第7話 シェア

(ベンチに並んで座る)

(車が通り過ぎる音)

(自転車が通り過ぎる音)


「バス、まだだね」


 たまたまスーパーで舘畑君に会った私。

 買い物の後、バス待ちすることになって、ベンチに並んで座ったけど、どう見ても汗が凄い、緊張しているんだろうなあ。

 緊張がほぐれる方法は…家で食べようと思って買ったアレを出そう。


「待ってる間、これ食べよ?」


(袋から物を出す音)


「ポテト、はいあ〜ん」


(離れた音。2人の間に1人分のスペースが出来る)


「どうしたの?食べてよ」


「あー分かった、私がポテトを1本持ってるから恥ずかしいのか〜」


「大丈夫大丈夫、誰も見てないよ」


「ほおら、あ〜ん」


(おそるおそる近づく音)

(食べる音)


「どう?美味しい?」


「美味しいなら良かった良かった。私も食べよっと」


(ポテトを1本食べる音)


「美味しいね」


「はい、後は自分で取って食べてね」


(仲良くポテトを食べると、手が触れる)


「あっ…」


(互いにドキッとして、また2人の間に1人分のスペースが出来る)


「あ…あとは、これ、あげるよ」


「ううん、あげるあげる。美味しそうに食べる所を見て嬉しかったし」


「そうだよ、遠慮しないで!はい!」


(ガサッとポテトを渡す音)


「ついてきたケチャップあるけど?」


「つけないんだ!私はつけちゃうなー」


「なるほど、本来の美味しさを味わうてきな。通だね」


「次は私もケチャップ遠慮して、ポテトそのまま食べよっと」


(バスが近づいて止まりプシューとドアが開く音)


「さて、乗りますか」


 もう少し2人きりの時間を楽しみたかったな。

 時間を止める魔法が使えたら、絶対使うのに。


「あれ?乗らないの?」


「歩き?近いの?そうなんだ」


 予想外の展開じゃん。


「じゃあ、また明日ね、ばいばい」


(プシューとドアが閉まる音)

(1番後ろの席に座る)


 手を振ると、振り返してくれた。嬉しい。


(バスが発進)


 バス待ちに付き合ってくれたんだ。

 ありがとうって明日言わないと。

 優しいなあ。

 どうしよう、ドキドキしてきた。

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