第2話

遠藤さんに、言われたとおりスライダーに最初から狙いを定めたらいいと思うかもしれないが、自分の感覚と他者の感覚は違うので、自分の感覚と確かめてからいつも、方針を決めている。


2球目、3級目、高めのアウトコースのストレートをカットしていき、1ボール2ストライク。


そろそろ、インコースを攻めてもおかしくないと思い、アウトコースにきたら、カットできるようにしながら、インコースの変化球を待っていた。


4球目、相手はインコースにスライダーを投げてきた。


僕はそれを綺麗に腕を折りたたんで、レフト方向に引っ張った。打球はぐんぐん伸びていき、レフトスタンドに入った。ホームランである。僕はガッツポーズしながら、ダイヤモンドを一周した。


ベンチでハイタッチをすると、おしりをハイタッチとおしりをものすごくたたかれる。


「ナイスバッティング」

「今日も調子いいな」と言われて、

「まあな」と僕も返す。


今日はほんとに調子がいいかもしれないと思い始めた。


僕は、ベンチに座って状況を眺める。3番打者、4番打者の小笠原さんが倒れて、守備の回になる。今日は相手の球が走っていてストレートは打てなさそうだと思った。


守備では、センター前に抜ける球を拾ってくるりと回ってファーストに投げてアウトにした。3回表、2打席目が回ってきた。


一回目の打席でスカウトの人たちにアピールできただろう。長打力もありますと。


前の打席でインコースのスライダーを打たれたことで、インコースにはスライダーは投げにくいだろうと思い。アウトコースの変化球に狙いを定める。


ピッチャーはスライダー以外も、シンカーやカーブを持っている。

変化球のデータを頭に入れて、右打席に立つ。


1球目、インコースのストレートを見逃す。

かなり、攻めたボールだ。


2球目アウトコースにストレート、これもまた見逃す。0ボール2ストライク。


相手も自分のピッチャーが球が走っていると分かっているのか。ストレート主体のボール構成になっている。


ここは、ストレート狙いにしようと。変化球を待つのをやめる。


3級目、大きいカーブがアウトコースに落ちてきた。それを反応して、流すようにうつ。打球は、ライト線の近くに落ちて行った。


審判が「フェア」と言う。


ライトにポテンヒット放った僕は、1塁を回って、ストップする。


味方からは「ナイスバッティング」と言われるが、自分としてうまく当てたバッティングだった。


ストレート狙いだったけど、打てて良かったと思った、

それから、味方がヒットを3連発して、2点が入った。


スコアは3対0試合は、4回裏にすすんでいた。


味方のピッチャーは、近藤という選手で。要所を抑えるピッチャーで、相手打線を完全に抑えていた。この回も抑えて、今だ、1安打。


5回表、1番の遠藤からの攻撃

高めのストレートを遠藤さんがセンター前に運んだ。


ここからは、遠藤さんと僕との連携である。

打席に僕が立ち、監督がサインをだす。


「遠藤、盗塁」と出されていた。


ここは1点がほしい場面なので、盗塁なのだろう。僕も了解の合図をヘルメットのつばを出して触る。


相手も、盗塁を警戒してか、牽制球を3球も投げる。相手のピッチャーは投球動作に入った瞬間、遠藤さんはスタートした。


僕は、相手の投手が投げたボールをわざと空振りする。


キャッチャーは、ピッチャーからのボールを取ってから、2塁にすばやく投げるが、ショートが2塁の手前で取るときには、遠藤さんはすでに、2塁に到達していた。


これで、0アウト2塁。監督からは、いつも通り打てのサイン。進塁打だったらいいが、ヒットをここでは狙う。


僕は、相手の変化球を待ちをしている。ストレートが浮いてきて、制球が定まっていない今、変化球を投げて立て直すだろうと思うからであった。


2球目、真ん中よりの高めのスライダーをスイングして、バットにあてる。


バットが真にあたった音がして打球が伸びてくる、センターが下がって、下がって、フェンスをみる。


フェンス直撃だろうと、僕は思い、いっきに2塁まで行こうとするがどうやらボールが帰ってこない。

3塁コーチを見ると、ホームランのジェシュチャーをする。僕は、びっくりする。まさか、ホームランになるとは思っていなかったのであった。


今日の僕は絶好調であった。

ベンチでハイタッチするとき、また、お尻をたたかれて、誰だと振り向いたら、小笠原さんだった。もうちょい優しくできないかなと思いながら、ベンチに座る。


「ナイスバッティング、最近調子がいいね」

「自分が、思ってたより打球が伸びるから、びっくりしたよ」

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