1293 運命ちゃんの本音

 眞子との会話で、一気に心を開いてくれた運命ちゃん(仁科さん)。

そんな彼女とは『ライブ後、一緒に帰りたい』っと眞子は思い、それを提案するが……流石にまだハードルが高すぎた。


すると此処で、素直ちゃんが何か意見があるらしく……


***


「あぁ、うん。勿論、良いよ」

「じゃあ、1つだけ言わせて貰うね」

「どうぞ、どうぞ」


ダチョウ倶楽部じゃないよ。



「あの、仁科さん」

「なにか?」

「あの、良かったらなんだけど、見学だけでもしてみませんか?僕達と思い出作りが嫌でも、眞子ちゃんとの思い出なら悪くないと思うんだけど」


上手い!!流石、仲裁国の正当な女王様っと言われるだけの事はありますね。


これはまた見事な言い回しです。


それにしても素直ちゃん。

こういう発言が出来るって事は、さっきの私と運命の話を静かに聞きながら、運命の性格を良く観察してたんだね。


やるぅ!!



「あぁ……」

「それにね。さっきはみんなと喧嘩に成っちゃったけど、出来れば仲直りもして欲しいし」

「えっ?私、喧嘩してない。一方的に怒られた」

「「えっ?」」


うん?なんでそうなるんだろう?

あれで『一方的に怒られた』って、どういう状況なの?


あれって、そういう状況だったっけ?


……っと言ってもなぁ。

今までの経過からして、運命は噓を言うような子じゃないしなぁ。


あれれ?なんか言ってる事が、おかしいですぞ。


・・・・・・


うっ、うん?


……あっ!!ひょっとして、この子!!


私、凄い勘違いをしてたかも知れない!!



「ちょ!!ちょっと良いかな!!運命、どうしても1つ聞きたい事があるんだけど」

「どっ、どうしたの、眞子ちゃん?」


あっ、やっちゃった。

真琴ちゃんの如く、焦って声が大きくなっちゃったよ。


その声で運命だけに留まらず、素直ちゃんも吃驚させちゃったよ。


すみませんねぇ。

こう言う所だけは、私、ホント変わらないよね。


反省。



「あぁ、あのね、運命。さっき『遠い所から来た』って言ってたけど。それって、ひょっとして、帰国子女なんじゃないの?」

「帰国子女?ごめん、意味が解らない」

「えぇっとね。海外から、日本に帰って来た子の事」

「あぁ、それならそう」


ヤッパリだ。

やっぱり私は誤解していた。


この子は無感情なんじゃなくて。

日本語の意味が理解し切れてないから、咄嗟に表情を作れなかっただけなんだ。

それに、眉間に皺を寄せてたのも、口数が少ないのも、解る日本語を選びながら必至に話して居たから過ぎなかったんだ。

付け加えて言えば、3-Bに馴染めなかったのは、海外生活での長かったから、日本の習慣が良く解らなかったんだね。


なぁ~~~んだ、そう言う事だったんだ。


私……なにを解った様な顔をして喋ってたんだろ。


これは恥ずかしいなぁ。


まさに、本物の『お馬鹿ちゃん』だよ。



「あぁ……そう言う事ですか。そう言う事だったんですね」

「どうしたの、眞子?」

「あぁ、いやいや、別になんでもないよ。……それより運命さぁ。本当は、みんなと仲良くしたくない?」

「したい……かな」

「だよね」

「でも、どうして良いか解らない。みんな、私の事を奇異な眼で見る。だから、拒絶するしかなかった」


そこの精神状態は、大凡の所は合ってるんだね。


まぁ、そこが合ってたからこそ、なんとか会話が成立して、それなりに話が上手く噛み合ってたんだろうね。


なんと言う奇跡ですか、これ?



「そっか、そっか。じゃあ尚更、練習場に行こうよ」

「どうして?」

「どうしても、こうしても、みんな、運命を誤解してるだけだから、そんなものは直ぐにでも誤解を解けば良いだけの話なのよ。その為にも練習場に行こうって話」

「なんの誤解?」


解ってないかぁ。


あぁでも、そこを日本語で上手く説明するのは少し難いなぁ。


じゃあ、こう言うのはどぉだろ?



「えぇっとねぇ。説明する前に、運命って、英語出来る人?」

「うん。英語と、ドイツ語なら、ちゃんと解る」

「ドイツ語?なんでまたドイツ語?」

「うん。マムがドイツ人」


ハーフかぁ。


なるほど、なるほど。

じゃあ、此処から想定出来る事は。

まずは日本人のお父さんがドイツに留学、若しくは海外赴任をした事から始まり。


そこで、ドイツ人のお母さんと出逢って、恋に落ち……結婚。


後に、子供を身篭って、運命が誕生。

……っで、最近までドイツで生活してたって事だね。


……って言う勝手な予想話を、運命に英語で聞いてみた。


故に、これ以降は英語ね。



「うん。そんな感じ」

「そうなんだ。道理で、日本語での口数が少ない筈だ」

「うぅん。そこは元々の性格。あまり人付き合いは得意な方じゃない」

「あぁ、そうなんだ」


事はどうあれ、大人しいのは大人しいんだね。



「それに、日本語って表現が多くて難しいのは事実。意味が捉え難い。だから間違わない様に出来るだけシッカリ聞いて、簡潔に話してたんだけど。それが、どうにも、相手とは上手く噛み合わなかったみたい」

「なるほどねぇ。それで、話が噛み合わないのが嫌な運命は、更にクラスメイトと距離を置いて、拒絶せざるを得なかったと」

「うん。そう言う事。だから本当は、眞子が一杯話掛けてくれた時は、凄く嬉しかった。でも、まだ人に対する疑念が晴れなくて……」


あぁそっか。

今まで、そうやって来たんだから、そう簡単には割り切れたもんじゃないよね。


元々大人しい性格なだけに、解らなくもない心境ですしね。



「ごめんね、仁科さん。そんな事情だとは、僕、全然、気付いてあげられなかった。ただの無愛想な子だと思ってた」


あらら、素直ちゃん、いつの間にやら英語がペラペラですね。

その様子じゃ、3B-GUILDを卒業した後、単独で海外遠征を狙ってるんですかね?


大きなお世話ですね。


ごめんなさい。



「うぅん。そこは仕方がないと思う。私が、そう仕向けてたし」

「でも、ごめんね」

「うぅん」


あらら、いつの間にか素直ちゃんに、美味しい所を一気に全部持って行かれちゃったね。


素直ちゃん、意外と強かですね。


やりますな。



「じゃあさぁ。尚更、行かなきゃダメだよ。みんなと仲良くした方が楽しいし。言い合いに成った由佳ちゃんとも、伊藤さんとも、早めに和解しなきゃね」

「うん、そうなんだけど。気の強い子は苦手。強く言われると……怖い」

「そうなんだ。でも、そう言う時は、素直ちゃんが怖い顔してガァ~って怒ってくれるから大丈夫だよ」

「えっ?えっ?ぼっ、僕なの?」


そんなね。

いつまでも美味しい役や、可愛い役回りバッカリさせませんよ。


偶には、汚れ役もしなさい。


その内、クセになるから。



「本当?」

「ほらほら、素直ちゃん、運命が聞いてるよ。ガァ~~~って怒ってくれるか?って聞いてるよ」

「うぅ……もぉ、眞子ちゃんの意地悪。僕、そんな事出来無いよ」

「なんだってさ」

「あぁ……」


ダメだなぁ。

さっき佐藤さんに出逢った時、猛烈に反省して、良い子ちゃんの眞子に戻ろうとしたんですけどね。


結局、意地の悪い事をしちゃってるよ。


でもね、女の子同士だったら、こんなもんですよ。


……完全に言い訳だけど。



「……眞子ちゃん」


なんですか素直ちゃん、その哀願する様な目は?


アイフルのCMですか?


うぅ……卑怯者め。



「はいはい。私が怒りますよ。私が怒れば良いんでしょ」

「うん。お願い眞子ちゃん。僕が怒っても、なにも怖くないし、威厳も無いから」

「ありがとう、眞子」


もぉ!!本格的に2人してズルイなぁ。

結局、素直ちゃんも、運命も、立ち位置的には、凄い女の子らしい可愛い立ち位置に留まっちゃったよ。


なんか、すっごく損した気分。


だけど、この程度の事で、運命が、みんなと仲良く出来るなら、それは、それでOKだね。

どうせ私は、どこまで行っても『汚れ役』ですから。


ヒロインには成れませんから……とほほ。


***


 ……っとまぁ、そんな訳でして。

ニューカマーの仁科運命ちゃんを引き連れて、3B-GUILDのみんなが待つ練習場に向かって行く訳なんですが。


現在の時間13時30分を持ちまして、今回の話は、此処で全て終了です。


次回は、どうなる事やら。


***


次回予告。


さてさて、次回は。

3B-GUILDライブのお話をメインに進めて行く訳なんですが。


今回、仲良くなった運命が、3B-GUILD内で一体どういう役回りに付くのかが注目。


私の予想では『この子には、秘められた何かがある様な気がして成らない』

なんて言ったって、神奈川に集まる人間は、崇秀さんを筆頭に化け物が多いですからね。


この土地には、化け物を引き寄せられる、なにかが有るとしか思えないですしね。


そんな訳で、次回は……


『A 3B-GUILD`s live①』

「3B-GUILDライブ①」


……っで、お逢いしましょう。


なにが起こるかは、次回のお楽しみっと言う事で。


バイバイ♪(*'ω'*)੭ु⁾⁾


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>

これにて、第一章・第七十七話【Fool girl & Prologue 3B-GUILD`s live(お馬鹿ちゃんと、3B-GUILDライブの控え室)】はお仕舞に成るのですが、如何でしたでしょうか?


まぁ、なんと言いますか。

運命ちゃんの性格が大人しいは大人しいとしても、コミュ障とかではなく。

ただ単に【帰国子女だから、日本語がよく解っていなかっただけ】で【別に友達が欲しくなかった訳ではない】っと言う酷いオチだった訳なのですが。


何が原因で、こんな事に成ってしまったのでしょうね?

普通なら、そう言った事に関しては、前以て担任の先生から告知がある筈なので、こう言った事にはならない筈なんですがね。


恐らく、こうなった原因には、なにかある筈。


……ってな訳でございまして。

次回から始まる第一章・第七十八話【A 3B-GUILD`s live①(3B-GUILDライブ①)】の冒頭で、それらの謎を言及したいと思いますので、良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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