第10話

10日後、段々慣れてきて、寮の仲間、ドラフトの同期と仲良くなり、

普段通りの練習が続いた。投手と野手に別れるので、投手にはあまり会えない。

アップが終わりシートノックを受ける。

「柊、今日は10球連続で取れたらはやく切り上げていいぞ」と池田コーチが言う。

「了解した」と僕は言う。

池田コーチが僕に向かってボールを打つ、難しいバウンドのボールを僕は綺麗に処理をして、1塁に投げる。2球目は、センターよりの打球を半身でとりながら、くるりと回転して1塁に投げる。かなり、難易度が高い練習だ。難しい打球を10球連続でとるのは難しいかもしれない。

9球目で、ライナー性の三遊間のあたりをジャンピングしたけど、届かなくて、10球チャレンジは終わってしまった。

「失敗したから、いつもの時間で切り上げるぞ」

最初から失敗することを見越したんだなとやられたなと思った。

シートノックが終わって、練習は終わった。

寮の部屋に戻り、ゲームをする。


1月30日、新人合同自主トレがおわり、2月1日からの春季キャンプに向けて、沖縄に移動する。飛行機で、隣の席はあまり話していないピッチャーの住田さんだった。

「うちの店、カレー店なんだけど、息子がプロ野球選手になったのをいいことに、俺の顔写真を店に貼って、プロ野球選手の息子の店で売りこもうとしているんだよね」と住田三は言った。

「いや、おもしろいねそれ、うちの住友ガスも、広報活動に専念してくれと言われて、

わざわざ、お客さんの相手して、プロ野球選手という肩書きで色々やらされたよ」

「うち、金がないからさ、プロ野球選手になって親孝行するんだ。」

「いいね、親孝行は、ドラフトのときかもな」

「カレー店って大変なんだよ、チェーン店があるから」

「こんど、住田のカレー店に行くよ」

「来てヨ、歓迎するよ」

僕達は色々話しているうちに沖縄に飛行機がついたようだ。

僕達はバスでホテルに向かった。

鈴村が、バスで歌を歌っている彼は盛り上げ隊だ。

ホテルについてチェクインして、それぞれ休憩する。

明日から、2軍に帯同するので、気を引き締めないとと顔を見る。

少し、たるんでいる表情だった。

プロ野球はストイックにいかないと。


次の日、僕達はあいさつをして、2軍に帯同した。

先輩たちはやる気に満ちていてぎらぎらしている。

僕達、1年目は先輩たちの前をしながら練習をする。

2軍の野手の富永選手が僕に声をかける。

かれはユーティリティープレイヤーで1軍に呼ばれたりする選手だ。

「あんまり最初は力入れない方がいいよ、徐々に出していけばいい。」

「はい、わかりました。富永先輩」

と僕は言った。

アップを初めて、守備練習で、盗塁の阻止の練習と、バックホームの中継だったり、忙しかった。

内野の守備練習では、ゴロをしっかり取ることを意識して練習した。

先輩にうまいねともほめられた。

午前中は守備練習をして、午後からバッティングである。

最近、スイングが安定してきて、綺麗打球が打てるようになった。

バッティングピッチャーからのボールを綺麗に引っ張ってホームランにする。

外角のボールも少し腕をひねってセンター前に持っていく。

今日は、ひっぱりとセンター前を意識して打っていった。

2軍の監督が2軍コーチと話している。もしかしたら、彼いいかもと評価されているかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る