第3話
「もうすぐ出口です!!」
リリーの言葉にサリエリーが反応し急ブレーキがかかった。私が前を見るとガラスらしきもので進路が塞がれており進めない。
しかし3人は降りて塞がれている方へ向かって行った。私は魔法を解除してあとをついて行く。
そこでまた驚かされた。近くまで行くと何の原理か分からないが勝手に道ができたのだ。
「ふぅー帰ってこれたぜ。そんでアルセルト…王子殿下さんや、そんなに慌ててどうしたんだ?詳しく聞かせてくれや、っとその前に少し教えたる。俺たちの様子は今、全世界の人々から見られてる。まあ全世界は言い過ぎやけど多くの人から見られとるんや。そしてコメントっちゅーて感想も送られてくる。リリーが許可してたから流れとるはずや」
「ふむ…理解した。私は腐っても王族だ。いつもと何も変わらない。さて…」
私は3人を…いや他にも人が集まっている。服装から見るに3人と同じ冒険者なのだろう。辺りを見渡して口を開く。
「皆は魔力というものを知っているだろうか?」
「魔力と言われてもファンタジーでしか聞いたことが無いので…」
リリーが代表して答える。私はコメント…を見る。一応知っている人がいないか確認するためだ。
・そもそも魔力って存在するの?
・よく小説とかであるけど空想上の物質じゃね?
・小説ではなんか魔法使う時に消費するものですけどこの世界、魔法ないんだからねぇんじゃねえの?
・だったら王子様はどうなるんだよ。魔法使ってたぞ?
・異世界から来たんだから例外例外
・探索者のワイ、ダンジョンから帰ってきた時妙に具合悪くなる…関係ないか。
「この世界では探索者というのか。関係ないかあるぞ?答え合わせをしよう。私がいきなりこの世界に連れてこられて、パニックになった時に思ったのは魔力が多いことだ。魔力とは…この世界にも豊富にある…いやむしろ多すぎる。ただこの世界の人は魔力を感じにくいのだろう。もちろん魔力は魔法を使うのにも必要だ。しかし魔力の主な用途は空間把握にある。今なんかまさにそうだ。私は異様な魔力を感じた。ひとつ大事な話をしよう…ここはスタンピードが起きる。1週間後くらいか…スタンピードが起きる前兆として本来とは違うモンスターが現れる」
私はそこまで説明をして辺りを見渡すと困惑したような顔をしていた。
「すみません。スタンピードってなんですか?初めて聞く単語で…説明してもらえると助かります。あ、申し遅れました私は東京ダンジョンギルド本部長の高梨と申します」
・王子様、分からないだろうから説明すると、王都の冒険者ギルドの本部長にあたる人だよ
・めっちゃやべえ人来てた…
・本当は事情聴取に来たんだろうな…
ふむ、コメントを見る限り偉い人のようだ。
「ふむ、これは困ったな。スタンピードが起きたことないんじゃ…。おっと失礼、説明しよう。スタンピードとはダンジョン内のモンスターが地上に押し寄せる現象のことだ。私の元いた世界だと小規模なものは頻繁に起こっていたんだが…。最悪、国が滅ぶ可能性もある。元いた世界…呼びにくいな、異世界でいいか。異世界で語り継がれてきたスタンピードにまつわる話がある。かつてとある帝国があった。その帝都にはダンジョンがあり冒険者で賑わっていたそうだ。しかし小規模なスタンピードが起きるようになった。起きる度に最小限の被害で済んでいたのだがある時大規模なスタンピードが起きた。皇帝は慌てて冒険者ギルドに緊急依頼をだし、帝国軍約10万も動員して鎮圧が試みられた。しかし検討虚しく帝都はモンスターによって破壊され帝国全土も焼け野原となった。最初は楽観視していた周囲の国も連合をくみ多大な犠牲を払い鎮圧したという話だ。このことがきっかけで帝国は滅び周囲の国々も鎮圧にかけたお金で滅んだ。という話だ。このスタンピードの規模がどれくらいになるのかはまだわからんが…おそらく私を殺しに来ていることだけはわかる」
そう…なぜかは分からないが感じた魔力にはデックボウ兄上の魔力も含まれていた。そしてその魔力が私に向かってきていることから、私を殺そうとしていることが伺える。
それも私の実力より確実に上だろう。
「私の実力をよく知っているもの…デックボウ兄上が仮にスタンピードを計画していたとして……少なくとも規模は王国軍より少し多いくらいだろう」
・ちなみに…王国軍ってどれくらいにいたんすか?
・いったらなんだけど王国が弱かったら規模も小さいってことだよね?
・最低でも3万はいる?
コメントを見ると王国の国力が低いことを祈っている者がほとんどを占める。
残念ながら低くないのだが。
私は周りを見渡しながら呟くように口を開く。
「残念ながら…テンペスト王国の直轄軍だけでも10万…貴族に配置している軍が90万…予備役が50万…、さらに奴隷兵が5万…総勢155万…戦争になると冒険者も駆り出されるからそれが約1万と仮定して…約156万くらいだ…。モンスターの強さにもよるが…弱小国なら簡単に滅ぶ規模だ。」
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