第5話 面接、受けたんですけど…
「不採用!」
「え、はい…………?なんでですかぁ!!!」
※
遡ることその日の朝8時。
「そうすけさーん!まだ起きていないんですか!遅れますよ!」
「は〜い、起きまぁ〜す……」
と言いながらも寝続ける蒼介。
バチーーーーン――――……
「ぎゃゃぁぁぁぁああああ!」
「はい!起きましたか?昨日『起きなかったらステッキでぶっ叩け!』って言っていたので遠慮なく叩かしてもらいましたよ」
痛い。痛い痛い痛い痛い。
というかそんな約束をしてたのか。お酒みたいなのを飲んだせいで覚えてない……。
「いたぁーーーい!あ、ごめんなさい今何時ですかっ?」
「もう七時半過ぎましたよ!昨日『七時までには絶対に起きる』って言ってましたよね?」
怖い。笑顔が怖い。
「分かりましたからっ!朝の準備終わらしますっ!」
「当たり前ですよ!」
ライさんはちょっと厳しい。けどそれもライさんいわく、「蒼介さんが怠けてばかりだからですよ!」らしい。
面接に行くのにTシャツ短パン。この世界ではかしこまったときでもスーツは着ないらしい。
理由は単純、動きにくく、洗濯しにくい非合理的な服だからだ。
「はい!準備できました!」
「はい行きますよ!40分の電車に乗りますからね!」
※
「間に…合っ…たぁ……」
全力疾走で走ったらぎりぎり間に合った。
というか、この世界の電車すごいと思う。全面ガラス?張りだし、エンジンとか全く積まれてないし。
「これって……何で動いてるん……ですか?」
「これは電気魔法ですね。」
「あ、あの後ろの部屋にいる人がその魔法を使ってる人ですか。」
「違いますよ蒼介さん!よく見てください。あの人、暇を持て余しているでしょ!あの人はもしものときに被害なく電車を止めるための人です。この世界にもバッテリーはあるので、毎朝電車に電気魔法をかける役割の人がいるんですよ!」
あー、なるほど。
「けど魔法って制御できないんじゃないとか言ってなかった?」
「もちろん制御はできませんよ。でも、小刻みに出したり、向きを絞ったりする魔道具を使うとある程度は調整できるんですよ。」
あー、なるほど。
次は〇〇、〇〇……
「あ、降りますよ!」
「はい!」
※
「ここですね」
「ここ、全く工場っていうイメージじゃない!」
そう、外観はなんというか……最新のオフィスビルみたいな感じ。
「蒼介さーん!」
「行きます行きます!」
何をやるかわからないのでライさんが代わりに手続きをしてくれることになった。
「面接でお伺いさせていただいた田中です」
犬……耳!?
「あ、田中さんですね……あ、少々お待ちください。」
「蒼介さん!蒼介さん!しっかりしてください!」
「犬耳がついて……る…………」
ガクッ……
蒼介が意識を失い、床に倒れた。
すると、発狂しそうな勢いでライさんが、
「ああぁぁぁぁぁあああああ!!!種族超混について話してなかったぁぁぁぁぁ!!!」
※
「そーすけさん!そーすけさん!」
「こ…ここは?」
ライさんだ……
「犬耳なだけで失神してたらこの世界で生きていけませんよ!」
あ、そうだ。犬の耳が生えたお姉さん見てびっくりして失神したんだった……。
「とりあえず『種族超混』について説明しますよ!1回で聞いて下さいね?」
ライさんいわく、「種族超混」は、種族を超えて混ざるという意味で、この世界の生き物は何であっても全て混ざり合え、いろいろな特徴がその子孫に現れるというものだった。
そして、人間と混ざった人々は人として生活ができ、その他は動物として扱われるそうだ。
「そんな事が出来るんですね……。それでもあれはずるいですよ……。あ、そういえばライさんの家を教えてもらった娘も猫耳でしたね。」
だいぶ理解が追いついてきた。だからこの世界には尻尾がついた人もいるし、たてがみの生えた人もいるのか。
「面接官の方が医務室へ来てくれるそうです」
「あ、はい」
「入るぞー」
早速来た。入ってきた面接官はスタイルのすごくいいおじさんだった。
「えーっと、まず倒れた理由から聞いてもいいかな?」
「えっと、それは……受付のお姉さんが綺麗すぎたもので……」
ここで話はこの話の先頭へ戻ってきた。
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