柊のスプリットステップ
2アウト満塁で
8番 伊藤
素振りを何回かしてから右バッターボックスに立った。
1球目 フォークボールを見逃してボール
2球目 低めのスライダーを見逃してボール
3球目 ど真ん中にストレート 見逃してストライク
4球目 高めのストレートを振って 2ボール2ストライク
5球目 スライダーをバットで追いかけるが当たらず三振。
ゲームセット
試合が終了した。
「今日はいい試合が見れました」僕が言う。
「そうだな」鈴村が言った。
ホテルのロビーで村上が待っていた。
「お疲れ様です」村上が言った。
「試合に出てないけどな」僕が言った。
「いや、今日の試合出たかったです。9回チャンスだったから」村上が言った。
「ベンチで見る試合も面白いよ」僕が言った。
「実際に試合すると緊張の方が多いですもんね。」村上が言った
「満塁ホームランを2軍の公式戦で打ってみたいな」
「ホームランの中でも満塁ホームランって4点入るからでかいですよね」村上が言った。
「そうなんだよ。今日の試合、満塁ホームランを打たれて決着ついたから」
「最近、自分もホームラン打ちましたけど、満塁ホームランはまだです。」村上が言った
「村上は、鬼沢さんが2軍に来たから試合でるの大変になったな」
「柊さんも白里さんに2軍レギュラー取られそうじゃないですか」
「まあ、そうなんだけどな」
「村上は守備は上手くいってるの」僕が言った。
「外野で太陽が目に入らないように気をつけている
感じです。」村上が言った
「最近、日が照ってきてまぶしいもんな」僕が言った。
「足がそこまで速くないから3ベース許しちゃったときは、守備コーチに怒られました。」
「ライトが一番3ベースヒットの可能性があるからな」
「柊さんは守備堅実ですよね」
「最近、自分が取れそうと思ったらだいたい取れるんだよな、後はバッターが振るタイミングでジャンプを少しするとうまく行く。一歩目が速くなるんだ」
「少しジャンプするといいってこと聞いたことあります」村上が言った
「スプリットステップっていうんだけどな」僕が言った。
「ショート守ってるの柊さんすごいですよ。ショートはだめだと思われたら
セカンドに回されるんですから」村上言った。
「まあ、ありがとう」僕が言った。
村上とホテルのロビーで別れて自分の部屋に戻った。
5月25日
東北バイソンズとの試合
2試合目
ショートでスタメンを取った。
3番 ショート である。
相手ピッチャーは148kmのストレート
最近4試合、白里にスタメンを取られて出場できていなかった。
ちなみに村上もこの試合出てくる。
スタメンメンバー
1番 能登 センター
2番 富永 セカンド
3番 柊 ショート
4番 笹野 レフト
5番 宮島 サード
6番 村上 ライト
7番 石堂 サード
8番 九条 キャッチャー
9番 藤崎 ピッチャー
となっている
サードの松宮が石堂に代わって
キャッチャーも伊藤から九条に代わった。
試合が始まる
1回裏の横浜の攻撃
2アウトランナーなしで自分に打席が回ってくる
1球目、ストレートを見逃してボール
2球目真ん中にきたカーブを引っ張って打球はレフト前に落ちて
レフト前ヒットとなった。
3回裏 1アウトランナー無し
僕が右打席に立った。
1球目ストレートを見逃してストライク
2球目、インコースのスライダーに手を出してファウル
そこからボールが2つ続いて
2ボール2ストライク
5球目フォークボールを見逃してボール
6球目完全に外れたボールでフォアボールとなった。
そこから、連打で2点が入った。
これで0対2
4回表に東北バイソンの打線に捕まって
3点を失った
3対2となる
5回裏
ノーアウト1塁のチャンスの場面で
自分の打席が回ってくる
右打席に入り、気合をいれる
ピッチャーがスライダーを投げた
1塁ランナーがスタートする。
僕はバットを振ってファウルとなった。
1塁ランナーの富永さんが走るということを意識していなかったので
やってしまったと思った。
2球目、アウトコースに外したボール
キャッチャーが2塁になげるが
すでに富永さんがベースについていてセーフとなる。
1ボール1ストライク
これで自分から打ちにいけるようになった。
初球スライダーから入ったので
もう一回スライダーが来るかなと思い。
スライダーに狙いを絞る。
3球目スライダーを内角に投げてきた
振りに行くがバットが遅れて空振りとなった。
これで、1ボール2ストライク
4球目はストレートの速球が来るだろうと読んで
ストレートを待ち構える
ピッチャーが投げた球は真ん中低めのフォークボール
読みとは違うが反応してバットに当てたがピッチャーゴロで
ファーストアウト
ランナーの富永さんは進塁できずに1アウト2塁となった。
その後、点が取れずにこの回は終わった
6回表に相手が連打でさらにリードを許した
しかし、ショートでの自分のファインプレーもあり追加点は許さなかった。
2アウト2,3塁の場面
ピッチャーの藤崎が3失点をして
なおもヒットで追加点が打たれる場面。
相手の3番バッターが右打席に入る。
ショートにいる自分は藤崎さんの配球の都度、守備位置を少し変えている
キャッチャーがサインを出したので少しサード寄りの守備位置に変える。
ピッチャーが足を上げて投げる。
バッターが打つ瞬間、少しジャンプして1歩でも速く届くように準備する。
バッターが打った瞬間、三遊間に抜けると思い走りだす。
速いゴロが三遊間を抜けそうになるが、飛びついてボールを取る。
そして、グラブから手にボールを持ち替えて、ファーストにジャンピングスローをした。
ノーバウンドでファーストに送球した。
一呼吸おいて、判定はアウト。ぎりぎりのタイミングであったが間に合って良かったと思った。
ピッチャーにナイスプレーと言われて、ベンチに戻ると
仲間にも、ナイスプレーと言われて、うれしくなった。
「柊、今のプレーよかった」2軍コーチの栗野さんに言われた。
「ありがとうございます」僕が言った。
「2軍であのプレーができる人は少ないナイスプレー」栗野さんが言った。
ベンチで水を飲んでいると横から村上が来た。
「柊さんって肩強いですよね」村上が言う。
「そうなんだ、小さい頃から肩強いとは言われていて」僕が言った。
「あの距離からジャンピングでノーバウンドで送球できる人なんか
1軍の人でもあまりいないんじゃないですか」
「けど、ジャンピングスローは正確性がないし、堅実ではないからな」
「柊さんは堅実な守備を目指しているんですね」
「まあ、そういうこと」僕が言った。
6回裏
6対2と離されていたが
この回に3点を入れて
6対5なおも、1アウト満塁で
自分の打席が回ってきた。
右打席に立つ。
みんなが連打して回ってきた打席
つなぐ打線になってきている。
相手ピッチャーが汗を流してマウンドに立っている。
犠牲フライを打てば1点。最低限の仕事はしようと思った。
1球目、インコースのスクリュー
見送ってボール。
2球目アウトコースのストレートを投げてきた。
一瞬バントの構えをしてバットを引いた。
ストライクとコールされて
1ボール1ストライク
3球目、インコースのフォークボールを
上手くたたんで引っ張った。
打球は高く上がってレフト方向にぐんぐんと伸びる。
しかし、後一歩届かず、レフトが取って3塁ランナーがタッチアップして
1点が入った。
打った後、ホームランだと思いガッツポーズしたが
自分の力が足りずレフトフライになって、少し恥ずかしかったが
一応、最低限の仕事はできたのでよしとした。
自分の犠牲フライで6対6になり
なおも、2アウト1,2塁で
4番笹野だったが、打ち上げて平凡なセンターフライとなった。
横浜ゴールデンウルフルズの2軍はイースタンリーグで
延長は11回までとなっている。
6対6で両チーム延長11回までプレイしたが
点が入らず引き分けとなった。
今日の成績は
4打数2安打 1打点
127打数33安打 259 7打点となった。
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