第9話
次の日、またアップをしてキャッチボールをする。休憩時間中に外村 学がやってきた。
ドラフト3位ピッチャーだ。背は180cmで球速は150km高卒である。 運動神経がよさそうな顔をしている。平たい顔だ。「ピッチャーの練習はどう」と僕は聞いた。
「ぼちぼちだよ、調子はまだ上がってないかな」と外村が言った。
「意外と、守備練習が多くてアピールできてるよ。守備得意だから」
「そういえば、柊くんって、大友ガス出身だよね。都市対抗野球のサヨナラホームランみたよ、あれはすごかった。」
「ありがとう。社会人野球なんて見るのめずらしいね」
「親が社会人野球のコーチをしていて、その縁で見に行ったりしてるんだ」
「社会人野球の東京フレックスの金崎とかいうすごいやつがいるんだけど、そいつのops
1000以上で、ホームランも打つ選手で注目選手なんだよ」
「金崎 健太郎、確か読売ガゼルーズに行きましたよね。期待の大型ルーキーとして、注目されています。」
「やっぱ憧れるよね、」
「甲子園では、球速150kmの変化球5個ももっている優勝投手香川と、公式戦ホームラン120本の怪物、前田幸一郎がいるから、自分とくらべものにならないですよ」
「そうだよな、今年の高卒は強敵だらけだったもんな。」
「ここの施設って、けっこう豪華だよね、トレーニング室もあるし、食堂に栄養士さんがいたり、」
「プロの世界だから、野球に集中するために存分に使おうと思う。」
「彼女にプロ野球選手になるっていったら。困った顔されたよ」
「へぇ、外村って彼女いるんだ。心配なんじゃない、危ないスポーツだし」
「彼女と別れて暮らすのちょっとつらいな」
「いいね、彼女いるの。」
僕達は休憩時間が終わったので別れた。
守備練習である。シートノックは2軍コーチの池田だ。
元プロ野球選手で、とにかくシートノックがうまい。届きそうで届かないボールを打ってくる。セカンドの中条は疲れてばて始めていた。
僕は慣れたもので、うまくさばいている。
シートノックが終わるバッティング練習にうつる。
先ほどのセカンドの中条がバッティングの合間に声をかけられた。中性的な顔立ちだ。
「柊くん、体幹しっかりしてるね。あのシートノック余裕そうだったじゃん」
「まあ、体幹に自信があるので」
「それにしても、みんな打つのがうまいよな」
「どら1の安藤さんは、別格だ。」
「結構みんな、頑張ってるよね、ばてないかな」
「まあ、そこらへんは大丈夫でしょう、なんてったってプロだから」
「入団してまだ、少ししかたってないのにプロ意識あるの面白いね」
僕たちはシートノックに戻っていった。
キャッチャーの倉田が隣でバッティングをしている。
いい打球音がする。僕も負けじと、センター方向にうつ。
室内練習なので、どこまで打球がいったかは、ネットがあり分からないが、
いい感触が残っている。
練習が終わり、寮に入り、部屋に戻った。午後5時である。
1時間後に扉をたたく音がして、開けてみると外村がいた。
トランプやろうと思うんだけど、どうかな」
「いいよ、誰の部屋で」
「住田さんの部屋で」
僕は立ち上がって外村についていった。
住田さんとは、一度あいさつしたぐらいであまり話していない。
気まずい状況になるのは嫌だなと思って住田さんの部屋に入ると、そこには、
鈴村さん、倉田さん、住田さんがいた。
5人では、入りきらないので食堂でトランプをやることになった。
食堂に行き、席に座ってトランプを配る。
鈴村さんがいるから、たぶん大丈夫だろうと思った。
「今日の打撃練習で誰が遠くに飛ばしたか覚えている?」と鈴村さんが言った。
「ピッチャーの練習してたからわからなかったな」と住田さんは言った。
「安藤さんじゃないかな、結構いい打球がいってたし。」と倉田さん言った。
「いや、村上さんじゃないかな。かれ外でもけっこう飛ばしてたし」と僕は言う。
5人で話ながら、トランプをする。
鈴村さんは話題を引き出すのがうまい。かれは慣れているなと思った。
トランプでは住田さんが勝利した。
それから、解散して、風呂に入って寝た。
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