第2章

第27話

桐谷は自室で目覚める。


現在時刻午前三時。


(うわぁ…変な時間に起きちまったな…二度寝二度寝っと…)


せっかくの夏休みなのでゆっくり寝ようと桐谷はもう一度目を閉じる。


カチ…カチ…カチ…と時計の音だけが静かに鳴り響く。


「うん…寝れない…」


変な時間に起きて眠れなくなる現象。

これに名前でも付けようかなとか考えていると、


グゥー


おなかが鳴った。


「腹…減ったな…」


コンビニにでも行くかと桐谷は財布を持ってドアを開ける。


現在時刻午前五時。


(案外明るいんだな)


いつも遅めに起きる桐谷にとってこの時間に外に出るのは新鮮だ。

そんな桐谷は何を買おうかと少しわくわくしているようだ。


(いつも寝てる時間に行動する…ちょっと楽しいな。)


コンビニには立ち読みをしている帽子をかぶった少女と店員しかいなかった。


ん?と桐谷は足を止める。

帽子をかぶった立ち読み少女の顔に見覚えがあるのだ。


(あれって…天海か…?)


立ち読み少女の天海恵は漫画に夢中でこちらに気づいていないようだ。


「おーい天海、何読んでんだー?」


急な桐谷の問いかけに天海は驚きながら


「なっ、なんでここにアンタがいるのよ!?」


コンビニなんだから誰がいてもおかしくないだろと思いつつ桐谷は


「いやー、変な時間に起きちゃってさ、腹減ったからなんか買いに来たんだよ。」


「へ、へぇー…」


と、天海は焦りながら不自然に漫画を本棚に戻す。どうやら漫画を読んでいることが恥ずかしいようだ。桐谷は気にもとめず。


「そうだ!どうせなら一緒に散歩でも行かないか?もちろん天海が良ければだけど。」


桐谷の誘いに天海は照れながら


「い、いいわね!私もちょうど暇だったのよ!」


と、キャッキャウフフしている。


「んじゃ、俺ちょっと買い物してくるから待っててくれ。」


わかった、と天海は頷く。

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