無双と敗北
「【
砂塵に紛れて突撃してくる剣使いさんに鎖が巻き付く。
「なんだ…これ…!」
「―――【
「なっ―――」
…本当に強すぎる…。
(…キュス、次は僕の力だけでやってみたいんだけど…いい?)
『うん。分かった、頑張って』
《勝者、
■
3戦目。今度は5人との同時戦闘だ。
『…スレア、大丈夫?』
(うん、自分でできるところまでやってみる)
『分かった、応援してるね』
弓を持ってる人が2人、剣士2人、重装甲の鎧を着こんだ
「「―――はぁぁっ!」」
開始と共に、一瞬で距離を詰めてくる剣士の二人。…後ろには
それぞれの剣が左右から斬りかかって、
地面を蹴って、前に駆け抜ける。
「かかった!」
放たれた矢を1本ナイフの腹で弾いて、一本を蹴り返す。
「【
矢が飛んでくるスパンが一気に短くなる。最小限の動きで躱したり弾いたりしながら接近する。
「なっ、構わず突っ込んで―――」
頭部に回し蹴りを当てて、転倒した弓使いの人の喉にナイフを突き立てる。
続けざまに振り返って、もう一人の弓使いの方を向いて加速する。
「くっ!【
地面に命中した矢から煙が巻き上がる。僕はそんなことお構いなしに弓使いの方に突撃していく。
「見えてるのか…!?」
…見えてはないけど、布の擦れる音とか、呼吸音とか足音とかから大体の位置は分かるし、ある程度近付いたら視界でも捉えられるしね。
もう一人の弓使いの人にナイフを突き刺す。
引き抜いて、その勢いで後ろから迫って来てた剣士を1人キル。
「…あ…悪魔だ…」
「…どうやら、俺の本気を見せる時が来たようだな」
「…いいか」
「あ、ああ」
「よし。…【
確かに反撃しずらいけど…でもなんていうか、単調っていうか…、直線的すぎるっていうか…。
見切るのは楽だ、こっちの間合いに入ったら―――。
「がっ―――」
こうやってナイフを鎧の間に突き立てて怯ませた後、足を引っかけてバランスを崩させてナイフを首に2回突き立てる。
「…こ、降参します」
残った剣士は降参を選択した。
《勝者、
『スレア、すごい』
(そう?)
『うん。すごく強いと思う』
■
4戦目、今回は昇格戦らしい。相手は2人。二人とも剣士っぽい。
『私、アビリティ使わずにスレアを手伝ってみる』
(分かった、じゃあよろしく、キュス)
『うん』
試合開始、暫く睨み合って、お互いに地面を蹴る。ナイフを手に隠し持って、それを覆うように剣を形成させる。
相手が剣で防ぐ姿勢を取る。…手の内的には僕と一緒なのかな…。
「これで終わりだぁっ!―――」
後ろからそんな声と共に剣士の1人が斬りかかってくる。
それを右に避けて、今度は鍔迫り合いに持ち込む。
「ぐっ…!」
剣の柄から左手を離して、パイルバンカーを形成させる。
「なっ―――」
打ち出された杭が容易にアバターを貫通して、まずは1人。
地面を蹴って、残った方の剣士に向かっていく。
「【居合・見切り】!」
斬ろうとした剣が上空に弾かれる。…っていうか、居合は刀でやるべきだと思うんだけど…。
「【剣術・袈裟斬り】!」
斜めに振り下ろされる刀身の腹に蹴りを入れて軌道を逸らす。
「なっ!?―――ぐっ!」
続けざまに鳩尾に一発。最後にナイフを首に突き立てて終わり。
《勝者、
《
■
…5戦目、相手は…。
「よろしくね、スレアちゃん」
「連戦続きで申し訳ないけど、前回のリベンジと行かせてもらうよ」
相手は、リアとサザレさん。
『…スレア、勝とう』
(…うん)
『(行くよ)』
「手の内は知ってるからね!エウロス!」
風魔法…砂塵が巻き上がったから【
「今回も本気で勝ちにいかせてもらうよ!」
「―――くっ…!」
ナイフとキュスの変形機能の併用でやっと捌ききれるくらいの連続攻撃が繰り出される。
本気で追い詰められてきた…。
…壁際に押されていく。…多少のダメージは覚悟の上だ。前に―――。
「おりゃぁっ!!!」
「ぐっ…」
ダメージエフェクトが体中いたるところについて、痛覚が全身を駆け巡る。
『スレア…!』
でも、一先ず壁際から脱出はできた…。
「【
「当たらないよ!」
「見切れた!」
そうだよね、だってそれは…。
「本命じゃないから…っ」
「っ!?」
「パイルバンカー…!」
どっちかで良い…。
「当たれっ!!!」
「ぐっ―――!もら…ったっ!!!」
リアの剣が僕の体を貫く。画面が暗転して、Game Overの文字が表示される。
《勝者、
――――――――
作者's つぶやき:今ここで宣言しておきましょう。リアさんとサザレさんが勝ったのはまぐれではないです。ちゃんと勝ちました。
…まぁ、あれですね、痛覚リンクの有効化でどうしてもダメージが入ると思考や動きが鈍ってしまうっていうデメリットがあるんですよね。
多分スレアくんは悔しくないんでしょうが、自分が悔しいです。
いや、無双して勝っても良かったんですけどね…。
一回は敗けてもらわないとって思いまして。
――――――――
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