1289 これは少し危険な状態なんじゃない?

 眞子がライブで歌やダンスを披露する件は、佐藤さんの協力を得た事で、やや光明が見えたのだが。

それとは別に、意味も解らず、此処に呼ばれた癖が強めな転校生である仁科さんの問題が勃発!!


***


「なにそれ?アンタ、馬鹿じゃないの?転校生だから、由佳が優しく接してあげてるんだから、ちょっとは素直になったら」

「別に頼んでない。押し付けないで」

「そう言う事を言う?同じ転校生でも、眞子ちゃんとは大違いだね。アンタみたいな気味の悪い子じゃなくて、眞子ちゃんが、ウチのクラスに編入して来れば良かったのに」


あの、伊藤さん。

相手の態度が気に入らないのは解からなくもないけど、幾らなんでも、それはちょっと言い過ぎじゃないかな?


そりゃあまぁ、そうやって私の事を評価してくれるのは嬉しくない訳じゃないんだけど。

仁科さんに対して放った『クラスに来て欲しくなかった』って言うのは、かなり残酷な言葉だと思う。


下手したら、心に傷を負いかねない言葉だよ。


それにね。

まだ彼女もコチラの新しい環境に慣れてないだけかも知れないんだからさ。


もぉちょっとだけでも良いから、言葉をオブラートに包んで使おうね。



「人は人。私には関係ない」

「あぁっそ。じゃあ勝手にすれば良いじゃない。アンタみたいな気持ち悪い子、ウチのクラスには要らないしね。何処へなりとも、サッサと帰ればぁ」

「そぉ。じゃあ帰らせて貰う。さようなら」

「あぁ、まだ居たんだぁ。……ってか、知り合いですらないんだから、別に挨拶とかイラナイから、早く帰りなよ。目障りなだけだし」

「そぉ」


う~~~ん。

この様子からして、思った以上に仁科さんは打たれ強いみたいだけど。

それでも、やっぱり伊藤さんの、そう言う一方的な物の言い方は良くないよっと思ってしまう。


そう言う事をしちゃうと、また木根さんの時みたいな虐めが再発しちゃう恐れがあるからね。


現実的な話、他の3B-GUILDのみんなが、この状況を見て。

今後、どういう対応をすべきなのかを考えてるのかして、完全に場が静まり返っちゃってるんだけど。

実際は、そうやって考えてるみたいに見えて、もう味方をする相手は、明らかに『舞歌ちゃんの方』だと決まり切っているからね。


『ずっと仲間として絆を深めて来た人間』と『パッと出の気難しい転校生』じゃあ、もう比べる必要性なんか何処にもないぐらい【どちらの味方をすべきか】明白だからね。


しかも伊藤さんは、3B-GUILDの次期副リーダー。


そう成ったら当然、仁科さんをこのままにして置いたら『全員から無視されたり』下手したら『虐めに遭う可能性すらある』


こう言った理由から『木根さんの時の様な虐めが再発する』って思ったんだけど。

矢張り、3B-GUILDのみんなは仲間同士でコソコソと話し始め、伊藤さんの意思に従う様な素振りを見せ始めている。


これは本格的にヤバい!!


・・・・・・


あぁ、もぉ……しょうがないなぁ。



「あの……仁科さんだっけ。ちょっと良いかなぁ?」

「なにか?」

「えっ?ちょ、眞子ちゃん。そんな気味の悪い子なんか無視しなよ。こんな奴、構うだけ無駄だよ」


私が仁科さんに話し掛けただけで、此処までの態度をとるって事は。こりゃあまた想像以上に、腹が立ってるみたいだね。


でも、そう言う時こそ、出来る限り冷静に成りましょうね。

こう言うタイプの子と接する時は、必ずしも、そうやって怒った者が負けなんですよ。



「そうなのかもね。でも、そうじゃないかも知れないじゃないかな?」

「えっ?」

「それに私が個人的に話し掛けたのは、少し仁科さんに聞きたい事があるだけだから。仁科さんが帰る前に、ちょっとだけ話させてね」

「眞子ちゃんが、その気味の悪い子に聞きたい事って……なに?」

「秘密、秘密。ふふっ、それは後々わかるよ」

「そっ……そうなんだ」


よし、これで伊藤さんの毒気が少しは抜けたな。



「なんてね。ホントごめんね。……あぁ、でも、大した話じゃないし。みんなに迷惑掛かっちゃイケナイから、先に練習に行って貰ってても良いよ」


まぁ……その練習を一番しなきゃいけない問題児が、かく言う私だったりするんですけどね。


でも、この子を、このまま放って置く訳にもいかないから、此処は眞子に任せて下さいな。



「あぁ、じゃあ、先に行ってるよ。この子、なんだか気味が悪いしね」


もぉ、また、そう言う余計な一言だけを残して行っちゃうし。

伊藤さんって、こう言う所だけは大人気ないって言うか、感情剥き出しの子供全開になっちゃうんだよね。


個人的には嫌いじゃないけど。


だって、それも伊藤さんの個性と言えば個性だしね(笑)



「あぁ、ちょっと舞歌!!……ごっ、ごめんね、眞子ちゃん。呼び出して置いて、こんな事に成っちゃったけど。舞歌の事が心配だから、私も先に行くね」

「あぁうん、OKOK。私の事なら全然大丈夫だから、由佳ちゃんは、伊藤さんの所に行ってあげて」

「「「「「「あぁ、じゃあ、私達も」」」」」」


この後、伊藤さんを追い駆ける形で由佳ちゃん達3B-GUILDのメンバーが、ゾロゾロと、ほぼ全員出て行く。


俗に言う、この場の放棄ですね。


けど、この様子から言って、この仁科さんって子は、クラス内でも、相当、手に負えないのが手に取る様に解った。


若しくは完全に嫌われちゃってるね。


なんて、更衣室から出て行くみんなの後姿を見ていたら……



「あの、眞子ちゃん。……僕、絶対に口を挟まないから、此処に残っても良いかなぁ?」


唯一この控室に残ってた素直ちゃんから、そんな言葉が齎された。


おぉ……



「あぁ、うん。別に良いよ。私も、ちょっと仁科さんに聞きたい事が有るだけだから」

「あぁ、じゃあ。居させて貰うね」

「どうぞ、どうぞ」


此処に残る事を宣言した素直ちゃんは、少し離れた場所に座り。

言葉通り黙ったまま、コチラを伺ってる。

この辺は、やっぱり、3B-GUILDのリーダーを務めてるだけの事は合って責任感が強いね。


更に此処からも解る様に、この仁科さんを、この場に誘ったのは他ならぬ素直ちゃんみたいだね。


それはとても良い事ですよ。


……さて、これで予定通り、素直ちゃん以外は、みんなが去り。

私自身が思い描いた通りの現状に成って準備も整った事だし。

この状況下でも、律儀に待ってる仁科さんの件を片付けてみますかね。


時間が無いだけに、上手く行けば御喝采ってね。


攻略開始なのです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


1つ問題が解決しかけたら、また新たなる問題が定義される。


まぁまぁ、こう言う事象はリアルでもよくある話なのですが。

仁科さんの件に関しましては、このまま放置してしまったら『また虐めが再発してしまうのではないか?』と言う懸念から眞子が動き出しましたね。


ホント、お節介と言うか、見て見ぬ振りが出来ない子と言うか……(笑)


……っとは言え。

こうして関わった以上、なにかしろの解決の糸口を見付けなきゃいけないのも事実。


なら今回は、どの様な方法で、この問題の糸口を見つけ出すつもりなのでしょうね?


次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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