第16話

二人が結婚してから半年が経った頃の朝。二人が住んでいるマンションのキッチン。大きな窓からは朝日が差し込み、心地よい朝の光に包まれている。あかりはコーヒーを淹れ、百合は新聞を読んでいる。





あかり

「百合さん、今日の朝ごはんは何にする?卵焼きか、パンケーキ、どっちがいい?」


百合

(新聞を読みながら)「んー、パンケーキかな。最近甘いものが食べたい気分なんだよね。」


あかり

「了解。パンケーキね!じゃあ、ちょっと待ってて。」


あかりは軽やかにキッチンで準備を始め、フライパンにバターを溶かしながらパンケーキの生地を流し込む。百合は新聞を読みながらも、時々あかりの方をちらっと見て微笑む。


百合

「こうやって、毎日一緒に朝ごはんを食べられるのって、本当に幸せだね。」


あかり

「うん、私もそう思う。昔は忙しい時期もあって、こうしてゆっくりする時間がなかなか取れなかったもんね。」


百合

「そうだね。大学の頃はお互いに課題やバイトでバタバタしてたし…それに、付き合ってすぐの頃はお互いを理解するのに時間がかかったけど、今はすごく自然体でいられるよね。」


あかり

(パンケーキを返しながら)「そうだね。結婚してから、ますます百合さんのことが好きになったよ。なんていうか、日々の小さなことでもすごく楽しいし、安心感がある。」


百合は新聞を畳んで、テーブルに肘をつき、あかりを見つめる。


百合

「私も。あかりと一緒にいると、どんなことでも乗り越えられるって思える。」


あかりがパンケーキを二枚の皿に盛りつけ、シロップとフルーツを添えてテーブルに運んでくる。


あかり

「はい、できたよ!特製パンケーキ!」


百合

「ありがとう!すごく美味しそう。」


二人はテーブルに座り、パンケーキを一口食べる。


百合

「やっぱり、あかりの料理は最高だね。」


あかり

「ありがとう!そう言ってもらえると嬉しいな。百合さんと一緒にこうしてご飯を食べる時間が、私にとって一番大事な時間だよ。」


百合

「私も。これからも、ずっと一緒に朝ごはんを食べようね。」


あかり

「うん、約束だよ!」


二人は微笑み合い、ゆっくりとパンケーキを楽しむ。その後も、休日の計画や週末に観たい映画の話をしながら、穏やかな時間が流れていく。



結婚して1年が経過した頃の夕方。二人のリビングルーム。あかりは仕事で忙しく、百合も最近残業が増えている。少し疲れた様子の二人。





百合

「ねぇ、あかり、最近少しずつだけど、家事がたまってきてない?」


あかり

(ため息をつきながら)「わかってるけど、仕事が忙しくて時間が取れなくて…百合さんだって最近残業ばかりで、あんまり手伝ってくれてないよね。」


百合

(少しムッとして)「それはそうだけど、だからってお互いにやることはやらないと、家が回らないよ。私も疲れてるのに…。」


あかり

(少し声を上げて)「私だって同じだよ!なんでいつも私ばかり責められるの?」


しばらく二人の間に沈黙が流れる。百合はソファに座り込んで、少し後悔の表情を浮かべる。


百合

(静かに)「…ごめんね、あかり。言い過ぎたかも。確かに、私も最近余裕がなかったんだ。」


あかり

(ため息をつき、優しく)「私もごめん。最近ちょっとイライラしてたかもしれない。百合さんが大変なのもわかってるから、一緒にもう少しうまくやっていこう。」


百合は少し微笑み、あかりの隣に座って肩に寄りかかる。


百合

「こうやって、お互いに謝れる関係で良かった。」


あかり

「うん、どんなことがあっても、話し合って解決できるのが私たちだもんね。」


百合

「そうだね。これからも、どんなことでも一緒に乗り越えていこう。」


二人は静かに寄り添いながら、夕焼けが窓の外に広がっていくのを眺める。


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