第35話

神楽の絶命直後、暗い路地から少年が現れる。


「やった…やったぞ!」


思わず笑みがこぼれる。


「ついに…第1位を殺した!これで俺が…俺が1位になれる!」


この少年は 恐神おそがみあきら


恐神の異能は奇跡の願いミラクルウィッシュ、彼の願いが実現する異能だ。


願い事の大きさによって願う時間も増える。

ちなみに恐神が神楽を殺すのに2年かかった。


「ようやく…1位に…」


恐神は喜びで震えあがる。


「そうか、そりゃあ良かったな」


嘲るような神楽の声が聞こえる。


恐神は足元を見るがそこにいたはずの神楽はもう居ない。確かに神楽は死んでいた。


「よお。」


後ろから神楽の声が聞こえる。

何故!?と恐神は問いただす。


「対価…だったかな?そういう異能を使ったんだよ。」


対価、その異能は対価を支払うことで願いを叶えるという能力だ。


今回神楽が支払った対価は自分の異能、

つまり 強欲な者アビリティドレイン と命を交換した。


もちろん自分の異能力全てを対価に支払ったわけじゃない。


1日に異能を使える時間は10分、残りの23時間50分を対価に命を吹き返した。

まあ、恐神はそんなことを知らないし、知る必要も無い。


「んじゃまあ、やるか。」


恐神は逃げる。

(冗談じゃない!第1位と真正面から戦うなんて無理に決まってる!)


奇跡の願いで自分の足を速くして、ただ逃げる。


「おいおい、鬼ごっこかァ?いいぜ…付き合ってやる。」


全速力で逃げる恐神を神楽も追いかける。

走って、走って、走る。

そして恐神が逃げたその先には

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