第3話 書店

(店内をゆっくり見て回る足音)

(店内放送)

(自動ドアの開閉音)

(漫画コーナーで立ち止まる)


 あっ、ここで会えるなんてラッキー。

 声をかけてみよう。


「どうしたの?」


 またビクッと肩を震わせたなあ。

 可愛い反応だな。


「ふふ、こんにちは」


「漫画読むんだ?オススメはどれかな?」


「へぇー、表紙の女の子可愛いね。着てる服可愛すぎる!いいな~」


 こんなに可愛い女の子だと、開いたらびっくり箱だったりして。


「あっ…開いたら、大人な描写があるのかなあ?」


(肩をちょんちょんとつつく)


「でも、そういうのあるよね?レベルはどうあれ。それ見てドキドキとかするの?」


 男の子ってどうするんだろう。気になる。


「ドキドキしないのかー。ふぅーん」


 なんとも思わない男の子、いるのか。


「つまんないなー。期待したのに」


 どんな人もいるよね。

 私の方が変なのかな。


「とりま、これ読むね」


(本を取る音)


「教えてくれてありがとう。じゃっ、また学校で」


(静かに歩く音)


(トクントクントクン、心臓の音)


 私、下品なのかも。

 恥ずかしくて顔が熱くなってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る