【#5】ガチャ

『ガチャへようこそ』


 キラキラとした台に乗った透明で大きな球体、その中を舞う無数の小さなカプセル。

 あの中にいるんだな、ライドモンスターが。


「うわー、また外れかよ」


「なかなか出ないね」


 周りには既にガチャを引いている同志達がいる。


 前作で外しまくった日々を思い出すな。


 単発ではなく10連でいく。


 最大で何回回せるんだ……。


『10連 10000ゴールド』


『所持金 104347ゴールド』


 100連……結構貯まったと思ってたんだが、天井までは届かないか。


 今回のガチャは200連回すと、好きなライドモンスターと交換出来る。


 もちろん他の入手方法もある。

 例えば、ボスモンスターの低確率ドロップ。


 今はどのボスモンスターがドロップするのか手探り状態だ。

 ガチャが一番分かりやすい。


 しかもガチャ産はどれも序盤において優秀だ。


 今回のラインナップは。


疾走狼スピードウルフ』……地上用ライドモンスター。移動に特化していてとても速い。


虹海豚レインボードルフィン』……水中用ライドモンスター。キラキラしていてとても綺麗。


格好鯰ブサナマズ』……水陸両用ライドモンスター。水中、地上どちらも遅い。


 虹海豚も後々役立ちそうだが、狙いは疾走狼一択だ。


 確率はそれぞれ1%の合計3%。


 では、新たなる戦いに挑むとしよう。


 その前にコメントを確認しておくか。


〇 ガチャきたー!!

〇 何が出るかな何が出るかな

〇 メシウマ期待

〇 良いの来い!

〇 私も一緒にガチャ回そ

〇 外れたわ

〇 虹海豚出たわ

〇 ブサナマ来たら笑う


 ふむふむ、ガチャ配信は盛り上がるのか。


 行くぞ。


 10連目、来い!!


『-10000ゴールド』


 ガチャマシーンから10個のカプセルが飛び出してきて、手元にガチャ画面が映る。


〇 〇 ◎ 〇 〇

〇 〇 〇 〇 ◎


 ●>◎>〇の順番に期待度が高い。

 今回は色付き無しか。


 カプセルが左上から一つずつ開いていく。


回復薬×1

回復薬×1

猫耳×1

修理キット×1

回復薬×1

回復薬×1

回復薬×1

修理キット×1

回復薬×1

犬耳×1


 おおう……。


 やはりガチャは甘くない。


 〇が回復薬や修理キット(耐久値回復)などの日常使い出来るものか。


 ◎はアバターに付けたりするアイテム系だな。


 狙うは●ということだ。


 20連目。


『-10000ゴールド』


 さて……。


〇 〇 〇 〇 〇  〇 〇 〇 〇 ◎

〇 〇 〇 〇 〇  〇 〇 〇 〇 〇


〇 〇 〇 〇 ◎  ◎ 〇 〇 〇 〇

〇 〇 〇 〇 ◎  〇 〇 〇 〇 ◎


 50連までの結果がこれだ……。


 まずいな。


 ええい! どんどんいってやる‼︎


 60連目。


『-10000』


〇 〇 〇 〇 〇

◎ 〇 〇 〇 ●


「はっ!?」


 思わず声が出てしまった。


 来た来た来た来た来た!!


回復薬×1

回復薬×1

回復薬×1

回復薬×1

猫の尻尾×1

回復薬×1

修理キット×1

修理キット×1

修理キット×1

【格好鯰】×1


 来……た……。


 嘘だ、嘘だと言ってくれ……。


 茶色の鯰の姿に所謂ブサカワな顔。

 一定の人気はありそうだが、俺はまったくいらない。


 いや、呼び出すまでは分からないぞ。

 召喚したら実は良いみたいな。


『ライドモンスター召喚』


 地面に茶色の魔法陣が浮かび上がり、そこから焦らしているかのように少しずつ姿を現していく。


「ナマアアア」


 ピョンピョン跳ねていてとても元気そうだ。


 一応乗ってみるか。


 地面を泥に変えながら、一所懸命に体を右、左と揺らして進んでいく。

 泥になった地面は通り過ぎると元通りになる。


 ごめん、遅い。


 格好鯰から降り、モンスターボックスにしまおうとした。


「ナマア……」


 そんなうるっとした瞳で見つめないでくれ……。


『戻れライドモンスター』


 気を取り直して後40連引こう。


『70連目』『80連目』


『-20000』


〇 〇 〇 〇 〇  〇 ◎ 〇 ◎ 〇

〇 〇 〇 〇 ◎  〇 〇 〇 〇 ◎


 そろそろやばい。


『90連目』


『-10000』


〇 〇 〇 〇 〇

〇 〇 ● 〇 ◎


 よし、来た!! この際、格好鯰以外なら何でもいい。被りだけは……。


回復薬×1

回復薬×1

修理キット×1

回復薬×1

修理キット×1

回復薬×1

修理キット×1

【疾走狼】×1

修理キット×1

ドロップ増加チケット×1


 ……よっしゃああああああああああ!!


 90連目にしてようやく来てくれた。


〇 うおおおおお

〇 おめ

〇 マジか

〇 あっぶな

〇 ブサナマもっと見せて

〇 俺も今引いたら来た!

〇 おめ

〇 おめ

〇 おめ

〇 来たあああああ


「みんな、ありがとう」


 モンスターを狩る時より疲れるぞこれ。


 早速呼び出そう。


『ライドモンスター召喚』


 再び魔法陣が現れ、姿を現す。

 今回は灰色の魔法陣か。


「アオオオン」


 灰色の大きな狼が召喚された。

 顔は凛々しくとてもかっこいい。


 体の周りに風を帯びている。

 これは見るからに速そうだ。


「宜しくな」


「アオン」


 ズキッ。


 っ、何だ? 心が痛むような。



 よし、疾走狼に乗って次の街へ行くとするか。


 俺達は街を出て、森を駆けていく。



『所持金 14347ゴールド』

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