1287 その要求は現状では厳しい
素直ちゃんが眞子を早くに呼び出した理由、それは……
『眞子にゲストとして、3Bのライブに参加して欲しい』っと言うものだったのだが。
その依頼を受けるにしても問題点が多数存在して、おいそれと受ける訳には。
***
「ダメかなぁ?」
「えぇっとねぇ、素直ちゃん。返事をする前に、ちょっと待って貰って良いかなぁ?」
「えっ?あっ、うん」
「なんで、そう言う要求に成っちゃったのかなぁ?知ってると思うんだけど、私、唄に関してはド素人だよ」
「えっ?えぇ~~~っ!!眞子ちゃん、全然ド素人じゃないよぉ。凄く上手だし。堂々と唄ってたよ」
「えぇっと、それは何時の話かなぁ?何所のライブでの話?」
唄った記憶は数少ないから、直ぐに何所でのライブかは解ると思う。
けど、そんなに絶賛して貰える程、上手く唄った記憶は1度もないんだけどなぁ?
一体、いつの話だろ?
「えぇっとね。今年の初めに、眞子ちゃんが行ってた全米45箇所ライブの最終日の前座。ヒデ君と一緒にやってた、あれ」
あぁ……どれかと思ったら、あれですかぁ。
あれなら確かに、高い評価を受けたとしても強ち間違ってはいないね。
なんて言っても、あの前座ライブは、崇秀さんの完全な支配下の元で行なわれた前座。
なので敢えて私じゃなくても、自分の性能を超えた歌唱力が引き出されてても、おかしくはないもんね。
それに、あれ自体が全世界に向けて細川君がネット中継をしてたから、素直ちゃんが、それを見てても、コチラも不思議な事じゃないかぁ。
けど……それだけに、まいったなぁ。
「あぁ、あれかぁ。でも、あれってね。崇秀さんのギターによる影響が大きく出た上での歌唱力だよ。とても『私の実力で唄った』とは言い難いと思うんだけど」
「そんな事ないもん。眞子ちゃんの実力があればこそ、あの歌唱力が出たんだもん。僕だってボーカルなんだから、それぐらいは解るよ」
両手を持たれて力説されてもなぁ。
しかしまぁ、また豪く信用されたもんですねぇ。
困りましたね。
例え、この唄の件が片付いたとしても。
まだまだ3B-GUILDのライブで唄うには、問題が山積みな状態だからね。
その最大の問題の1つが【このライブはスポンサーが付いてるだけに、そんな気軽な遊び感覚じゃいけない】って部分。
特に、この様な大型施設を使った商業ベースでのライブでは、プログラムと言うものが存在しており。
それに沿ったリハを重ねた上で興行が成り立ってるが故に、演者が勝手に、それを弄り回すのはご法度なんですよね。
それだけに、そこを完全に解決出来なきゃ、流石に、この話は乗れないよぉ。
「う~~~~ん。そうなのかなぁ?私は違うと思うけどなぁ」
「そんな事ないって!!眞子ちゃんは、唄が、絶対的に上手だって!!」
「そうなの?……でもさぁ、素直ちゃん、ダンスは、どうするの?私、歌が唄えるとしても、踊るのは、流石に出来ないよ」
「あぁ……」
折角、意気揚々と誘ってくれてるのに、ちょっと可哀想な事を言っちゃったかなぁ。
……っで、これが2つ目の問題なんだけど。
仮に歌の方は、なんとかなったとしても、ダンスは私にとって未体験ゾーン。
これも大きな問題だ。
そりゃあまぁね。
事前に『ある事』をしているから、まったくダンスも出来ない訳じゃないんだけど……それだと失敗する可能性がねぇ。
商業ベースに物を考えた上で、事実だけを追求すれば、これが最大級の難問なんだよね。
幾ら私がゲストとして呼ばれてるからと言っても。
みんなの統制の取れたダンスをしている中、私だけセンター付近でボケ~~っと立ちながら、唄う訳にもいかないしね。
可愛い唄+統制の取れたダンス=3B-GUILDの最大の売りでもある訳だし。
今後の3B-GUILDの為にも、そこだけは絶対に外す訳にはいかない。
「解って貰えたかなぁ?」
「嫌だ。……それでも、眞子ちゃんと唄いたい」
「えっ?」
「嫌だ。僕は、眞子ちゃんに、今まで一杯お世話に成ったから。お礼に、この大舞台で歌って貰いたいの。僕が3B-GUILDに在籍してる今しか、そのお礼が出来無いから……だから、お願い眞子ちゃん。僕の一生に一度のお願いを聞いて」
あぁ、そっかぁ、そう言う事かぁ。
素直ちゃんが此処まで無理を押して、私を武道館のライブに出演させ様とした理由は、そこにあったんだぁ。
素直ちゃん、別に、なにも感じなくてもいい様な恩義を深く感じてくれてたからこその、この提案だったんだね。
それで、もう直ぐ自分が3B-GUILDを卒業するから。
最後に自分が出来るお礼にと思って、自分と一緒に『私を、この武道館に立たせてあげよう』って思ってくれたんだ。
そっかぁ。
・・・・・・
えぇ~~~い!!……だったら、もぉゴチャゴチャ考えるのはヤメだね。
四の五の言う前に、開演時間までに、私がダンスを仕上げれば良いだけじゃない!!
それにスポンサーの件も、予定していたプログラム以上の盛り上がりを見せたら、文句はないんでしょ。
だったら、やってやろうじゃないですか!!
「うん、解った。そう言う理由なら承った」
「えっ?」
「素直ちゃんの気持ち受け取ったから、出来ない也にも精一杯やってみせるよ。でも、ちゃんとフォロ-してね。ダンスは、唄以上にド素人だから」
「……眞子ちゃん」
……って言う事で、ど根性眞子は、開演時間まで特訓ですよ特訓!!
血と汗と涙の結晶だけが成果を齎すんだから。
出来る限りの事は、全て、やり尽くしておかなきゃね。
勿論、やる以上は、失敗なんか、絶対にゴメンだし。
素直ちゃんの気持ちを貰ったんだから、それに応えられるぐらいの勢いで絶対に成功させてやるもんね!!
おぉっし!!なんだかやる気が沸いて来たぞぉ!!
……っと、覚悟を決めて、気合を入れていたら。
「なぁ、君。今の話、ちょっとコチラまで聞こえちまったんだがな。少し口を挟んでも良いか?」
うん?
突然、そうやって佐藤さんが声を掛けてくれたんだけど、なにか用事なのかなぁ?
もう開演時間まで、あまり余裕が無いから、もし用事があるなら手短にして貰えたら有り難いんですけど。
なんでしょうね?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
素直ちゃん、どういう理由で、こんな無茶な提案をしたのかと思えば、眞子に対しての恩義を感じての事だったんですね。
まぁ、素直ちゃんも眞子も、ジャンルは違えど同じミュージシャンではある訳ですので。
『ミュージシャンなら大舞台で演奏したいだろうなぁ』って思っての行動なのでしょうから、これ自体は何も悪い事ではないと思うのですが……まぁ少々無茶な要求ではありましたがね(笑)
……っとは言え、それが解った上で眞子は了承をした訳ですから。
此処からは、また大変な事に成りそうな予感。
まぁでも眞子にしても倉津君にしても、こういうピンチの際には、必要以上の力を発揮するので、案外なんとかなるのかもしれませんがね(笑)
それ以外にも、このライブを成功に導くかもしれない存在が、偶然にも此処には居る事ですし……( ̄ー ̄)ニヤリ
そんな訳で、次回はその辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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