水前寺成趣園 (熊本市中央区水前寺公園)

 熊本市の東部、阿蘇山の伏流水が湧き出す辺りに作られた池泉回遊式庭園ちせんかいゆうしきていえんこそが、今回ご紹介する『水前寺成趣園』です。

 園の中には、西南の役で亡くなられた方々を弔うべく『出水神社』が建立されています。

 なお、細川ガラシャも合祀されているという、一風変わった神社でもあります。


 この公園、開園は8:30で閉園は17:00なのですが、特に正門が閉まるわけでもなく、地域住民の散歩コースにもなっていましたので、時間外でも来場者は多かったと思います。

 まぁ、言ったところで日の出から日没までの間くらいなもので、夜中に徘徊するようなモノ好きはあまり聞いた例がありません。


 実は、父方の祖父母宅が、この公園の近くにありまして、夏休みに帰省すると、ラジオ体操をするために、早朝から遊びに行っていました。

 6時に起床、着替えを済ませ、公園へ。

 公園に入り、出水神社を参拝し終わる頃、地域のお年寄りが集まったところでラジオ体操が始まります。

 ラジオ体操で軽く汗を流し、庭園中央に位置する池の鯉にエサをあげる頃、お年寄り達は詩吟しぎんを始め、朗々とした歌声が、蝉時雨とともに園内にこだまします。

 そして、鯉に餌をやり終わる頃、早めに宿を抜け出してきた観光客が園内の散策に繰り出し、私達は帰宅して朝食を取り、一日が始まるのです。


 最近は高層マンションも立ち並び、見渡す風景には情緒というものが見受けられなくなりました。

 祖父母の家も、10階建てのマンスリーマンションに変貌してしまい、行く機会もすっかり失われてしまった『水前寺成趣園』。


 門前仲町もすっかり変わってしまい、当時を見る陰はないとの話…まぁ、震災も有りましたし、そもそもが四十云年前の話ですからね。


 ただ、庭園の風景だけは今も昔も変わりがなく、今後もその景観は継承されていくのだろうと思います。


 、果たしてどちらが本当のことなんでしょうね?

 そんな事をふと考えてしまう、今日この頃なのです。

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