第10話

春の風がキャンパスを吹き抜け、桜の花が舞っていた。百合は大学の広場で一人、卒業生の名簿を眺めながら待っていた。今日は、彼女の友人であり、大学の卒業式の日だった。


「あかりさん、遅いな。」百合は時計を見ながらつぶやいた。「待ちくたびれてしまう。」


すると、遠くからあかりが笑顔で手を振りながら近づいてきた。「百合さん、お待たせしました!」


「いえ、全然待っていませんよ。卒業式に遅れたら大変ですからね。」百合はにこやかに応じた。



卒業式が始まり、キャンパス内は賑やかな雰囲気に包まれていた。学生たちはそれぞれの卒業証書を手にし、喜びと感慨深い気持ちでいっぱいだった。


「ついにこの日が来ましたね。」あかりは感慨深げに言った。


「本当に。」百合も頷きながら、式典の様子を見守っていた。「ここで過ごした時間が、これからの人生にどんな影響を与えるのか楽しみです。」


式が終わると、学生たちは友人や家族と共に写真を撮り、最後の思い出を作っていた。



卒業式の後、あかりと百合はカフェで祝賀会を開いた。二人は自分たちの新たなスタートを祝うために、特別なランチを楽しんでいた。


「これからのこと、どう考えていますか?」百合は興味津々で尋ねた。


「まだ確定していませんが、やりたいことはたくさんあります。」あかりは前向きな表情で答えた。「絵を描いたり、小説の執筆を続けるつもりですし、新しいプロジェクトにも挑戦したいと思っています。」


「素晴らしいですね。」百合は感心しながら言った。「私も、カウンセラーとしてのキャリアを築くために頑張りたいです。」


「お互いに、これからも一緒に頑張りましょう。」あかりは励ましの言葉をかけた。




数週間後、百合とあかりはそれぞれの新しい生活に挑戦し始めた。百合はカウンセリングの研修を受け、あかりは小説の執筆に取り組んでいた。


「この仕事、思ったよりも難しいですね。」百合は初めての研修に苦労しながらも、前向きな姿勢で言った。


「私も同じです。小説の執筆は、思っていた以上に時間と努力が必要です。」あかりは同じように感じていた。


二人はお互いに連絡を取り合い、困難を共に乗り越えていく励まし合っていた。




ある日、あかりと百合は再び大学のキャンパスで待ち合わせをしていた。二人は以前のようにキャンパス内を歩きながら、お互いの近況を語り合っていた。


「新しい挑戦があると、少し不安になりますね。」百合は少し不安な表情を見せた。


「でも、私たちにはお互いの支えがあるから、大丈夫です。」あかりは力強く答えた。「一緒に歩んでいけるからこそ、前向きな気持ちで進めるんだと思います。」


「そうですね。これからもお互いに支え合っていきましょう。」百合は笑顔で言った。


二人は約束の場所で、これからもお互いに助け合いながら、新たな未来へと進んでいく決意を新たにした。




夕暮れ時、キャンパスの桜が再び満開を迎えていた。百合とあかりは、大学生活の最後の一歩を踏み出し、これからの未来に向けて新たな一歩を踏み出していた。


「私たちの未来が、どうなるのか楽しみですね。」あかりは希望に満ちた表情で言った。


「本当にそうですね。お互いにとって素晴らしい未来を作っていきましょう。」百合はしっかりと頷いた。


二人は桜の下で未来を見据えながら、新たな始まりを祝福した。お互いにとって、これからの道が明るく輝くことを信じて。

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