54話

Side 柊

9回裏

2アウトランナー無しで

5番松田に打席が回る。


「この回、点を入れなかったらうちのリリーフ陣もたないぞ」小久保さんが言った。

「僕の満塁ホームランが延長で負けたら無駄になってしまう」柊が言った。

「松田は今年そんな調子良くないからな、ここから連打しても2アウトだからな」

「6番の長妻のところで安藤が変わったらうちそうじゃないですか」

「まあ、安藤はノリに乗ってるから打てるかもな。安藤がスタメンじゃない理由は

スタメンになると打てなくなるからだ」小久保さんが言った。

「延長に期待するしかないか」僕が言った。

ピッチャーは伊達

5番松田が右打席に立つ。

ボールが外れたり、空振りしたりして

2ボール2ストライクとなった。

5球目、真ん中高めのボール球をフルスイングした。

打球は、レフト方向に飛んだ。

ベンチでは、選手が立ち上がって喜ぶ

打った瞬間、行ったとみんなが思ったのだろう

レフトの中段にボールが行ってサヨナラホームランとなった。

4番の高見さんが水を持ってきて、松田さんに水をかけるためにホームベース

に向かう。

そのほかの選手もホームベース付近に集まって、松田さんを出迎える準備をする。

僕もその輪に入った。

松田さんが3塁ベースを踏んでホームに向かう。

横浜ファンは観客同士抱き合っていた。

松田さんがホームベースを踏んだ瞬間

高見さんが松田さんに水をかける。

それを見てから、選手もお祝いに松田さんに水をかけた。

松田さんはうれしそうな表情をしていた。


ヒーローインタビューに松田さんと僕が呼ばれた。


「ヒーローインタビューです。柊選手に来てもらいました。

満塁ホームランを打った時、どう思いましたか?」アナウンサーが言った。

「なんとか同点に追いつこうとしたので、同点にできてよかったです。」僕が言った。

「どの球種を打ったんでしょう」

「たぶん、ストレートです。自然とバットがでたので、ホームランになってよかったです。」

「今後の活躍に期待しています。ありがとうございました」

アナウンサーが言った。

「続いて、サヨナラホームランを打った松田選手です

このファンの大歓声に何か一言ありますか?」アナウンサーが言った。

「横浜ゴールデンウルフズのファンの声援で打席打とうと思い打席に入りました。

自分の得意な高めの球だったのでしっかりと自分のスイングができてホームランになってよかったです」松田選手が言った。

「福岡チーターズとの3連戦次も勝利を期待してもよろしいでしょうか」

「はい、明日も勝って、勝利を祝いましょう」松田選手が言った。

「以上、松田選手でした。拍手をお願いします」アナウンサーが言った。

観客席では、ファンが拍手をしていた。


ヒーローインタビューが終わって

ベンチに戻ると安藤がいた。

「柊もホームラン打つようになったんだね」安藤が言った。

「そうだね、まさか満塁の場面で代打で送られるとは思わなかったよ。

期待に答えられてよかった」僕が言った。

「自分も代打の準備してたけど、呼ばれなかった」安藤が言った。

「まあ、また次があるよ」僕が言った。


安藤と別れると、松田さんが来た。

「満塁ホームラン良く打ってくれた」松田選手が言った。

「松田選手もサヨナラホームランナイスです」僕が言った。

「一番の勝利につながったのは、柊の満塁ホームランだよ」

「ありがとうございます」僕が言った。

「あの場面はフルスイングしようと思ったのか」

「いえ、つなげることを考えていたんですけど

途中で打てると思ってバットを長くするために持ち替えました。」

「おう、それはよかった。」松田さんが言った。

「松田さんは高めの球が好きなんですね」僕が言う。

「だいたい高めの球を振ってるからな」

松田さんと別れた後、

寮に戻った。


寮では、村上が待っていた。

「柊さん、ついに満塁ホームランですか」村上が言う。

「まあな、初ホームランが満塁ホームランだからね」僕が言う。

「今日の試合すごかったですね」

「村上は見てたのか」

「見てましたよ、9回裏の松田選手のサヨナラホームラン

完璧にとらえてましたからね」

「だよね。打った瞬間行ったとおもった」

「それに、柊さん今日は、2打数1安打 1ホームラン 4打点じゃないですか」

「そうなんだよね。4打点もついた」

「そういえば、安藤さんが寮に戻ってますよ」

「安藤は実家の用事があったから寮を開けていたからね。やっと戻ってきたね」

「そういえば、コンビニでアイス買ったんですけど食います?」

「最近、ちょっと暖かくなってきたからちょうどいい。もらうよ」

村上の部屋に行ってアイスを食べた。

「ソフトクリームのアイスはやっぱりおいしいですね」

「だね、けどアイスって食べ過ぎると飽きるんだ」

「それはそうですね。なんでも食べ過ぎるとおいしくなくなりますよね」村上が言った。

「村上は最近、何でリフレッシュしているの?」僕が言った。

「うーん、運動とかですかね。後、本を読みます。」

「なるほどね」

村上と少ししゃべった後、自分の部屋に戻って

体を休めた。


次の日


6月8日

試合前の横浜ゴールデンウルフズの

スタメン

1番 佐伯 センター

2番 小久保 セカンド

3番 橋本  サード

4番 高見  レフト

5番 松田  ファースト

6番 園田  ライト

7番 柊   ショート

8番 黒岡  キャッチャー

9番 前谷  ピッチャー


福岡チーターズのスタメン

1番 星野  セカンド

2番 足立  サード

3番 川村  ショート

4番 秋元  ライト

5番 森野  センター

6番 近岡  レフト

7番 小松崎 キャッチャー

8番 新堂  ファースト

9番 駒場  ピッチャー


僕は7番ショートとして呼ばれた。


試合前にベンチで座っていると園田さんが来た。

「久しぶりにスタメン出場だよ」園田さんが言った。

「そうなんですね。僕は初めてのスタメンです」僕が言った。

「柊は、昨日の試合活躍したもんね」

「スタメン落ちしないように頑張ります。」

「うん、頑張れ」園田さんが言った。



試合が始まった。

序盤に点が入り、

1回表の福岡チーターズが2点先制して

1回裏の横浜ゴールデンウルフズが1点入れた。


2回裏、横浜ゴールデンウルフズの攻撃

6番、園田さんからの打順

ピッチャーは駒場

園田さんが3球目の高めのストレートを打って

センター前ヒットとなった。


ノーアウトランナー無しで

自分に打席が回ってきた。

僕は右打席に立つ。

初球、155kmのストレートを振り遅れて空振り

2球目、インコースのストレートを引っ張るがサードライナーで

アウトとなった。

いい当たりだったので、悪くないと思った。


僕はベンチに戻る。

今日の試合も接戦になるかもなと思った。


守備機会がなく

4回裏に打席が回ってきた。

2対3と勝っている。

僕は右打席に立つ

2アウトランナー無し。

ピッチャーは駒場 右投げ

初球のスライダーを空振りした。

これで、1ストライクとなる。

2球目、スライダーを打ちに行って

ファウル。

3球目、フォークボールを打ちにいったが

バットに当たらず、空振り三振となった。

ここまで、2打数無安打


5回表、福岡チーターズの4番秋元が2ランホームランを

打って、4対3と勝ち越される

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