第19話

その後、ぼーとテレビを見ていると

部屋から安藤が入ってきた。

「やあ、柊。5日前の合コンは誘ってくれてありがとう」

「まあ、さわやかイケメンがいるとなごむだろうからと思って。」と僕がからかうと

安藤は苦笑いした。

「合コンどうだった」と僕が聞くと

「いや、うまくいったよ、加納さんと結構話して、そのあとも、1回会っているんだ。」

「へぇ、それはうらやましい」

「柊くんだって、可愛い前村さんと仲良くはなしていたじゃん、喧嘩してたけど」

「まあ、連絡まだ取ってないんだ」

「それは、もったいない。今すぐ取らないと他の男に取られちゃうよ」と安藤が言った。

それは嫌だなと思い、後で連絡することにした。

「今日の2軍公式戦初ヒットおめでとう」

「ありがとう」と安藤は微笑んだ。

それから、少し話をして、安藤は部屋に帰っていった。

他の男に取られたくないので、急いで前村さんに連絡した。

すると、「もう、連絡するの遅いよ。もう連絡来ないのかと思った」と悲しまれて

「ごめん、連絡遅くなった」と返信した。

「今度、花見に行こうよ」と前村さんからラインが来る。

「いいよ」と僕は返信した。プロ野球選手は月曜日はやすみで、

場所さえ近ければ予定は空いているのだ。

「花見行くの忘れないでね、4月の1日に東京の花橋公園で」

「おけ」と僕は返信をした。

デートに行けるとよころんで、その日は寝た。


4月1日、前村さんと花見デートである。

前村さんは白のブラウスを着て現れた。

可愛い顔しているが、大人びた表情だ。

「柊さんこっちです」と僕に向かって手を振る。

「おお、ごめん待たせた」と僕は言った。

「それにしてもソメイヨシノの桜は綺麗ですね」

「いや、こんな人が多いとは思わなかった」

僕達は桜の木の下でレジャーシートを引いて、座った。

「どう今日の服装、似合うでしょ」と前村さんが言う。

「うん、前村さんらしいよ」

「でしょでしょ」

「前村さんの看護師の服も見てみたいな」と僕は言った。

「看護師の服、家にありますけど、コスプレみたいで嫌です」と前村さんは言った。

「そうだよね」と僕は笑ってごまかした。

桜の木の下で、可愛い子と会話できるのは最高だなと思っていると

「今、可愛い子とおしゃべり出来て最高だなみたいな顔していましたね。」

と僕の心情を読み取られた。

「いや、桜が綺麗だなって思ってただけだよ」とごまかした。

「ひいらぎさん、気持ち悪い笑み浮かべてましたもん」と前村さん

「え、うそ。まじで」と僕は聞き返す

「まさか、私の看護師の服装思い浮かべてにやけていたんですか、変態です」

「いやいや、そんなこと思ってないから」と僕は否定する。

「ほんとですか?」

「ほんとだよ」

「まあ、そういうことにしときます」と前村さんは言った。

話題は変わって野球の話になった。

「柊さんは、今、2軍にいるんですか?」と前村さンは言った。

「そうなんだ、オープン戦は1軍にいたんだけど、打率266で、あまり成績がよくないから、落とされたんだ。それでも新人選手にしてはかなりいい方だと思うよ。」

「柊さん、頑張っているんですね。私も看護師で、給料あげれるように頑張ります。」

「今の目標は、2軍で初ヒットを打つことかな」

「私、柊さんのこと応援していますので、1軍昇格できるよう祈ってますよ」

「いや、まだ1軍昇格は先なんだよね」

「大丈夫です。柊さんならできます」

「そういってもらえてうれしいよ」

昼になって、太陽が登り、少し暑くなってきた。

風は涼しい。

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