第16話

「これがアイツの異能…」


桐谷は絶句する。

当たり前の反応だろう。ビルを軽々と溶かす異能だ。

そんな奴と今から戦う、怖いに決まってる。


「でも、やるしかねえ!」


桐谷は震える拳を固く握った。



(そう、やるなら今だ。)


暗い部屋、モニターの明かりのみが彼を照らす。(ゲームしてるだけ)


そう、絶対的探求心だ。

彼は基本後方支援に回っている。


(僕の異能は絶対的探求心、相手の弱点から居場所、顔 名前 身長 性格 クセ 異能 経歴 過去の記憶、その他色んな情報が“リアルタイム”で見れる。つまるところ相手がどこにいるか、何をしようとしているか丸わかりってわけだ。)


我ながら強いなとほほ笑む。


「さあ、ゲーム」


しよう、と言いかけたところで電話が鳴る。


「チッ、今いいところなのに」


絶対的探求心はしぶしぶ電話に出る。


「なに?今いいとこなんだけど?」


「まあまあ~、そんな怒らずに~。早速本題に入りますね~、この前桐谷さんたちのこと話したじゃないですか~?」


異能審判の少女の甘ったるい声が聞こえる。

ああ、と絶対的探求心は適当に相槌を打つ。


「その桐谷さんたちが~、例のアイツと接敵したらしいんです~。」


「アシストしろと?」


「さすが絶対的探求心さん~、話が早い~。」


それじゃあよろしくと一方的に電話を切られた。

はあ、と絶対的探求心はため息をつく。


絶対的探求心は誰かに電話をかけ始めた。



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