柊が板谷投手の攻略法を見つける
次の日、5月14日
北海道日本ワイルドボアーズとの試合。
3番ショートで呼ばれた。
初めての3番なのでどうすればいいか。ライバルの白里に聞いてみる。
「3番は基本的に1番か2番が盗塁するチームだったらバットは振らない。
1球は我慢しとく。長打力が重要かもね」白里が言った。
「ありがとう。」僕は言った。
白里とは、ポジションがかぶっていてライバルである。
「よお、柊。ちょっと素振り見てて」宮島さんが言った。
「素振りですか。わかりました。」僕は言った。
宮島さんはサードで26歳 先輩である。
宮島さんが素振りをしていて僕はそれを見る。
「変わってるところあるか」宮島さんが聞いてくる。
「いや、特に変わっているところはないです。」僕は言った。
「わかったありがとう」宮島さんが言って去っていった。
今日のスタメンメンバー
1番 能登 センター
2番 榎本 セカンド
3番 柊 ショート
4番 笹野 レフト
5番 小久保 ライト
6番 宮島 サード
7番 松宮 ファースト
8番 伊藤 キャッチャー
9番 永富 投手
1回表、守りの時に三遊間のゴロを逆シングルで取ってアウトにした。
これで1アウトとなった。
その後は、ボールが来ずに
1回裏の攻撃になった。
今日の天気は晴れている。
1番 能登は足が速いバッターで、よく代走に使われているが今回はスタメンから。
能登が左打席に入る。
ピッチャーは、板谷 ワインドアップから1球目を投じた。高めのストレートを見逃してストライク。
「小久保さん。相手ピッチャーの球ストレート走ってますね。」僕が言った。
「ああ、たしかに走ってるが132kmのストレートだから打てるんじゃないか。」小久保さんが言った。
「うん、そうですかね。」僕は言った。
能登は2球目を打ち上げてフライで倒れた。
これで1アウト。
2番バッターは、榎本
右打席に立つ。
今日は天気が良い。
ピッチャーの板谷はマウンドでロジンをつけてから
投球を行った。
2ボール0ストライクからの3球目
真ん中寄りのストレートを打つがショート正面
これで2アウトランナー無しとなった。
「相手のストレート狙っていけよ。」小久保さんが言う。
「いや、相手の変化球狙います。」僕が言った。
「なんで変化球なんだストレートが打ちやすいだろ。」小久保さんが言った。
「いや、相手のストレートは少しスライダーみたいに横に曲がってる気がするんです。
さっきの榎本さんもストレート芯で捉えていなかったので。」僕が言った。
「わかった。」小久保さんが言った。
僕は右打席に立って、バットを構える。
ショートは少し右寄りになっている。
1球目ストレートをカットして行った。
2球目のストレートもカットして2ストライク
その後ボール球が2球来て2ボール2ストライク
相手がインコースにシンカーを投げてくる。これもカットする。
そして、アウトコースのフォークボールを上手くライト方向に流して
ヒットとなった。
1塁ベース上でベンチにガッツポーズをした。
その後、4番の笹野がフライを打ち上げて3アウトチェンジとなった。
ベンチに戻った。
「なんか攻略法分かったのか。」小久保さんが聞いてくる。
「いや、そんな大層なことではないけど、いつも通り振ってたらタイミングが合わないので少し遅めのタイミングを取るか。変化球待ちにして合わせるかの2択ですね。」僕が言った。
「なるほど、球が遅いからみんなタイミングが合わないということか。
タイミングが合わないままストレート待つと変化球が打てなくなるのか。」
「多分、合う人は合うと思うけど、合わない人は合わないみたいな感じかな。」
「ちょっとみんなに言ってくる。」小久保さんが言った。
2回表。
永富さんが三者凡退に抑えた。
2回裏
5番 小久保さんからの攻撃
初球のストレートを見逃して1ストライクとなった。
2球目のストレートを見逃して2ストライク
3球目のシンカーをレフト前に持って行ってヒット。
マウンドで板谷はムッとした顔をしていた。
ノーアウトランナー1塁で
6番宮島。
「なんか小久保さんがストレートじゃなくて変化球狙えって言ってたけど。本当に上手くいくの。」能登が言った。
「あれは、僕が提案したんだよ。このままじゃ打てないんじゃないかと思って」僕が言った。
「確かにぼくもタイミングが合わなくてフライ打ち上げたけど。」能登が言った。
「小久保さんが変化球ヒット打ったからなんとかなるんじゃないかな」僕が言った。
6番宮島
初球、フォークボールをセンター前ヒットにして
ノーアウト1、2塁となった。
7番松宮
2ボール2ストライクで追い込まれて
5球目のシンカーを打ち上げて1アウト1、2塁となった。
8番伊藤がヒットを打って
1アウト満塁
9番 永富が三振に倒れて
2アウト満塁で
1番 能登
「変化球狙って点取ってくるわ。」能登が言って打席に向かって行った。
板谷は少し苛立った表情でマウンドに立った。
1球目 初球のスライダーを上手くバットにあわせてライト前ヒット。
2塁ランナーはホームまで帰って2点を返した。
その後、2アウト1塁、2塁で榎本が空振り三振でチェンジとなった。
その後、板谷を攻略して5回裏を終わる頃には6点を取っていた。
そこからピッチャーが変わった。
自分の打席は3打数2安打となった。
8回裏に打席が回った。相手は中継ぎ。
3ボール0ストライクで
ストレートを引っ掛けて凡退。
今日の打席
4打数2安打となった。
成績 109打数 30安打 275
打率が回復して打てるようになってきた。
一時期1割台になっていたものが、急速に回復して行った。
打席数がまだ少なかったことでもあるが、ここまで打てるようになるとは思わなかった。アウトコースの変化球が苦手でそこを狙われて凡退の山を築いていったが最近、カットをすることを覚えて。アウトコースをカットすることができた。アウトコース
のストレートには対応できるけど、変化球が対応できないのはストレート狙いで対応している分に速く振りすぎていて当てるだけになっていたのだ。
コーチの言葉で良くなっていった。
ホテルに戻った後、小久保さんが来た。
「柊の作戦どうやら上手く行ったようだな。」小久保さんが言う。
「まあ、タイミングが合わなそうだったので」僕が言った。
「柊のおかげでこの試合勝てたよ。誇っていいぞ。」小久保さんが言った。
「ありがとうございます。」
「てことで、今夜は俺の奢りな」
「奢ってくれるんですか?けど今日ホテルの夕食ありますけど。」
「じゃあ、また空いた日で。食べに行こう」
「焼肉でお願いします。」僕は言った。
「じゃあ、今週の空いてる日でな。」小久保さんが言った。
5月15日
3番 ショートでスタメンに呼ばれた。
ここ最近絶好調である。
試合が始まり1回裏2アウトランナーなしから打席が回ってきた。
2ストライクまで追い込まれて、3球目のアウトコースの変化球をカット出来なくて空振り三振となった。
僕の弱点はアウトコースの変化球なので、そこを狙われた。
4回裏にも打席が回ってきた。
0アウトランナーなしで初球の高めの球を打ち上げてファーストフライ。
6回裏
1アウト2塁。
スコアは3対2で勝っている。
追加点を取って離したい場面を
2ボール0ストライクになって
インコースのスライダーを振ってショートゴロでアウトになった。
8回裏にも打席が回ったが凡退
今日は4打数無安打となった。
最近調子が良すぎたからかもしれない。
成績 113打数 30安打 265
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます