第8話:真っ暗な山頂で大事な報告
鶴崎公園の祭りの日から1、2週間が経ったある日の夕方。俺は未だに朋香と付き合ったことを里美に報告できずにいた。今は里美とソファでぼやっとテレビを眺めている。
[3大流星群の1つである「ペルセウス座流星群」の活動ピークに。一番多くの流星が見られるタイミングは、昨日12日夜~今日13日未明にかけてでしたが、今日13日夜~14日未明もまだ流れ星が見られるチャンスが続きます。空の暗い場所で1時間あたり20個程度が期待されます。───](tenki.jpより一部引用・改変)
───そのようなニュースが流れてきた。俺たちは元来、星や流星群に興味はなかったのだが、ふと右隣を見ると目を爛々と輝かせている里美と目が合った
「秀!流星群を見に行こう!」
俺がグッドサインを出すと里美はニカっと笑った。
そういうわけで今夜は里美と2人で流星群を見に行くことになった。もちろん朋香を誘おうとしたのだが、用事があるとのことで断られてしまったのだ。
いつのまにか夜も更けたので俺たちはアパートから野を越え山を越え…山は越えずに山の山頂付近までトラックでやってきた。
トラックから降りて空を見上げると星がちらほら見えた。夜空を照らす星々が真っ暗な視界に希望を届けてくれる。山の静けさと星空の美しさが心を落ち着かせてくれる。
少し歩くと地面が少しぬかるんでいるような気がした。そういえば昨日は雨だったな。
心が晴れるような感覚を覚える夜の山は俺にとって癒しの場所だな。こうして姉と星座を探したり、流れ星を待ったりすることはまさしく癒しの時間と言える。
遠くから流れてくる川のせせらぎの音がやさしく聞こえてくる。夜の山には魅力がたくさん詰まっている。
「あっ見て秀くん!」
里美の指さす方向にはプレアデス星団が見えた。
一つ一つの星が織りなす輝きに目を奪われる。
「ところで…いつのまにかレジャーシートなんて用意してたんだよ」
里美はレジャーシートに寝そべって空を眺めている。近くにはジュースとお菓子をセットしてある。
「秀くんもこっちおいで〜!」
俺と里美は同じレジャーシートに寝そべって同じ空を眺める。辺りは暗く、他に人もいないのでここは俺たちだけの秘密基地のようだな。
しばらくぼんやりと空を眺めていると里奈が問いかけてきた。
「秀くん…なんかあった?」
「え…?」
「どこか上の空だし、ぎこちなかったりするでしょ?」
「ははっ…やっぱり里美には隠せないなぁ」
俺はハッキリと朋香を好きでいることと付き合ってることを伝えた。すると、里美は驚きの表情を浮かべた。しかし、すぐに喜んでくれて「おめでとう」と祝福してくれた。
だが、お姉ちゃんはどこか寂しそうな顔をしている。
超人お姉さんが家ではダラけまくっている件 蒲生 聖 @sho4168
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