第18話

夜明け前の病室。百合はベッドに横たわり、あかりがその傍らに座っている。部屋は静かで、窓の外には夜の闇がまだ残っているが、遠くから少しずつ明るくなっていく空が見える。



百合の手をしっかりと握るあかり。緊張した面持ちで、百合の呼吸に合わせて息を詰めるようにしている。部屋の中には、赤ちゃんの泣き声が響き渡り、看護師がその小さな存在を二人に見せている。



あかり 「百合…見て。私たちの赤ちゃんだよ…。」


百合 (疲れた表情ながらも、目に涙を浮かべて)「信じられない…こんな小さな命が、私たちの子供なんて。」


看護師が赤ちゃんをそっと二人の間に差し出す。百合が震える手で赤ちゃんを抱きしめ、あかりもそばに寄り添い、二人でその小さな命を見つめる。


あかり (感動で声が震えて)「すごく…かわいいね。」


百合 「うん、本当に。あかり、ありがとう。こんな素晴らしい瞬間、一緒にいてくれて…。」


あかり 「ありがとうって、私の方こそ…。百合がいてくれるから、こんなに幸せなんだよ。」


二人はしばらくの間、赤ちゃんの顔を見つめ続ける。外では夜明けの光が少しずつ差し込み、部屋の中に柔らかい朝の光が入り始める。


百合 「これから私たち、もっと家族になるんだね。」


あかり 「うん。三人で一緒に、どんな未来が待っているんだろうね。」


赤ちゃんが少し動いて、小さな手をあかりの指に触れる。その感覚に二人は微笑み、お互いの視線を交わす。


百合 「どんな未来でも、あかりがいてくれれば大丈夫。」


あかり 「私も、百合がそばにいてくれるから頑張れるよ。これからも、ずっと一緒に。」


二人はそっと寄り添い、赤ちゃんを優しく見守りながら、これから始まる新しい家族としての生活に思いを馳せる。朝の光がさらに強まり、家族の新たな一日が始まる。


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