花岡山 (熊本市西区春日)

 熊本駅の停車場に降り立ち、北の方角を眺めていただくと、仏舎利塔を頂く小高い山が見えてくるかと思います。

 これが花岡山(標高133m)です。

 この花岡山の頂に登り、仏舎利塔の足元から東に展望を向けれると、熊本城を始めとする、熊本市の中心街が一望できます。


 山の麓には数々のラブホテルが存在するとともに、清水寺、北岡神社などの寺社仏閣も有ります。

 これは、熊本駅が元々寺社街であり、花岡山には赤線地帯いろまち、熊本駅一帯が遊女たちの駆け込み寺となっていた名残です。

 因みに、熊本駅周辺には、二本木という有名な遊郭街もあり、そこに陣取るヤの付く自由業の方々も多く住んで居られました(現在進行系で住んで居られるという話しも有ったり無かったり)。

 これが、熊本駅周辺に中心市街地が出来なかった所以の一つでもあります…まぁ、他にも色々有るのですが。


 閑話休題

 花岡山は日本最後の国内戦争と言われる『西南の役』にも深く関わりがあります。

 実は、この花岡山に薩摩軍は砲台を構え、熊本城の政府軍に対して砲撃を行っています。

 ただ、砲台が移動式の小口径であったため、熊本城に致命的なダメージを与えられず、迫りくる官軍に追われる形で、徐々に北へ北へと撤退戦を演じていくのです。


 この西南の役で、花岡山一帯にあった城下町は荒廃し、住民達は熊本城の東側(当時は武家屋敷や職人街)に避難、新たな街が形成され、これが熊本市街地の中核となっていきます。


 花岡山の麓も、今では熊本市の東の玄関口として栄え、熊本駅の建て替えに伴って、新たな街が形成されています。


 もう一つ、この花岡山には、世界的にも珍しい『キリシタン殉教者のお墓』が存在しています。

 しかも、キリシタン禁教令下であったにも関わらず、大きな墓石(本当に石です)には、キリシタンを示す『十字の印』が刻みつけてあります。

 官軍、薩軍墓地の中にヒョッコリと存在している『キリシタン殉教者の墓所』、何とも珍妙で、かつ時代のイタズラを感じてしまいます。


 まぁ、ホテル街で休憩を取られるかどうかは判りかねますが、西南の役に代表される明治激動期を垣間見る、あるいは、キリシタン禁教令下、それでも信仰を守り、後世に名を残した人々に思いを馳せるべく、小高い山に登って見られては如何でしょうか?


(ふひぃ、やっと地元の紹介ができた。)

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