とりあえず勇者になりましょう。

第2話 転生生活、滑り出しは順調です。

むしゃむしゃむしゃ

むしゃむしゃむしゃ

むしゃむしゃむしゃ


ん、こしょわい……って


「俺の服を食べんなぁぁぁぁぁ!」


俺の服を食べていたヤギのような鹿のような生き物が俺が起きたことにびっくりして逃げていった。


食べられたせいで服のお腹の部分が裂けた。鎌か何かで切られたようになってる。

服としてはあり得ないけど、これ意外とかっこよくない?中年だけど厨二病心くすぐられるっ!


とはいえ、俺のお腹にはよだれがべっとり…


とりあえず川を探すか。森のなかだし。

でもできたら水道とかあったりしないかな? ここが村の近くなら井戸とかがあると思うんだけど……


と思いながら歩いていると村らしきものが見えてきた――……あれ?ビルがある。マンションらしきものもある。村っていうより町…だね?どうしよう……井戸なんてなさそう。


魔王がいる世界だって聞いてたからもっと古風な感じをイメージしてたんだけどなぁ……

まぁ、イメージだもの。違うとこだってあるだろ!

行けば水道があったりするかなぁ?


そんな事を考えていると、

ツンツン…ツンツン…

「おにーさん、亜人のおにーさん!」


「誰……?」

猫耳の女の子がつんつんしてきた。

男子がイメージする、ザ・猫耳。超可愛い。異世界大好き!


「ここ私の山なんですけどっ!というかその変な格好、もしかして異世界とか言っていた人のお仲間ですか?」


「すみませっ……はい!異世界から来ました!」


隠すことでもないから異世界から来たことを暴露。悪くはない……よね?

ていうか、前に来た人、異世界とかよくそんな言葉出せるな。頭おかしい人扱いされてもおかしくないんじゃないの?

こっちは聞かれたから助かったけど。


「それならさっさとここから出てって、突き当りを左に行って『ライ』と書かれた家を探してください!わかりましたかっ!」


なんか異世界って言葉出しただけで露骨に態度が変わった気がする。厄介払いするみたいな感じに。その「ライ」って人が変な人なんかな?


「は……はいっ!」


突き当りを左にっと……ライ、ライ、ライ、あった!


インターホンがないから、ドアノックでいいよね?


ドンドンド……


「……誰でしょう?ちょっとぐらい待ってくれませんか」


ガチャ


イケメンが出てきた。正真正銘のイケメンが。しかも見た感じ高身長標準体型で年が20歳前後だ。

太ってないというところ以外は全て俺と正反対。前世でさぞ女子にもてたんだろうなぁ…

この人がライさんかな?


そのお兄さんがでてくるなり哀れなものでもみるような目を向けて、

「何をしたらそのよだれまみれみたいな格好になるんですか」

と。


「その目、やめてもらえます……?あ、これは動物に食べられて……」


「……あなたの言う動物とは山羊鹿ですか?」


お願いだからその目をやめてください。

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