6話

「お待たせ!」

「遅いぞ〜!深川!」

私は怜を近くのカフェに呼び出した。全てを話すために。

「何食べる?」

「んー、プリンか抹茶のわらび餅が食べたいけど……怜は?」

「俺はプリンかな」

「じゃあ1口だけちょーだい?」

「いいよ。じゃあ注文しよっか。」

怜は店員を呼び出し、私の分まで注文してくれる。こういうさりげない気づかいができるのは本当にすごいと思う。

「どうぞ。」

店員が私たちの前に注文したものを並び始めた。抹茶のわらび餅、プリン、ドリンクは私はアイスコーヒー、怜はオレンジジュース。私は覚悟を決めた。

「じゃあさっそく食べよっか。」

「うん!」

「「いただきます。」」

抹茶わらび餅を1口食べると抹茶の少し苦さと甘みが広がって、餅との相性が良くて、美味しい。

「深川は美味しそうに食べるな〜」

「だって、美味しいもん!じゃあ幸せあげる!」

私は使っていない新しいフォークを抹茶わらび刺し、怜の前に差し出す。

「はい、どーぞ。」

怜は少しびっくりしてそのまま食べた。すると怜は仕返しと言わんばかりに

「ほれ、プリン食べな?」

私はそのまま口を近づけ、プリンの甘くて、優しい味が広がった。ある程度食べ進め、私はフォークを止めた。

「怜」

「なに?いつもより悲しい顔をして。」

「え?」

まるで怜に私の心が見透かされてるような感じで私は驚いた。

「深川いつもみんなの前で笑ってるけど、見えないところで泣いてるじゃん。今日はその辛さを話したかったんじゃないの?」

半分正解で半分違う。

「私入院することになってさ、もしかすると実験中に死ぬ可能性がある。」

「え?」

怜はハッと顔を上げる。そして私は涙を我慢しながら

「他人に親切にしてくれて、力になってくれてありがとう。みんなあなたのこと好きになって、いい教師になるよ。私もあなたが好きだよ。」

私はお金をテーブルに置き、その場を去ろうとした。だけど次の瞬間視界がぐにゃりとして、立っていられなくなった。

「深川!?おい!しっかりしろ!」

私は怜の腕の中にいる。好きな人の腕の中に。

「私……幸せだ」

私は怜の顔に手を伸ばし、涙を流しながら

「ありがとう。」

そこからプツンと糸が切れるよう目の前が真っ暗になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る