第4話

桐谷美鈴は夕暮れの裏路地を走っていた。


そう、案の定事件だ。


どうやら水を操る異能力者アビリティマスターによるものらしい。


事の経緯はこうだ、水を操る異能力者が水素を操り爆発を起こす。


桐谷はかろうじて瞬間移動で避けるが周りは沢山のけが人。


止めねばと考える桐谷は瞬間移動で相手の背後に回りこみ背中を思い切り蹴飛ばす。


だが相手は倒れない。


せいぜいよろけた程度だ。


焦る桐谷はとりあえず人がいないところに走らねばと裏路地に走った。


そして今に至る。


桐田は瞬間移動という便利だがシンプルな異能で100万人は軽くいるこの街の第1200位にいる。

(といってもトップ10は政府が決めているため正確だがそれ以下はこの街の学校が話し合って決めているため多少誤差が生まれる、つまりトップ10は絶対的につよい。11位から下と10位以上には絶対的な差がある。)


そんな桐谷を追いかけている高校生位の水を操る少年は異能の強さを見るに、かるく100位は超えているだろう。


走る。


桐谷は走る。


もちろんただ走っている訳では無い。


作を練っているのだ。


「ああくそ、なんでこうなんのかなぁ。」


ぼやいてもこの状況は変わらないと思いつつも桐谷は口を動かす。


そして行き止まり。


正直、桐谷の異能は瞬間移動なのだから異能審判アビリティジャッジ(警察のようなもの)の元へ飛んで行けばいい話なのだが、水の異能力者をどうにかすることであたまがいっぱいなのだろう。


そんなことは思いつかないようだ。


そして行き止まりということは追いつかれる。


幼稚園の子供でもわかる事だ。


だが桐谷美鈴、彼は瞬間移動の持ち主だ。


相手の背後に回りこみ脳天に蹴りを食らわす。


容易い事だ。


そう、容易い事のはずだった。


今回ばかりは相手が悪い。


蹴りを食らわす瞬間、相手は溶けた。


いや、正確には水になっていた。


100位は超えているであろう水の異能力者はあろうことか自分の体を水に変えていた。


水の能力者は嬉しそうに


「あはははは!僕の異能は水操すいそう!もう分かっているだろうけど君は僕に勝てない!相性が悪かったようだねぇ!」


そう、桐谷美鈴の異能は瞬間移動。


便利ではあるが攻撃は物理の枠から出ることが出来ない。


相手は水、物理攻撃は当たらない。


電気系の能力者か、あるいは炎、爆発系の異能力者が居ればと桐谷は考える。


「…ん?爆発系の異能力者?」


桐谷は笑う


「はは、いるじゃねえか、ぴったりの異能力者が!」


桐谷美鈴に勝機が訪れる

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