横浜ゴールデンウルフズ1番佐伯の満塁ホームラン
寮に戻ると
鈴村がいた。
「よお、1軍の練習はどうだった」鈴村が言った。
「結構できたよ」僕が言った。
「同期の中で次に1軍に行くとしたら誰だと思う」鈴村が言った。
「うーん、村上かな。鈴村ももちろん可能性はある」僕は言った。
「やっぱり村上か。そうだよな」鈴村が言った。
「それより、今日はスタメンだった」
「スタメンででれたよ。7番だったけど」鈴村が言った。
僕は食堂に行った。
今は1軍の控えの川波さんにあった。
現在23歳。若くしてプロで1軍にいる。
「柊くんだったよね、1軍昇格おめでとう」川波さんが言った。
「ありがとうございます」僕は素直に言った。
「自分、セカンドの守備しているからショートで守備で
連携するかもしれないでしょ。ちょっとお話に来たんだ」
「ああ、そうでしたか。プロの試合ってどんな感じなんですか」僕が言った。
「プロの試合は応援がすごくて、聞こえない時がある。」
「そうなんですか」
「1軍はお客さんがたくさん入ってくるから、勝った日はすごく喜ばれるよ」川波さんが言った。
「自分、1軍に上がったばかりなんですけど、何を優先的に意識したらいいと思いますか」
「1軍の雰囲気を知って、試合に集中することかな。」
「アドバイスありがとうございます。」
「じゃあ、また明日」川波さんが去っていった。
食堂から、村上のいる部屋に行った。
「村上、もしかしたら明日1軍の試合出るかもしれない」僕が言った。
「ほんとですか、一応録画しときます。」村上が言った。
「1軍の人と挨拶してきたよ」僕が言った。
「高見さんとかいた?」村上が言った。
「いたけど、1軍監督とかコーチの方が気になって見てない」僕が言った。
「テレビで見てる人が1軍にいるんですよ。いいな」村上が言った。
「寮にいる川波さんと話しできたよ」
「ほんとですか。川波選手ってすごいですよね。プロ2年目から
1軍に行って、昨年はスタメンでずっと出場してましたから」
「そうなんだよ。プロの世界に1歩近づけたかなと思ってる」僕が言った。
「柊さんは常田さんとライバルですね。常田さんまだまだ動けますよ
今年、少し成績は落としてますけど。.260ぐらいじゃなかったっけ」
村上が言った。
「常田さん、やっぱりショート上手だよ。まだまだ動ける」僕が言った。
「そうですよね」
「後、山岡さんがショートにいるんだ。」
「2人を相手に戦わないといけないんですね。頑張って」
「おお、がんばるよ 」僕が言った。
僕は自分の部屋に戻って
1軍に残るためには、やっぱり守備しかないかもと思ってきた。
打撃は調子の波があるし、ショートの守備で安定感を見せたら
守備要員で使われるかもしれないと思った。
小久保さんの助言でいつも通りといわれたのでいつも通りやることも
忘れないようにしようと思った。
次の日、
6月4日 オリックス バイソンズの試合
僕はスタメンに呼ばれなかった。
横浜ゴールデンウルフズ
1番 佐伯 センター
2番 小久保 セカンド
3番 橋本 サード
4番 高見 レフト
5番 松田 ファースト
6番 長妻 ライト
7番 常田 ショート
8番 黒岡 キャッチャー
9番 雨宮 ピッチャー
オリックス バイソンズ
1番 黒瀬 センター
2番 青島 ライト
3番 岩谷 セカンド
4番 鳥越 サード
5番 藤城 キャッチャー
6番 半澤 レフト
7番 八島 ショート
8番 高塚 ファースト
9番 北口 ピッチャー
「安藤選ばれなかったな」僕が言った。
「長妻さんが結構打つんだよ」安藤が言った。
「安藤って最近代打多いの」僕は言った。
「7日に1回ぐらいスタメンの時あるけど、今は代打かな」
「そうなんだ」僕は言った。
「相手の黒瀬って人が昨年、オリックスで盗塁王だったらしい。」
「何盗塁したの」
「30盗塁だったと思う」安藤が言った。
「それはすごい」僕は言った。
「1軍ってすごい人だらけだから」安藤が言った。
「小久保さんいつの間にか1軍でスタメンだよね」僕が言った。
「そうなんだよ、小久保さん1軍に上がってきて成績残して
そのままずっとスタメンなんだ」
「小久保さん飛躍の年かもな。1軍、2軍いつも行ったりきたりしているって言ってるから」
僕が言った。
「チャンスをつかまないとね」安藤が言った。
自分が球場で練習をしているとき、ほんとにお客さん入るのかなと思ってたが
試合が始まるに連れてお客さんが入ってきて今、空席が見つからない。
いよいよ、自分がベンチでプロの試合を見ることになる。
どきどきした。
1回表が始まった。
観客席席から応援歌が流れる。
オリックス バイソンズの攻撃
1番 黒瀬
左バッターボックスに立つ。
ピッチャーは雨宮。
先発ローテに入っている。
1球目、150kmのストレートを投げた。
決まって1ストライクで
2球目、スライダーをインハイに投げる。
黒瀬が流し打ちをしてショートに転がる
ショートが少し深い位置でボールを取って
ファーストに投げた。
しかし、黒瀬の足の方が速くセーフになった。
僕はびっくりした。
ベンチではドンマイドンマイと声が出る。
観客席では、歓声が上がった。
2番青島が右バッターボックスに入る。
雨宮は牽制球を投げた。
黒瀬は1塁に戻ってきわどいタイミングだったがセーフ
2初球、足を上げた瞬間、黒瀬が走る
バッターは見逃して、キャッチャーが捕球をして
2塁に投げる。2塁ベース上にしっかり投げられたボールは
走者をタッチした。
判定はアウト。
黒岡の肩でアウトになった。
そこから、2,3番をアウトにして
この回を0点で抑える。
両チーム3回まで失点せず
4回裏横浜ゴールデンウルフズにチャンスが回ってきた。
6番長妻からの攻撃
左バッターボックスに入った。
ノーアウト1,2塁の場面
初球、スプリットのボール球をうまくすくいあげて
センター前に落とした。
2塁ランナーはホームまで帰って
タイムリーヒットとなった。
なおも、0対1のノーアウト1,3塁で
7番常田
右バッターボックスに入る。
初球みのがして、1ストライク
2球目、スライダーをバントした。
3塁側にうまく転がって
3塁ランナーはホームに帰って1点
ピッチャーがボールを取ってファーストに投げるが
常田の足の方が速くてセーフとなった。
0対2とリードをして
ノーアウトランナー1,2塁
8番黒岡
変化球をしっかり見送って
3ボール1ストライクとなる。
5球目、145kmのストレートをとらえるが
ショートライナー、
2塁ランナーが飛び出してしまって2塁に戻ろうとするが
ショートがそのままランナーをタッチしてアウトとなった。
2アウトランナー1塁で
9番雨宮
センターにいい打球が上がったがセンターフライで3アウトチェンジとなった。
5回表を0点に抑えて
5回裏 横浜ゴールデンウルフズの攻撃
ノーアウト満塁のチャンスで
1番佐伯
ピッチャーは、交代して赤塚となっている
盛大な背中 命の限り打ちまくれ
燃え盛る筋肉の強さ さあ君がヒーローだ
かっとばせー 佐伯
応援歌が流れる。
1球目ストレートを打ってファウルとなった。
2球目、フォークボールをすくいあげてバックスクリーンへとホームランを放った。
一瞬静寂になって、その後大歓声となった。
満塁ホームランである。
ベンチの後を少し見るとファンがものすごく喜んでハイタッチをしている
これがプロ野球だと思った。
走者が佐伯さんを迎える。
佐伯さんがホームベースを踏んでハイタッチをした
その後、ベンチに来て
真っ先に2軍監督にタッチをする。
ベンチ全員とハイタッチをした後。
佐伯さんは横浜のマスコットキャラを観客席に投げた。
これで0対6となって
横浜ゴールデンウルフズのリードとなった。
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