第4話

次の日、

プレゼンテーションである。自分がいいと思った選手をみんながプッシュする。そして僕達はそのプレゼンを聞いて、評価する。


まず、外野の村田だ。社会人野球でホームランバッターの注目選手である。


プレゼンするのは、武藤である。


「彼の一番の特徴はそのパワー、真に当たればホームランであり、彼のホームランを打つ時の腕のたたみ方が綺麗に整っているのと、彼はインコースが得意らしくて、こうやって狙いすまして、ホームランにしています。」と映像を使って説明していた。


「彼の弱点は、空振りが多いところなんですがね、。そこを目をつぶれば彼はいいホームランバッターです」

とプレゼンが終わった。


今年のゴールデンウルフのドラフトで取る戦力は、外野手3、ショート2、投手2人、セカンド1人である。これは大体の方針なので、プレゼンによって変わるだろう。

次のプレゼンは私である。


「わたしは、ショートの社会人の柊をドラフトに推します」というと。


おおっと、驚きの声が上がった。


ショートには、大学生4大大学、細川 甲子園準優勝ショート赤井などがいるからだ。


「彼を、推す理由は、守備の堅実さと、打率の高さ、勝負強さです。こちらは都市対抗戦のさよならホームランを打った場面です。再生します」


動画が再生されると、9回2アウト、2、3塁。スコア2対4で負けている。


ホームランを打ったら一発逆転の場面、柊は、2ボール2ストライクで5球目のインコースの高めの球を鋭いスイングで、少しアッパー気味に打って、レフトに高く上がった打球がレフトスタンドに突き刺さった。


「彼はここでホームランを打たなければならなった。彼の後の3番、4番打者は不調で打てない確率が高い場面。1球目、相手のストレート148kmのアウトコースを見逃して、

ストライク、2球目はアウトコースのボールが外れて、1ボール1ストライク。


続けて、アウトコースのスライダーを彼はカットして、1ボール2ストライクで追い込まれて、

インコースのカーブで彼は体制を崩されたが、ボール。2ボール2ストライク。


インコースに腰をひいてしまった彼は、もう一度、インコースの厳しい場所に来ると分かったのか、すこし、足を開いてオープンスタンスにして、インコース高めの球をアッパー気味に打っています。

彼は、配球を読んで工夫して打っています。もちろん、配球なんではずれることもあるとおもいますが、彼の狙って打ったようなホームラン素晴らしい技術だとおもいませんか。彼は、バッティングコントロールもあります。そして、勝負強い。


大事な場面でのホームラン。そして、彼はストイックです。体重の増減や、筋トレの回数なども気にしているようです。」


「たしかに、今のを見ると技術力はあるようだが、他の映像はないかい」とスカウト部長が言う。

「おとといあった試合です。彼の4打席をみせましょう。

1打席目、この日相手はストレートが走っていました。そこで彼はスライダーに目をつけたのでしょう。

インコースのスライダーを、綺麗に腕をたたんでホームラン。バッティングセンスがあるでしょう。


2打席目、1球目、2球目はストレート。そして3球目大きく落ちるカーブにうまくバットを合わせて、ポテンヒット。


3打席目、相手ピッチャーはストレートが浮いて定まっていない。そして、彼は、それを見込んで変化球を待っていたのでしょう。高めのスライダーを思いっきりスイングして、

バックスクリーンにホームラン、彼は力もあります。

4打席目、2球目のインコースのシンカーをうまくたたんでレフト前。彼はインコースが得意なようです。」


「なるほど、彼は逸材なのかもしれないな、バッティングセンスが光っている、みんなどう思う?」スカウト部長が言う。


「彼の都市対抗野球のさよならホームランは度肝をぬかしましたよ、将来性もあるし、いいんじゃないでしょうか」


「彼は、配球だけではなく、バンティングセンスが光っているとおもいますね。2打席目のポテンヒットなんか、かなり技術が必要ですよ」とスカウトの山田が言った。

とそんな感じで彼の評価は上がった。


「じゃあ、ショートは柊で、他のチームに取られないか心配だな」とスカウト部長が言う


「まあ、今年ショートけっこういい選手がいて、いいかんじにまぎれてくれるだろう。」

と山田が言った。


side柊

社会人野球の試合が終わってから、チームメイトのみんなと食事に行った。僕は大活躍だった。小笠原さんもいっしょである。


「いや、今日の柊はすごかったな。1打席目の結構厳しいインコースホームランにしちゃうし、高めの球もバックスクリーン、スカウトはびっくりしただろうよ」と遠藤さんが言った。


「たしかに、柊はプロ並みのバッティングセンスがある」と小笠原さんは言った。


「ホームランを打てるっていう、評価になったんじゃないか」とチームで3番打者を打つ。

柏木が言った。


「ドラフト行けるようにがんばるよ」と僕は言うと、


「俺たちの希望の星だ。がんばれ、応援してるよ」

「プロ行っても頑張れよ、俺たちも野球やるから」

「ありがとう」と僕は言いながら、プロ行けるかわからないんだけどねと内心突っ込んだ。


僕たちは、食事やカラオケに行きながら、別れた。


僕にとって、最後であるドラフト会議、3年前だったらドラフトにかかるとも思っていなかった俺が、いま、ドラフト会議で選ばれる可能性があるということに、とても成長したとおもっている。


プロ野球選手になるというのは、子供の頃の夢だったけど、スカウトの人たちも3球団は見に来てくれたし、本当に夢がかなうかもしれない。


僕は、どきどきしながら、すこし、不安になりながらも。未来に希望を抱いて眠りについた。

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