溶けゆく深淵の中で:3

「お願い…できる、かな」

『僕はもう共犯者だから、手伝う以外に選択肢はなさそうだけど…』

(ごめんね…スレア)

『いや、別に気にしなくてもいいよ』

「スレアちゃんはなんて言ってるの?」

「手伝う…って」

「じゃあ、私もやるよ」

 判断基準は僕がやるかやらないかなんだ…。…いいのかな、そんな判断基準で…。

「本当に…いいの?」

「うん、もちろん」

 リアは結構本気みたいだ。

(じゃあ…スレア、そろそろ体、返すね)


「でもさ、結局神殺しって何をすればいいの?」

『…えっと…神を殺す…』

「神を殺す。だってさ」

「あぁ、えっとそうじゃなくて…神殺しを遂行するにはどんな手段を取ればいいの?って言う事」

『神を殺すには…神に創造されなかった人…【作られざる者アンクリエイティッド】が必要…なの』

「神殺しを遂行するには、【作られざる者アンクリエイティッド】が必要。だってさ」

「【作られざる者アンクリエイティッド】…何かの称号?」

『それは…わからない』

「キュスも分からないってさ」

 【作られざる者アンクリエイティッド】…神によって創られなかった者?そんなものこの世界に…。


 ………。


「…あっ」

「ん?どうしたのスレアちゃん?」

「もしかして…【作られざる者アンクリエイティッド】って僕達なんじゃない?」

『どういう事?』

「…この世界に元々いたのはNPCだけだから、プレイヤーは別世界からアバターを投影してアクセスしてることになってるかも…ってこと?」

「そう言うこと」

『…?スレア達は…別世界から来たの?』

(…あぁ…えっと…取り敢えずそんな感じの認識で良いと思う…)

『そうなんだ…』

 でも、もしそうなら…。【作られざる者アンクリエイティッド】って言う称号的なものがステータスに表示されると思うんだけどなぁ…。


【ステータス】

 Name:Threaスレア

 状態:正常

 Lv:45 - Level UP

HP体力】200

OFE攻撃】13

DFE防御】10

AGI敏捷】14

INS瞬発】13


SPステータスポイント】120


 アビリティ

刀身剛性化ソード・ステフニング

刀身属性付与ソード・アトリビュートグランテッド

縮地シュリンク・グラウンド】 - Ability evolution

高飛躍リープフロッグ】 - Ability evolution


 魔法

【炎魔法Lv:4】フレアインパクト - New magic

【水魔法Lv:4】トーレント - New magic

【風魔法Lv:1】ウィンド - New magic


 称号

裏切り者イスカリオテ・ユダ】 - New degree


 その他

【痛覚リンク】有効


 称号の欄が増えてはいるみたいだけど…ステータスに【作られざる者アンクリエイティッド】は無い…かぁ。

「【作られざる者アンクリエイティッド】がそもそも称号なのかも分からないしなぁ…」

『…神殺しは…できないのかな』

(キュスはどうしてそんなに、神殺しに拘るの?)

『…なんで、だろ…?…そういう使命が…私にはある気がして…』

(…ねぇ、キュス)

『何?スレア?』

(一回、交代して)

『…?うん…』


【ステータス】

 Name:Cuscoteキュスコート - Threaスレア

 状態:非創造 - 創造混合体アンユージュアル・エクセプション

 Lv:45

HP体力】200

OFE攻撃】13

DFE防御】10

AGI敏捷】14

INS瞬発】13


SPステータスポイント】120


 アビリティ

刀身剛性化ソード・ステフニング

刀身属性付与ソード・アトリビュートグランテッド

縮地シュリンク・グラウンド

高飛躍リープフロッグ


 魔法

【炎魔法Lv:4】フレアインパクト

【水魔法Lv:4】トーレント

【風魔法Lv:1】ウィンド


 称号

裏切り者イスカリオテ・ユダ

作られざる者アンクリエイティッド】 - Dual degree合成称号 -


 その他

【痛覚リンク】有効


『ビンゴ』

(スレア…どういう事?)

『キュス、ステータス見て』

「…あっ…【作られざる者アンクリエイティッド】…」

「え!?もう見つかったの!?」

「…うん、ほら…」

 そう言って、キュスがリアにステータスを見せる。

「…非創造 - 創造混合体アンユージュアル・エクセプション…?あっ、ほんとに【作られざる者アンクリエイティッド】って称号がある」

 Dual degree合成称号…って事は、僕とキュスのどっちも居ないと【作られざる者アンクリエイティッド】にはなれないのか…。

(スレア…私には、貴女が必要みたい)

『分かってるよ、キュス』

(…ありがとう)


『で。神殺しを遂行するには【作られざる者アンクリエイティッド】の他に何をする必要があるの?』

「えっと…【溶けた深淵メルテッド・アビス】の中心に行かないと…だめ」

「じゃあ、目指す場所は【溶けた深淵メルテッド・アビス】の中央?」

「うん…でも…あそこには結界があって…」

『結界?』

「人ならざる者は…入れないの」

 …【作られざる者アンクリエイティッド】がDual degree合成称号じゃなかったとしても、結局は人間が必要になるのか。

「じゃあ、今のうちにスレアちゃんと交代しておいたら?結界を通ってからまた変わればいいしさ」

「うん…そうするね』

『…よし、それじゃあ結界を通るまでは僕の出番かな」

「そうだね、結界を越えたら手柄は全部キュスコートちゃんにとられちゃうかも?」

 …まあ、神殺しができるのはキュスだけなんだし、仕方ないけどね。

『…それじゃあ…死なないで、ね?』

(分かってるよ、大丈夫。…で、【溶けた深淵メルテッド・アビス】はどの方向?)

『そのまままっすぐ進めば…着くと思う』

(分かった)

「このまま真っ直ぐだってさ」

「なんか、キュスコートちゃんカーナビみたいだね」

 …確かに?


 それからキュスの言ったとおりに真っ直ぐに進んでいると、【不明アンノウン】の群れに遭遇した。

 視覚も嗅覚も無いはずなのに、こちらを的確に正面に据えるのが何とも不気味な【人だったモノアンノウン】達がじりじりとこちらに寄ってくる。

『スレア…私を、【深淵の神殺しダインスレイフ】を使って』

 キュスのその声と共に、【深淵の神殺しダインスレイフ】の袖口が影となって伸びて、剣が出現する。

「キュス、リア。行くよ」

「『うん』」


――――――――

作者's つぶやき:【不明アンノウン】が【人だったモノアンノウン】になってるんですよね。まあ、気付いた方が大半だと思います。

この【溶けた深淵メルテッド・アビス】は、人を奪われたモノ達が堕ちていく場所なので、当然【人だったモノアンノウン】も元人間っていう訳です。

じゃあその元人間たちは何をしたんだ?簡単です。【人だったモノアンノウン】の数がそのまま、神殺しを試みた人間の数というわけです。

簡単ですね。

そして次回の初めは【深淵の神殺しダインスレイフ】の性能のお試しです。

初期装備ってなんだっけ。【深淵の神殺しダインスレイフ】は初期装備だったのでしょうか?

――――――――

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