1292 少しづつ変化を見せる仁科さん

 少しづつ会話が嚙み合っていく2人。

そこで眞子は再度『友達になって欲しい』と願い出るが、仁科さんはこれを拒絶……したかに見えたのだが。

その後、意外にも「けど」っと言い出し。


***


「けっ、けど?」

「それをしないなら、友達に成ってみたい。……よく解らない人だけど」


おぉ!!すご~~い!!

そう言ってくれると言う事は、こんな短時間で、少しだけでも心を開いてくれたんだね。


凄い凄い!!


ちょっと漫画みたいな展開で『こんなに簡単に、人の心が開く訳ない』なんて思うかも知れないんだけど。

これは、少しでも彼女が変わろうとしてる証拠。


『変わる訳ない』なんて思ってる、殻に閉じ篭る事しか出来無い人には出来無い所業だね。


根本的な部分で、ダメな自分を変え様と思わなきゃ、なにも変わらないし。

相手もダメなままの自分じゃ、全くと言って良い程、興味を持ってくれないもんね。


此処をチャレンジしようと思っただけでも、大したもんだよ。


なら、それにはちゃんと応えないとね!!



「うんうん。じゃあ、それでお願いしますね。その件については、出来る限り努力致しますんで」

「努力するの?」

「うん、するよ。私、どうにも、お節介な性格らしくて。直ぐ、人に干渉しちゃうらしいんだよね。だから、努力しないと、その気持ちは抑えられない。でも、抑えないと、多分、ズケズケと物を言っちゃうから、その努力は必要だと思うよ」

「そぉ。でも、私に、そこまでする必要が有るの?」

「さぁね。それは、今後の仁科さん次第だから解んないけど。自分の為にならする価値は有ると思うよ。色々な思考パターンを経験するには、持って来いの事象だしね」


グローバルな思考を持つには、実体験が必要。

書籍で勉強した事も、実地で使えなきゃ、宝の持ち腐れだからね。


『知識と経験』

これこそが、現代社会で生きていく上では一番大切なスキルなんじゃないかな。


その上で、これを有用に使えれば、人間関係を上手く構築出来る様に成るし、人よりも、より良い楽しい人生を満喫する事が出来る。


まぁ、その為にも、色んな努力を怠っちゃイケナイって事ですね。



「そぉ。本当にアナタは、何所までも変わった人」

「うん、そうだね。そこは重々承知してる。……あぁ、そうだ。それはそうとしてさぁ。仁科さん」

「なにか?」

「私の事を『アナタ』って呼ぶの止めてくれないかなぁ。一応、これでも、向井眞子って名前が、ちゃんと有るんだけど」

「じゃあ、向井さん」

「堅苦しいなぁ。眞子で良いよ。二文字だし、その方が呼び易くない?」

「えっ?二文字?……じゃあ、眞子さん」

「だから、眞子で良いって。呼び捨てで十分だよ」


『~さん付け』なんかしなくて良いんだよ。


呼び捨てするのも、その内、慣れるから。



「馴れ馴れしくない?」

「私が?」

「私が」

「全然」

「そぉ。じゃあ……眞子」

「だね。……じゃあ、仁科さん名前は?」

「……運命。仁科運命(ニシナサダメ)。変な名前」

「全然。神秘的な良い名前だよ」


でも、ちょっと変わった名前だね。


これも、その内、慣れるかなぁ?



「そぉ」

「うん。じゃあ仁科さん、運命って呼んで良い?馴れ馴れしい?」

「……悪くない」

「じゃあ、運命。……うん、なんか良いね。可愛いし」

「そぉ?」

「うん」

「そぉ」


この様子じゃあ、きっと自分の名前が嫌いなんだね。


でも、そう呼ばれ続けている内に、きっとそれも慣れるよ。

みんなが、そう呼べば、自ずと、その名前の固有名詞が、自分だと認識出来る筈だからね。


特に珍しい名前だし。


その辺は、心配御無用ですよ。



「じゃあ、友達として成立したから、この話は、これでお仕舞いね」

「そぉ。じゃあ、帰る」


えっ?……もう帰っちゃうの?


うぅ……



「あぁっと、ダメ。一緒に帰りたい」

「無理。眞子、この後、用事がある」

「あぁ、そっか。じゃあ待ってて、一緒に帰ろ」


無理かな?


流石に、これは早過ぎますか?


ハードル高いですか?



「……良いけど。どこで待ってれば良い?」

「えぇっと、練習場?」

「疑問形で聞かれても困る」

「そうだよね。じゃあ、練習場。見てるだけでも良いから、付き合って」

「眞子……我儘。無理言わないで」


うん、ごめん。

ヤッパリこれは、早急過ぎたみたいだね。



「うぅ……でも、困ったね。だったら、どうしたもんだろう?」

「また今度、学校で逢えば良い。それで問題無し」

「それじゃあ、今日は一緒に帰れないね。……しくしく」

「クスッ……眞子、嘘泣きは良くない」


あっ……笑った。



「ですね。……ごめん。でもさぁ、一緒に帰りたいのは、ホントなんだけどなぁ」

「眞子。困らせないで」


うん?なんだこの人?

素直になった途端、やけに可愛いさを振り撒く人だね。


そんな態度を取られたら、余計に一緒に帰りたくなってきちゃうじゃない。


まだまだ一杯喋りたいし。



「うぅ、でも、一緒に帰りたいもん」

「子供みたい」

「子供だもん」

「……そうだけど」


う~~~~ん、そうじゃないんですよね。

まだ喋りたいとは言っても、こう言う解り易いボケツッコミを望んでるんじゃなくて……ねぇ。


本当に、なんとか一緒に帰る案がないものかなぁ?


……なんて頭を捻らせて居たら。



「あっ、あの、ちょっとだけ良いかなぁ、眞子ちゃん」


律儀にも、椅子に座ったままズッと静観していた素直ちゃんが、此処に来て、漸く話し掛けてきた。


此処で『仲裁女王』の見参ですね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


あれ程、他人を拒絶していた仁科さんだったのですが。

眞子の奇妙な説得により、なんと!!『2人は正式に友達になりました』ね。


やったね眞子ちゃん!!

仁科さんを変な子だと切り捨てずに頑張った甲斐がありましたね♪


それにしても、あれですね。

妙に気に掛かるのが、仁科さんの名前が『運命(サダメ)』っと言う名前なのですが。

ひょっとしたら『名は体を表す』なんて言葉通り、これは仁科さんが、眞子になにかしろの『運命的な影響を与える予兆』なのかもしれませんね。


もしそうなら、何が起こる事やら(笑)


次回には……まぁまだ、その辺の片鱗は見えませんが。

此処で素直ちゃんが、何やら仲介してくれるようなので、まずはそちらの方を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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