第4話 委員会

(放課後。吹部のトランペットの音)


(陸上部の掛け声)


(野球部の掛け声、打球音)


(花壇に水やりしている音)


 花壇に水やり、お花似合うね。可愛い。


「どうしたの?お花をじっと見て」


 隣に、さりげなく。


(しゃがんだ時に出る砂と靴が擦れる音)


「ああ、委員会の仕事ね。お疲れ様」


 なるほど、当番の仕事なのか。

 綺麗だなー、可愛いし。

 色とりどりで飽きないし。


「綺麗だね、みんなで配置考えてるの?」


「先生が決めてるんかーい。自分達で決めたくない?そっちの方が楽しそうなのに」


「雑草とるの?じゃあ手伝うよ。手袋?大丈夫大丈夫、平気平気」


 手袋なんかしなくても平気だし。


「ミミズいたらとってね」


 さすがに虫は嫌だから、なんとかして欲しい。


「えっ…虫ダメなの?そっかー、なら鎌あるし、それでなんとかするかー」


 鎌が助けてくれる、良かった、鎌さんがあって。


「謝んないで、大丈夫だから。男の子で虫ダメなの増えてるみたいだけど、ほんとだね」


「苦手克服なんかしなくていいよ、そういう所もんだし」


 ん?顔がみるみる赤くなってないかな。


「あれ、顔赤いけど?…なんでもなくないでしょ、教えてよ?」


 近づいて。聞いてみないと。


(肩が触れる距離まで詰める。耳元でゆっくりと一言)


「ねえ…どうして顔が赤いのかな…お・し・え・て…?」


(ザザザと離れる)


 えっ!?ショック!


「離れないで!怖くないから!」


(ザザザと近づく)


(ザザザと離れる)


 ここは強引に、攻めないと。


(ザザザと近づく。腕を絡める)


「つかまえた♪」


 緊張で離れたがってるようだ。

 なら、そうだなー…。


「…離すから離れないで。もう少し話したいし…いいでしょ?」


 分かったって言ってくれた。

 ゆっくり離れよう。


「ありがとう」


 話題は…あっ、お花だな。


「この花なんて言うの?ああ、マリーゴールドか。可愛いよね…」


(一方的に小深田こぶかたさん話す)


 時間よ、止まれー…。

 伝わらない想いだね、まだまだだなあ。

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