為だけに、素直ちゃんが「なにか倉津君に迷惑を掛けないか」を見ていただけだったんですね。


しかも、それ程の想いがあっても本人は、倉津君と付き合いたいのではなく。

彼の幸せになるお手伝いをしたいと言い出す始末。


……ってな訳で、まさかの倉津君のLOVEと言う伏兵の登場に、またしても問題勃発。

まぁまぁ、これ自体は3B-GUILDとは直接関係ない話なのかもしれませんが。

眞子にとって、早急に解決しておきたい問題でしょうから、この後も琴ミンとの話し合いが続きます。


さてさて、この問題を、短期間で上手く解決できるのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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