前村さんと住田のカレー店

ベンチに戻ると

「引き分けは後味が悪いね」セカンドの富永さんが言った。

「そうなんですよね、引き分けってなんか悔しいです」僕が言った。

「それだけ、リリーフが頑張ったってことだよ」富永さんが言った。

「東北バイソンズの2軍のリリーフがピンチでも抑えてきて取れなかったです。」

「今日は6点取れたし、柊だって犠牲フライ打っただろ。あれはホームランにしないと

まだまだだね」富永さんが言った。

「そうなんですよ、落ちないフォークボールをとらえたんですけど、打球があと一歩伸びなく悔しいです。」僕が言った。

「柊ってここまでホームラン何本打ってるの」

「たしか、3本だったと思います」僕が言った。

「意外と少ないね」


「そうなんですよ、社会人の時は結構ホームランも打ってたのに」

「まあ、まだ5月だからね。しかもプロの世界だし甘くないよ」富永が言った。

「そうですよね」僕が言った。


富永さんと別れると鈴村がやってきた。

「おお、柊一緒にバスに乗ろうぜ」鈴村が言った。

鈴村とバスに乗って僕は鈴村の隣に座る。

横浜ゴールデンウルフズの選手が全員バスに入ったら

出発をした。

「俺、明日スタメンででることになった」鈴村が言った。

「おお、おめでとう。スタメンつかんでこいよ」僕が言った。

「頑張ってくるよ。

この前、住田の実家のカレー屋に行ったんだけど、めちゃくちゃ上手かったわ」

「住田から聞いたよ。俺も行こうかな」

「それがいいと思うわ」鈴村が言った。

「そろそろ、住田と倉田のバッテリーが見れるんじゃない」僕が言った。

「そうだね。新人バッテリーか」

「以外と寮生活慣れてきたよ。実家から離れるよ嫌だったけど」

「寮の食事普通においしいからな」鈴村が言った。

「今日、村上がダイビングキャッチしたじゃん、あれよかったよな」僕が言った。

「いや、あれ取れなくて後にそらしたらやばかったから、無理する必要はない」鈴村が言った。

「そっか」僕が言った。

「柊もジャンピングスローしてたな。あれはすごかったぞ」鈴村がいった。

「普通に投げた方がいいんだけど、アウトにしたかったからね」僕が言った。


バスが寮がホテルに到着して

ホテルに戻ると、前村さんにラインをした。

「今度の5月27日って空いてる?」僕は送信した。

「うん、5月27日空いてるよ」返信が帰ってきた。

「カフェにでもいかない」

「いいよ。」


明後日が楽しみだなと思い、この日を終えた。


5月27日

朝起きて歯ブラシをしていると

外村がいた。

「今日はどこか出かけるんですか」外村が言った。

「いや、ちょっと女の子とデートする」僕が言った。

「いいですね」外村が言った。


支度をして、寮をでて待ち合わせの場所に行った。

「柊さん、こっちです」前村さんが言った。

「おはよう、前村さん」僕が言った。

「柊さんなんか大きくなりましたか」

「まあ、ちょっと筋トレをしていたから体が大きくなったのかも

後、試合で動いてるから」僕が言った。

「そうなんですね。スポーツ選手ってすごいですね」

「いやいやそんなことないよ」

「そうやって謙遜して胸張っていいですよ」前村さんが言った。

「そういえば、髪切った?ショートで可愛いじゃん」

「柊さん気づいてくれましたか、そうなんです髪切ったんですよ」

「いいね」僕は言った。

前村さんと歩いてカフェに向かって歩いた。

「ここですね」前村さんが言った。

カフェに着いて席を取ってから注文を頼んだ。

僕はコーヒーを頼んで、前村さんもコーヒーを選んだ。

「ここの店いいですよね、ゆったりとした空間で」前村さんが言った。

「ここなら、おしゃべりできるね」僕が言った。

「柊さんは、いま、2軍でどうなんですか」前村さんが言った。

「今、2軍でレギュラー争いをしていて、スタメンを取ったり取られたりしているよ」僕が言った。

「最近、安藤さんが話題になってましたよ。ニュースでやってました」

「そうなんだ。安藤に先を越されてしまってね」

「友達にプロ野球ファンの人がいるんですけど、その人がプロがどれだけすごいのか

力説されました。」

「まあ、プロで1軍にいる人はすごいよ。」僕は言った。

「私も横浜ゴールデンウルフズファンになろうかな」前村さんが言った。

「うん。なってほしいね」僕が言った。

1時間ぐらい話してから、前村さんが用事があって帰った。


寮に戻ると、村上がいた。

「戻ってくるの早かったですね、今から住田さんのカレー店にいきません?」村上が言った。

「カレーめちゃくちゃおいしいらしいね。行こう」僕が言った。

住田に事前に行くと言ってからカレー店に向かった

ここから、電車で30分ぐらいかかる。

「前に、電車乗ってたら横浜ゴールデンウルフズの村上選手ですよねって声かけて

もらえたんだ」

村上が言った。

「へぇ、それはすごいな。2軍の試合ちゃんと見てくれてるわけだ」僕が言った。

「1軍に行ったら、もっとファンが増えるのかもね」村上が言った。

「最近スポーツとか野球以外見てる?」

「サッカーとか面白いですよ。野球と違って点はいるシーンが少ない」

「サッカーね。運動量がすごいよな」

「そろそろ、駅につきそうです。」村上が言った。

駅について、15分ほど歩くと

住田のカレー店に着いた。


カレー店に入って席に座ると

住田のお母さんらしき人が来た。

「横浜ゴールデンウルフズの選手の人ですか」聞かれたので

「はいそうです。住田と同期です」答えた。

「そうなんですね。住田と仲良くしてくれてうれしいです。」

「はい、こちらこそ」僕が言った。

「うちの息子からラインが来て、2人組の同期の人が来るっていうから」

「そうだったんですね」

「うちの息子、大学野球で少しだけ注目されたんだけど、

スカウトが横浜ゴールデンウルフズ1球団しか来てなくて

ドラフトで7位に選ばれたときはうれしかったわ」

「住田は今、同期の倉田とバッテリー組んで頑張ってますよ」

「あなたたちもドラフト指名されたんだから、すごいわよ

ダイが頑張ってると聞いて安心した」

その後、注文をして

カレーが運ばれた。

「うわ、おいしそう」村上が言う。

「だな、いい香りがする」僕が言った。

食べてみると、辛さと旨さがバランスがよくて

おいしかった。

パクパクと食べていくとどんどん食事が進んでいく。

「カレーってこんなに美味いんですね」村上が言った。

「意外とお客さん入ってるし、繁盛してるね」僕が言った。

「カレー店って辛さが色々あっていいですよね」

「マックスの辛さって食べたことある」

「いや、たぶん辛すぎて味がわかんないですよ」

「それもそうか」僕が言った。


カレーを食べ終わったあと

住田のお母さんが来て

色紙を渡された。

「これから、未来ある選手にサイン書いてもらおうと思って」住田のお母さんが言った。

「いいんですか、まだルーキーですよ」村上が言った。

「息子の同期だから、いつか活躍したときに店に飾るとお客さん喜ぶでしょ」

「たしかにそうですね」村上が言った。

僕と村上は色紙にサインを書いて

住田のお母さんに渡した。

自分が活躍してまた、この店に行こうと思った。

僕と村上は住田のお母さんにお礼を言って

店を出た。


「サインもらえると思わなかったです」村上が言う。

「サインの価値が上がるくらい頑張らないとな」僕が言った。

2人で電車に乗って寮に戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る