第25話
side 安藤
ヒーロインタービューが終わって、一息着いた時、高見さんがやってきた。
「3ランホームランおめでとう」
「ありがとうございます」
「あの場面で打てるのは、勝負強い証だね、これからもがんばって」
「はい、がんばります」
まさか、首位打者にも選ばれたことのある高見さんに話しかけてもらえるなんて
思っていなかった自分は小さくガッツポーズをした。
ロッカーで、片づけをしていると1軍の伊藤監督が入ってきた。
「あのホームランは一生の思い出になるんじゃないかな」
「はい、代打で結果出せてよかったです」
「2ストライクで、追い込まれている場面でよく思い切って振り切った。」
「自分が決めないとと思って振り切りました。」
「けがしないようにね」
「はい」
と伊藤監督は去っていった。
ホテルに戻った。あのスタジアムの歓声が忘れられない。
3ランホームランを打った感触がまだ手に残っていた。
まさか、プロ野球選手になって、プロ初打席でホームランを打てるとは思わなかった。
3ランホームランを打ったボールは、係員のひとから、ボールが渡されて今、持っている。
僕は、そのボールに、感謝を込めた。
Side柊
5月の1日
朝起きてテレビをつけると、野球の昨日の試合で活躍した選手を取り上げる、番組が始まっていた。
安藤は、1軍で元気にやっているのかと心配になった。
「続いて、横浜ゴールデンウルフズ対中日キャットファイアーズとの試合です」司会者が言った。
僕はなんとなくテレビを眺めていた。
「3回裏、横浜ピッチャー、平松が、中日打線に捕まり、5連打打たれまして、
スコア、0対3となります。
4回裏、ピッチャー平松の、高めのストレートを主砲4番バッター三木が、スイングして、バックスクリーンのホームラン、スコアは0対5
しかし、横浜ゴールデンライオンズも反撃に出ます。
5回表、ノーアウト、2,3塁のチャンス、バッター3番の高見選手に打席が回ります。
ピッチャーから投げられた3球目のインコースのストレートを右中間に持っていって
タイムリーツーベースヒットで2点が入ります。
その後も横浜は1点を返して、3対5となります。
7回の表、ノーアウト2,3塁、一打同点の場面に代打が送られて
ドラフト1位ルーキー安藤が打席に入ります。」
僕は、びっくりして起き上がった。
期待の同期の安藤が代打で1軍デビューを飾るなんて、
しかも、一打同点の大事な場面。すでに、結果は出ているのだろうがテレビの前で祈った。
「1球目の、インコースのストレートをバッターの安藤が引っ張って打つがファウルにします。ピッチャーがモーションに入り、
2球目のアウトコースのスライダーを見逃して、2ストライクと追い込まれました。
3球目のインコースのストレートをすくいあげるように打って、
上空に高々とあがり、ライトスタンドに入りホームラン。
これで、6対5となり、
試合は9回裏、横浜の抑えピッチャー横山が3者3振で力投を見せて、
試合は、6対5で横浜ゴールデンウルフズの勝利となりました。」
僕は、呆然として、口をあんぐりとしていた。
まさか、ドラ1ルーキー安藤が、初打席で初ホームランを放つとは思ってもいなかったからだ。しかも、決勝点である。
僕達の同期の安藤が、1軍で鮮烈なデビューをかざり、僕は、うれしい気持ちと悔しい気持ちが混じっていた。
ルーキーが初打席初ホームラン、
顔もさわやかイケメン、彼はもう。スター街道を歩いているのではないかと思った。
結果を残してしまうところに、大型新人だと思わせる。
僕は、スマホを手にとって、通知を見るとラインがきていた 。
「僕の1軍での初打席の映像見た?見たなら、
君はびっくりしていると思うが、僕はこんなのじゃ終わらないよ
僕はもっと上を目指すよ」と宣言した文書が送られてきた。
「初打席初ホームランおめでとう。
びっくりだよ。同期みんなびっくりしていると思うよ。
どら1の安藤が一気に名前がファンに知らされたとおもう。
僕も応援してるよ」
と祝いの言葉を返した。
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