第8話
明日から新人合同自主トレである。
2軍コーチのあいさつから始まって僕達はアップを始める。
体格がいいのは、鈴村さんと住田さんである。
僕達は声を出しながら走り込みをしてから、柔軟体操を初めて、
キャッチボールをした。20分ぐらいしてから、今度はシートノックが始まった。
腰を低くして、前傾姿勢でグラブを前に出してとる。グラブに入ったボールを右手で取って、1塁方向に投げた。綺麗にミットに治まったボールに、僕は平然とショートの守備位置に戻る。堅実な守備をアピールできただろう。
室内でバッティング練習に入った。
ここで快音がなるのが、ドラフト4位の村上哲也である。
当たったら、ものすごい快音で遠くまで飛ばす打球に驚いた。
どの選手もバッティングはうまかったが、遠くに飛ばす力は村上哲也が今のところ一番だろう。僕は、バッティングでなるべくセンター前に落とすように心がけた。
まだ初日なので、色々と意識するのではなく、前に飛ばすという意識だけで打球をうった。
新人合同自主トレ1日目が終わり、
僕達は寮に戻る、ドラフト1位の安藤さんと食堂で向かい合わせになった。
安藤さんは、さわやかなイケメンで、人柄がいいのが伝わってくる。
「柊さんは、甲子園出たことあるの」
「いや、県の3回戦でいつも負けていました。安藤さんは甲子園行ったことあるんですか」
「俺は、甲子園で3回戦までいったけど、当時強かった。東海海津に負けまして」
「いいですね、甲子園の土踏みたかったですけど、高校は強くなかったんで」
「甲子園はやっぱ違いますよ、高みが見える感じとか、後、暑いですね」
「大学で、全日本大学選手大会で優勝おめでとうございます」
「いや、ありがとう。」
「バッティングすごかったですよ」
「覚えてもらってなにより」
僕達は、楽しい雑談をしながら食事をした。
「そういえば、今年、野手が多いですよね」と僕は言った。
「ああ、横浜ゴールデンウルフズは投手は結構そろってるからじゃないかな」
「そういえば、鈴村さんが言ってた誰が一番最初に一軍に上がれるか、予想してみません」
「それは、面白そうだね」
「僕は、安藤さんかな、どら1だし、バッティングセンスもあるし」
「そういってもらえて、ありがたいけど。僕も自分だとおもうんだよね。勝つ自信があるからね」
「結構自信家なんですね」
「けど、村上くんとかは伸びしろあると思うよ。打球の飛び方がいいなと思った。」
「ですよね、飛ばす力ありますよね」
「プロ決まったとき、そわそわしなかった?」
「プロ野球選手になるために必死こいてやってきたわけだから、夢叶ったと思ってドラフト会議の後眠れなかったです。」
「だよな、プロの世界に行けると思って、俺も眠れなかった。どら1で入るって目標があって、達成できたし」
「今年、怪物の前田幸一郎と、甲子園優勝投手の香川と、高校野球打率500越えの湯川がいて、社会人No1の155kmの堂林とかがいるし、豊作らしいですよ」
「高校生がちょっとすごいよね。公式戦ホームラン120本は怪物だよね」
「安藤さんも注目選手だったじゃないですか、長打力550のops900で全日本野球選手大会で、安打数1位で、注目されてましたよ」
「そこまで、知ってるとはうれしいね」
「自分もドラフトかからないかなと、ネット情報あさっていたんですよね、スカウトは3球団ぐらい見に来てくれたけど、候補外の可能性があるじゃないですか、下位かと思ったけど、上位指名されると思いませんでした。」
「まあ、ドラフト上位同士がんばろう」
僕達は、結構話した後、部屋に帰っていった。
次の日も、新人合同自主トレでアップ、キャッチボール、守備練習、バッティングとしていき、自分の状態を確かめた。中の下ぐらいである。
守備はうまくやれているけど、バッティングが思ったように打てなくなった。これは、体に力みがはいっているのが原因なのか、フォームが崩れているのか。
コーチに動画を取ってもらって、バッティング練習をする。いつもの感覚と違った。
5球ぐらい打ってから、コーチに撮ってもらったバッティング映像を見る。構えはいつもと同じだが、うつときに前傾姿勢になっていて、通常より、早めなスイングになっている。
これは気をつけないとと思い。なるべく、状態が前に行かないように、綺麗なスイングを意識してバッティングをする、3球ぐらいうつと感覚がつかめてきて、うてるようになってきた。打球がちゃんとセンター前になっている。この日、自分の感覚を確かめながら、バッティング練習をした。
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