柊、1軍に上がる

6月2日

読売ガゼルーズの第3戦


3番ショートでスタメンに選ばれた。


1番 能登 センター

2番 富永 セカンド

3番 柊 ショート

4番 笹野 レフト

5番 宮島 サード

6番 鬼沢 ライト

7番 石堂 サード

8番 伊藤 キャッチャー

9番 相川 ピッチャー



「柊さん、もしかしたら1軍に上がれるかもしれないですね」村上が言った。

「まだ、早いでしょ。」僕が言う。

「最近、柊さんスタメン多いじゃないですか」

「そうだな」


試合が始まった。

1回裏2アウトランナーなしで打席が回ってきた。

少しバットを短くもって右打席に入る。

ピッチャーは135km台のストレートで軟投派である。

1球目、アウトコースにスライダーを投げた。

空振りをして、ストライクを取られる。

2球目、133kmアウトハイのストレート流し打ちをして打つ。

打球は1,2塁間に転がるが、セカンドが取ってアウト。


2回表、守備機会で

4番バッターの鋭い打球をしっかりと正面でとってファーストに投げてアウトにした。

そこから、2回連続ショートに打球が飛んできて、上手くさばいて

3アウトチェンジとなった。

まさか、1イニングに3回もショートに打球が来ると思わなかった。


3回裏、2打席目は

セカンドフライに倒れた。


4回表、守備で

センター方向に強い打球が転がってきた。

素早く、打球を追いかけて、左足の前で取った後、くるりと回って

ファーストに投げてアウトにした。


5回裏

2アウト1,2塁で打席が回った。

右打席に入り、スライダーを狙う。

1球目、インハイにスライダーが来た。

振ったが、打球はバックネットに突き刺さった。

2球目、アウトローのストレート見逃して

2ストライク

3球目、ボール球のフォークボールを振ってしまい三振した。


6回から、白里に交代してこの日を終えた。

試合は、5対8で負けた。



試合後、2軍の福崎監督に呼ばれた。

「明日から、1軍に行ってもらう。おめでとう。1軍の控えのショート

稲山がけがをして2軍に行った、変わりに柊が1軍に上がるということだ。

最近、成績が271と維持しているから、推薦しといた。

白里も良かったが、柊は守備がいいし、率も残してる。

1軍で学んで来い。

申し訳ないが今日中に1軍に出発してくれ」福崎監督が言った。

「はいありがとうございます」僕は言った。


1軍に上がれると聞いてうれしくなった。

2軍成績が成績が140打数38安打 .271 4本 8打点

4月の段階で.191と下がっていた成績が

2割台になって、どんどん成績が上がっていった後、.260台を維持していた。

1軍にいた稲山さんが怪我をして1軍に下がったおかげで

出る機会ができた。

プロ野球は、競争が激しいので常に1軍で活躍している選手はすごい。

たぶん、1軍での役割はショートで守備要員だろう。

ショートでスタメンの常田さんは今、ベテランで34歳と歳を取っている。

今、後釜争いとなっていて

山岡さんは普段セカンドをやっていたけど、元々ショートだったので

今季はショートで出場したりしている。

つまりライバルとなる。

しかも2軍では白里も頑張っていたりする。

自分は高校生の時からショートをやっていたのでずっとショートをやりたいと思っている。


バスに乗ると、隣の席に村上がやってきた。

「柊さん2軍の福崎監督と何話していたんですか」村上が言った。

「村上、1軍に上がることになった。」僕が言った。

「まじですか、すごいですね。ついに柊も一軍か」

「ああ、安藤に追いついてやる」

「1軍で出るとき、言ってくださいね。自分見ますから」

「分かった」僕は言った。


部屋に戻ると、同期の中条が来た。

少し中性的な顔たちをしている

「柊さん、行っちゃうんですね」中条が言った。

「うん、1軍で頑張るよ」

「守備頑張って下さい。」中条が言った。

中条が出ていくと


次に、倉田が部屋にきた。

「おう、柊なんか早いな、別れるのが

いちおう俺は安藤よりも柊が1軍に行くんじゃないかと思っていたけどな」

倉田が言った。

「ほんとか」僕が言った。

「安藤は確かに、ドラ1として申し分ないが柊は守備が安定している。

それは、プロに入ってから変わらなかった」

「まさか、守備を評価してもらえるとはね。けどバッティングに力いれてるんだけどね」

「まあ、今はそれでいいけど、ショートの守備って結構評価してもらえるぞ」倉田が言った。

「安藤に追いついていくよ」僕が言った。


6月3日、


寮の自分の部屋で片付けをしてから、

2軍の先輩や同期に見送られる。


1軍に帯同するため

寮は1,2軍でも変わらないので、そのままだ。

ただ本拠地まで移動距離がある。



「1軍に上がることになった」

安藤に連絡をしておいた。


1軍の人たちは移動があったので

1時から練習が始まる。

僕は余裕をもってきた。

スタジアムに入ると

1軍監督の伊藤さんがいた。

「おはようございます。」僕が言った。

「おはよう、今日は練習だからしっかりね」伊藤監督が言った。


1軍打撃コーチの横塚さんがいた。

「はじめまして、柊です」僕が言った。

「君が柊くんね、練習で様子みて、もしかしたら明日の試合から使うかもしれないから」

横塚さんが言った。

「はい、よろしくお願いします。」僕は言った。


12時30分になって続々と選手たちがやってくる。

その中には、安藤だったり、小久保さんに園田さんがいた。

みんな、体格ががっちりしている。


「おう、柊。1軍来るの遅かったじゃないか」小久保さんが言った。

「いや、結構1軍に早く来たと思ってるんですけど」僕が言った。

「もう、交流戦だよ」小久保さんが言った。

「そうですね」僕が言った。

「1軍でプレッシャーもあるけど、普段通りにしろよ

無理に何かしようとすると空回りになるからな。

よく新人が、ボール取れると思ってダイビングキャッチをこころみようと思って後にそらして大変なことになったことがあるからな」小久保さんが言った。

「了解しました。」僕が言った。


1時になって、全体のミーティングが始まる。


「今日は、守備練習だけ重点的2時間やって終了

15時解散だ。そこから、自主トレをしたり、休息に当てていい。

今日から、1軍に帯同することになった柊だ」伊藤監督が言った。

「柊 優馬です。まずは1軍に馴染めるようにしたいと思います」僕が言った。

「ポジションはショートだ。ていうことでこれから守備練習を始める。

内野手からシートノックだ」伊藤監督が言った。


僕がグローブを取りに荷物に向かうと

安藤がやってきた。

「柊、1軍にやっときたね」安藤が言った。

「まあな、安藤は実家に帰って少し予定があったんだろう」僕が言った。

「そうなんだ、親が入院して実家に帰ることがあって寮で会えなかったよ」安藤が言った。

「父親は大丈夫なのか」

「手術が終わって無事退院だそう、2日後には寮に戻るよ」

「おお、それはよかった」僕が言った。


グローブを取って守備練習に入った。

逆シングルでボールを取ってファーストに投げたり、

正面のボールをしっかりと取ってアウトにした。

ショートには、僕の他に常田さんと山岡さんがいる。

僕は、上手くこなしていた。

ゲッツーの練習をしたとき、

カバーに入るのが遅くて常田さんに怒られた。

「柊、カバー速く入らないとアウトにできないよ」常田さんが言う。

「了解です」僕が言った。

ゲッツーの練習は嫌いじゃなかった。

肩が強いので、セカンドからショートに投げられて

ファーストに投げるとき強い球をファーストミットに投げた。


中継では、外野とホームの方向が一直線になるような守備位置を取った。

色々なパターンの練習をしてこの日は終わった。


「柊、守備いいじゃないか」守備走塁コーチの倉野さんが言った。

「ありがとうございます」僕は言った。

「ショートの守備は堅実だな。2軍の映像を見せてもらったよ

これなら、1軍でも通用しそうと思って推薦が来たとき、監督にも言っておいたよ」

「そうだったんですね」僕が言った。

「明日、使われるかもしれないからその覚悟で」倉野さんが言った。

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