第9話

桐谷美鈴は戦っている。


相手は身長160cm位の少女、金髪を巻いているのかふわふわとした髪質だ。

桐谷より年下に見える。


「ちくしょう、またアクアがいってた‪”‬アイツ‪”‬に命令されてるのか?」


桐谷の問に金髪の少女は嘲るように


「あら、そこまで分かっているのね。」


やはりか、と桐谷は腕に力が入る。


「まあ、分かっていても分かっていなくても、あんたはここで死ぬのよ。」


桐谷は金髪の少女の言葉にギョッとした、

いや、言葉にでは無い、金髪の少女が二重に見える。いや、金髪の少女だけでは無い。周りが霞んで見えるのだ。


「ふふふ、ようやく効いてきたのね。」


金髪の少女の笑い声がかすかに聞こえる。

桐谷は声を絞り出す。


「な、何をした?」


桐谷の問に金髪の少女は嘲るように


「私の異能はガス、睡眠ガスも毒ガスも何でも出せるわ。もちろん目に見えないから相手にバレることもない。」


「ちく、しょう、」


かろうじて立っている桐谷、ここで死ぬのかと覚悟していると。


近くのショッピングモールから爆発音がした。


そう、天海と千奈がいる場所だ。

だがショッピングモールに傷はない。

爆発に気を取られている金髪の少女。

今だ!と、瞬間移動で背後に回り脇腹を全力で蹴り飛ばす桐谷。この際女の子だからとかそんな生ぬるいことは言ってられない。


「がはっ、」


金髪の少女は倒れ込みながら振り返る、

だか、桐谷はもうそこにはいない。

どうやら爆発が起こったショッピングモールに行ったようだ。

金髪の少女は誰かに電話する。


「任務失敗です。申し訳ございません。」


電話から聞こえる誰かの声


「そうか、なら死ね。」


誰もいない道で金髪の少女は溶けて行った。

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