第22話

翌日


桐谷は天海と二人きりで出かけているようだ。


「ようやくゆっくりできるな。久しぶりに天海と出かけられてうれしいよ。」


「なっ!なによ急に!」


天海は強がっているが内心


(そ、それじゃあ私たちがその…つ、付き合ってるみたいじゃない!)


天海もやはり思春期全開中学生の様だ。

顔を赤らめながら体をくねらす天海を見て桐谷は


「何やってんだ?お前…」


「な!なんでもないわよ!」


と、大きな声を出す。

周りから見たらカップルが痴話喧嘩しているようにも見える。


「つーか天海…」


急に顔を近づけられた天海は


(え!?なになになになに!?もしかして…キ…キス!?急すぎるわよ!まだ心の準備が!)


とりあえず天海は目をつぶる。


「顔赤くないか?風邪でもひいたか?」


とんでもない勘違いをした天海は


「ちっ、違うわよ!なんでもないから!早くいくわよ!」


明らかに話題を変えたなあ、とか思っていたら天海は先に行ってしまった


「あ、ちょっと待てよ!」



しばらく歩いて二人はクレープのキッチンカーを見つけた。


「美味そうだな、天海も食うだろ?奢ってやるよ。」


天海が自分で払うという前に桐谷は行ってしまった。

天海がパラソルの下にあるベンチで一人考える。


(私がエスコートされてるみたいで少し気に入らないけど…まあ、ありがたく奢ってもらうとしますか!)


桐谷が戻ってきたようだ。


「ほらよ!めちゃくちゃ美味そうだなこれ!」


と桐谷がはしゃいでいる。


「ん、ありがと。奢ってもらっちゃって悪いわね。」


気にすんな、と桐谷は微笑む。


「つーかそっちのイチゴクレープも美味そうだな!一口くれよ!俺のバナナクレープも一口食っていいからさ!」


「いいわよー。」


と言ったが天海は


(え?ちょっと待って!?これってつまり…間接キスってことよね!?これじゃホントに付き合ってるみたいじゃない!?)


そう考えている天海は顔が少しにやけてる。


「んじゃ、いただきます!」


桐谷は天海が持っているクレープにかじりついた。

ほら、食え。という表情で桐谷もクレープを差し出してくる。


(ああもう!どうにでもなれ!)


バクりと天海もかじりついた。


(やっちゃった!やっちゃった!間接キス!)


と天海は湯気が出そうなくらい赤くなっている。

そのあと、桐谷がかじりついた自分のクレープをひとしきり見つめた後、一気に食べ進める。


「そんなにうまいか!奢ってよかったぜ!。」


と桐谷はさわやかにほほ笑む。


「うるさい!次よ!次!」


はいはい、と桐谷は神々しさすら覚える笑顔で天海を眺めた後、次の場所に向かった。

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